JAJSKX3A December   2020  – May 2022 UCC27289

PRODUCTION DATA  

  1.   1
  2. 特長
  3. アプリケーション
  4. 説明
  5. 改訂履歴
  6. ピン構成および機能
  7. 仕様
    1. 6.1 絶対最大定格
    2. 6.2 ESD 定格
    3. 6.3 推奨動作条件
    4. 6.4 熱に関する情報
    5. 6.5 電気的特性
    6. 6.6 スイッチング特性
    7. 6.7 代表的特性
  8. 詳細説明
    1. 7.1 概要
    2. 7.2 機能ブロック図
    3. 7.3 機能説明
      1. 7.3.1 イネーブル
      2. 7.3.2 起動と UVLO
      3. 7.3.3 入力段
      4. 7.3.4 レベル・シフタ
      5. 7.3.5 出力段
      6. 7.3.6 負の電圧過渡
    4. 7.4 デバイスの機能モード
  9. アプリケーションと実装
    1. 8.1 アプリケーション情報
    2. 8.2 代表的なアプリケーション
      1. 8.2.1 設計要件
      2. 8.2.2 詳細な設計手順
        1. 8.2.2.1 ブートストラップおよび VDD コンデンサの選択
        2. 8.2.2.2 外部ブートストラップ・ダイオードと直列抵抗
        3. 8.2.2.3 ドライバの電力損失の推定
        4. 8.2.2.4 外付けゲート抵抗の選択
        5. 8.2.2.5 遅延およびパルス幅
        6. 8.2.2.6 VDD および入力フィルタ
        7. 8.2.2.7 過渡保護
      3. 8.2.3 アプリケーション曲線
  10. 電源に関する推奨事項
  11. 10レイアウト
    1. 10.1 レイアウトのガイドライン
    2. 10.2 レイアウト例
  12. 11デバイスおよびドキュメントのサポート
    1. 11.1 ドキュメントの更新通知を受け取る方法
    2. 11.2 サポート・リソース
    3. 11.3 商標
    4. 11.4 静電気放電に関する注意事項
    5. 11.5 用語集
  13. 12メカニカル、パッケージ、および注文情報

パッケージ・オプション

メカニカル・データ(パッケージ|ピン)
サーマルパッド・メカニカル・データ
発注情報

ドライバの電力損失の推定

UCC27289などのゲート・ドライバ・デバイスの総電力損失は、ゲート・ドライバ・デバイスのさまざまな機能ブロックにおける電力損失の合計です。これらの電力損失の要素について、このセクションで説明します。

  1. 式 4 は、静止電流 (IDD および IHB) が静的電力損失 PQC に与える影響を記述しています。
    式 4. GUID-1ACF5944-532D-45A2-B050-EAFC1413E4CE-low.gif

    ここには示されていませんが、より安全側の近似をするためには、上記の式に無負荷動作電流 IDDO および IHBO を加算します。

  2. 式 5 は、ハイサイドからローサイドへのリーク電流 (IHBS) がレベル・シフタ損失 (PIHBS) に与える影響を記述しています。
    式 5. GUID-66CE3669-3A7E-4421-ACF9-70748478A10E-low.gif

    ここで

    • D はハイサイド MOSFET のデューティ・サイクル
    • VHB は、入力電圧とブートストラップ・コンデンサの両端の電圧との合計です。
  3. 式 6 は、MOSFET のゲート電荷 (QG) が動的損失 PQG に与える影響を記述しています。
    式 6. GUID-29B92E29-EAF7-4059-B193-E08F365BD3A7-low.gif

    ここで

    • QG は MOSFET の総ゲート電荷量
    • fSW はスイッチング周波数
    • RGD_R はプルアップおよびプルダウン抵抗の平均値
    • RGATE は外部ゲート駆動抵抗
    • RGFET(int) はパワー MOSFET の内部ゲート抵抗です

    この例では、外部ゲート抵抗が存在しないと仮定します。ドライバ出力セクションの最大プルアップおよびプルダウン抵抗の平均値は約 4Ω です。アプリケーションの値を代入して、ゲート電荷による動的損失を計算します。この場合、この値は 230mW です。

  4. 式 7 は、各スイッチング・サイクルのレベル・シフタ寄生電荷 (QP) が、ハイサイド・スイッチング中の動的損失 (PLS) に与える影響を記述しています。
    式 7. GUID-B001E046-7754-4303-9C03-66345E6D4C4D-low.gif

    この例ではわかりやすくするために、寄生電荷 QP の値が 1nC であると仮定します。値を代入すると、レベル・シフタの動的損失として 25.5mW が得られます。この推定値は、レベル・シフタの動的損失としては非常に大きい値です。

すべての損失を合計すると、ゲート・ドライバの総損失は、265.22mW になります。この例に示すように、ほとんどのアプリケーションでは、ゲート電荷による動的損失がゲート・ドライバ・デバイスの総電力損失の大部分を占めます。ブートストラップ・ダイオードを含むゲート・ドライバの場合、ブートストラップ・ダイオードの損失も推定する必要があります。ダイオードの順方向導通損失は、平均順方向電圧降下と平均順方向電流の積として計算されます。

式 8 は、与えられた周囲温度に対して、デバイスの最大許容電力損失を推定するものです。

式 8. GUID-9C2D5576-B58B-40EB-B0CE-B896C126EF73-low.gif

ここで

  • PMAX はゲート・ドライバ・デバイスで許容される最大消費電力
  • TJ は動作時の推奨最高接合部温度
  • TA はゲート・ドライバ・デバイスの周囲温度
  • Rθ JA は接合部から周囲への熱抵抗

アプリケーションでゲート・ドライバ・デバイスの接合部温度をより正確に推定するには、まずケース温度を正確に測定し、次に特定のアプリケーションでの消費電力を決定することを推奨します。その後、ψJT を使用して接合部温度を計算します。接合部温度を推定し、アプリケーションでの周囲温度を測定した後、θJA(effective) を計算します。次に、プロジェクトの開発中に設計パラメータ (外部ゲート抵抗やパワーMOSFETの値など ) が変化した場合、θJA(effective) を使用して、これらの変化がゲート・ドライバ・デバイスの接合部温度にどのように影響するかを推定します。

熱に関する情報」表に、ドライバ・パッケージの熱評価基準の概要を示します。熱に関する情報表の詳細については、『半導体および IC パッケージの熱評価基準』 アプリケーション・レポートを参照してください。