JAJSLB4A February   2021  – May 2022 INA237

PRODUCTION DATA  

  1. 特長
  2. アプリケーション
  3. 概要
  4. 改訂履歴
  5. ピン構成と機能
  6. 仕様
    1. 6.1 絶対最大定格
    2. 6.2 ESD 定格
    3. 6.3 推奨動作条件
    4. 6.4 熱に関する情報
    5. 6.5 電気的特性
    6. 6.6 タイミング要件 (I2C)
    7. 6.7 タイミング図
    8. 6.8 標準的特性
  7. 詳細説明
    1. 7.1 概要
    2. 7.2 機能ブロック図
    3. 7.3 特長の説明
      1. 7.3.1 多用途の高電圧測定機能
      2. 7.3.2 電力の計算
      3. 7.3.3 低いバイアス電流
      4. 7.3.4 高精度デルタ - シグマ ADC
        1. 7.3.4.1 低レイテンシのデジタル・フィルタ
        2. 7.3.4.2 フレキシブルな変換時間と平均化
      5. 7.3.5 内蔵高精度発振器
      6. 7.3.6 マルチアラート監視とフォルト検出
    4. 7.4 デバイスの機能モード
      1. 7.4.1 シャットダウン・モード
      2. 7.4.2 パワーオン・リセット
    5. 7.5 プログラミング
      1. 7.5.1 I2C シリアル・インターフェイス
        1. 7.5.1.1 I2C シリアル・インターフェイスを使用した書き込みと読み取り
        2. 7.5.1.2 高速 I2C モード
        3. 7.5.1.3 SMBus のアラート応答
    6. 7.6 レジスタ・マップ
      1. 7.6.1 INA237 レジスタ
  8. アプリケーションと実装
    1. 8.1 アプリケーション情報
      1. 8.1.1 デバイスの測定範囲と分解能
      2. 8.1.2 電流および電力の計算
      3. 8.1.3 ADC 出力のデータ・レートとノイズ性能
      4. 8.1.4 入力フィルタリングに関する検討事項
    2. 8.2 代表的なアプリケーション
      1. 8.2.1 設計要件
      2. 8.2.2 詳細な設計手順
        1. 8.2.2.1 シャント抵抗の選択
        2. 8.2.2.2 デバイスの構成
        3. 8.2.2.3 シャント・キャリブレーション・レジスタのプログラム
        4. 8.2.2.4 目標のフォルト・スレッショルドの設定
        5. 8.2.2.5 戻り値の計算
      3. 8.2.3 アプリケーション曲線
  9. 電源に関する推奨事項
  10. 10レイアウト
    1. 10.1 レイアウトのガイドライン
    2. 10.2 レイアウト例
  11. 11デバイスおよびドキュメントのサポート
    1. 11.1 Receiving Notification of Documentation Updates
    2. 11.2 サポート・リソース
    3. 11.3 商標
    4. 11.4 Electrostatic Discharge Caution
    5. 11.5 Glossary
  12. 12メカニカル、パッケージ、および注文情報

パッケージ・オプション

メカニカル・データ(パッケージ|ピン)
サーマルパッド・メカニカル・データ
発注情報

マルチアラート監視とフォルト検出

INA237 には、多目的のオープン・ドレイン ALERT 出力ピンがあり、複数の診断結果の通知や、デバイスがトリガ・モードと連続変換モードの両方で動作しているときに、ADC 変換が完了したことを示すために使用することができます。表 7-1 に示す診断は定期的に監視され、監視された出力値が関連の範囲外スレッショルドを超えるたびに、ALERT ピンを経由して通知されます。

表 7-1 ALERT 診断の説明
INA237 診断DIAG_ALRT レジスタのステータス・ビット (RO)範囲外スレッショルド・レジスタ (R/W)レジスタのデフォルト値
シャント低電圧制限SHNTULSUVL0x8000 h
(2 の補数)
シャント過電圧制限SHNTOLSOVL0x7FFF h
(2 の補数)
バス電圧制限超過BUSOLBOVL0x7FFF h
(2 の補数、正の値のみ)
バス電圧低電圧BUSULBUVL0x0000 h
(2 の補数、正の値のみ)
温度制限超過TMPOLTEMP_LIMIT0xFFFF h
(2 の補数、正の値のみ)
電力制限超過POLPWR_LIMIT0x7FFF h
(2 の補数)

DIAG_ALRT レジスタからの読み取り値は、ALERT ピンでトリガされた診断の種類を判断するために使用されます。このレジスタは、表 7-13 に示すように、その他の関連診断を監視したり、ALERT ピンの一部の機能の構成にも使用することができます。

  • アラート・ラッチ・イネーブル - ALERT ピンがトリガされた場合、この機能により、すべての診断状態がクリアされてもピンの値は保持されます。DIAG_ALRT レジスタの読み取りによって、ALERT ピンの状態はリセットされます。この機能は、ALATCH ビットを設定することによりイネーブルになります。
  • 変換準備イネーブル - ADC 変換が完了して、デジタル・インターフェイスから出力値を読み取る準備ができるとアサートされるように、ALERT ピンをイネーブルにします。この機能は、CNVR ビットを設定することによりイネーブルになります。CNVR ビットの設定に関係なく、CNVRF ビットからは変換完了イベントも読み取ることが可能です。
  • 平均出力でのアラート比較 - ADC で生成された平均データ値と範囲外スレッショルド値を比較することができます。この機能により、範囲外スレッショルドと比較するときに、出力データからさらにノイズを除去して、ノイズに起因する誤アラートを防止できます。ただし、平均化に必要な時間があるため、診断は遅延します。この機能は、SLOWALERT ビットを設定するとイネーブルになります。
  • アラート極性 - デバイスは ALERT ピンのアクティブ状態を反転させることができます。ALERT ピンはオープン・ドレイン出力のため、抵抗によってプルアップする必要があります。ALERT ピンはデフォルトでアクティブ Low であり、APOL 制御ピンを使用してアクティブ High 機能に構成できます。

ALERT ピンで通知されないが DIAG_ALRT レジスタの読み取りによって利用可能なその他の診断機能:

  • 算術オーバーフロー - MATHOF ビットにより示され、算術演算によって内部レジスタのオーバーフローが発生した場合に通知されます。
  • メモリ・ステータス - MEMSTAT ビットにより示され、デバイスの不揮発性トリム・メモリの状態を監視します。デバイスが正常に動作している場合、このビットは常に 1 です。

ADC 変換完了イベントが通知されるように ALERT ピンを構成すると、ALERT ピンは多目的通知出力になります。図 7-6 は、INA237 デバイスがシャント過電圧 (過電流) イベント、バス低電圧イベント、過熱イベント、電力制限超過イベントの影響を受けているときに、デバイスが ADC 変換完了イベントを通知している例です。

GUID-20201220-CA0I-WJ77-MWWM-GCQ7JNV0QHWG-low.gif図 7-6 マルチアラートの構成