JAJA941A January 2017 – July 2025 TAS6422-Q1 , TAS6424-Q1 , TAS6424L-Q1 , TPA3111D1-Q1 , TPA3221 , TPA3244 , TPA3245 , TPA3250 , TPA3251 , TPA3255 , TPA3255-Q1
本アプリケーションノートに記載されている故障診断回路は、スピーカ出力ラインで発生する可能性のある 4 つの主要な故障タイプに対処することを目的としています。記載されている回路は、アンプの出力を高インピーダンス状態で駆動する手動シャットダウン制御機能を備えたアンプであれば、ほぼすべてのアンプ回路に適用できます。
コンパレータは、抵抗分圧回路で設定した電圧しきい値と、負荷の両端の各電圧を比較するために用いられます。さらに、一対のオペアンプを使用して、負荷にかかる差動電圧を測定します。電圧がしきい値を超えるとコンパレータの出力ラインが Low にプルされ、故障の発生を示します。ピンの出力を解析することで、どのタイプの故障が発生したのかを判別できます。次の真理値表に、各種出力状態が示すさまざまな故障条件を示します。
各故障検出機構は設計上、共通した構造を有しています。診断回路動作時のアンプ出力は高インピーダンス状態に設定されます。出力回路が PVDDに短絡した場合、アンプ出力が高インピーダンス状態で電流が流れない限り、回路全体の電圧は PVDD レベルまで上昇する可能性があります。同様に、GND に短絡した場合も、アンプ出力が高インピーダンス状態であれば、回路内の全電圧がグランドレベルまで引き下げられます。これらのケースでは、診断回路内の電圧がそれぞれ抵抗分圧回路で設定された基準電圧スレッショルドを上回る(または下回る)ため、対応するコンパレータの出力が GND にプルされ、故障状態を示します。開放回路が発生した場合、診断回路内のプルアップ抵抗およびプルダウン抵抗により、両方の電圧がそれぞれのスレッショルドを超えてプルされ、PVDD および GND 検出ピンがともに Low にプルされます。一方、短絡診断では、差動アンプを用いて負荷の両端の差動電圧とスレッショルド電圧を比較します。増幅された差動電圧がこのスレッショルドを下回ると、対応するピンの出力が Low にプルされます。
さらに、デュアル PMOS スイッチング回路(図 3-2参照)を採用し、スピーカ使用時には診断時に診断回路をスピーカ回路から分離します。これにより消費電力が低減し、診断回路内のバイアスによるスピーカポップノイズの発生を防止します。また、診断機能が使われていないときには診断回路を絶縁することで、オーディオ信号に追加の THD やノイズが付加されることを防止します。