JAJA920B September   2024  – August 2025 TMAG5133 , TMAG5134 , TMAG5233

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   商標
  4. 1はじめに
    1. 1.1 リード スイッチ
    2. 1.2 ホール効果センサ
    3. 1.3 トンネリング磁気抵抗 (TMR) センサ
  5. 2設計上の考慮事項
    1. 2.1 技術の複雑さとコスト
    2. 2.2 感度軸
      1. 2.2.1 ホール効果スイッチ
      2. 2.2.2 TMR スイッチ
      3. 2.2.3 リード スイッチ
    3. 2.3 機械的制約
    4. 2.4 消費電力
  6. 3まとめ
  7. 4参考資料
  8. 5改訂履歴

ホール効果センサ

ホール効果は、エドウィン・ホールによって発見されました。ホールは、磁場が直交して印加された導体に電流を流すと、ローレンツ力によって導体全体に測定可能な電位差が生じることを発見しました。

ローレンツ力は、図 1-4 で示され 式 1 で説明されているように、電磁場中を移動する荷電粒子から生じます。

 ローレンツ力 図 1-4 ローレンツ力
式 1. F L   =   q   ( E   +   v × B )

磁場に電流を流すときのこの挙動を考えると、図 1-5 に示すようなホール効果が観測されます。

 ホール効果 図 1-5 ホール効果

導電性のホール素子に電流を流し、磁場中に置くと、電流に直交する導体全体に生じる電圧に直線的な変化が生じます。これは、ソース磁石の位置を追跡するのに役立つ多くの出力形式を生成する際に特に有用です。

ここで特に注目すべきは、スイッチ形式です。図 1-6 にあるようなコンパレータ構造で増幅および駆動されると、この電圧は 図 1-7 で示したバイナリ出力応答を生成するのに使用できます。このデバイスは、さまざまな動作スレッショルドおよび解除 スレッショルド (一般にそれぞれBOPおよびBRPと呼ばれる) を目標に設定でき、消費電流を制限するためにさまざまな間隔でサンプリングするように設定できます。

 TMAG5233 のブロック図 図 1-6 TMAG5233 のブロック図
 オムニポーラ スイッチ出力 図 1-7 オムニポーラ スイッチ出力

この技術は、半導体プロセスに容易に統合できます。従来、ホール素子は PCB 表面に垂直な感度で構成され、図 1-8 と同様に B フィールド ベクトルの Z 成分を検出していましたが、新しいデバイスでは、X 方向または Y 方向のいずれかの水平ベクトル成分を検出する面内検出素子を実装することもできます。この感度を 図 1-9 に示します。

 DRV5032 垂直感度 図 1-8 DRV5032 垂直感度
 TMAG5233 面内感度 図 1-9 TMAG5233 面内感度

電流が最小の抵抗経路を通って流れるのと同様に、磁界もその伝播を妨げにくい材料 (低磁気抵抗) に自然と集中します。フラックス コンセントレーターは、磁界に対して低損失の経路を提供するよう設計された低磁気抵抗構造です。フラックス コンセントレーターを戦略的に活用することで、エンジニアは磁界を効果的に誘導・制御し、特定の設計要件を満たすことが可能になります。

TMAG5134 のようなデバイスは、ホール素子の感度を向上させるためにフラックス コンセントレーターを設計に直接組み込んでいます。これらのパッケージ内コンセントレーターは、低磁気抵抗の経路を形成し、磁界を集積ホール センサーに誘導・集中させます。特筆すべきは、フラックス コンセントレーターが受動的に動作し、消費電力を伴わずに感度を高め、±1mT という低いしきい値の達成を可能にする点です。