JAJU704B March 2019 – February 2021
電気メータの構成で計測精度をテストするには、ソース ジェネレータを使用して、「セクション 3.1.2.1」に記載されている適切な場所でシステムに電圧と電流を供給します。この設計では、2 つの電圧構成において、各位相に対してラインと中性線間の名目電圧 120V、キャリブレーション電流 10A、および名目周波数 60Hz が使用されています。単一電圧構成では、2 つのライン電圧間の電圧は 240V で、キャリブレーション電流 10A が使用され、名目周波数は 60Hz です。
電圧と電流がシステムに印加されると、システムは累積有効エネルギー パルスと累積無効エネルギー パルスを、6400 パルス/kWh のレートで出力します。このパルス出力はリファレンス メーターに供給されます (このリファレンス デザインのテスト機器では、このパルス出力はソース ジェネレータと同じ機器に内蔵されています)。システムに供給される実際のエネルギーと、システムの有効エネルギーと無効エネルギーの出力パルスによって決定される測定エネルギーに基づいて、エネルギーの % 誤差を決定します。2 電圧構成については、セクション 3.2.1.3.2.2で説明しているように、エネルギー ゲインのキャリブレーションと位相の補償を行った後で、累積有効エネルギーの誤差テスト、累積無効エネルギーの誤差テスト、個別相の有効エネルギーのテスト、周波数変動のテストが実行されます。エネルギーの誤差テストに加えて、2 電圧の構成についても、RMS 電圧の % 誤差と RMS 電流の % 誤差が測定されます。単一電圧の構成では、累積有効エネルギーの誤差テストと電圧変動のテストも行なわれます。単一電圧および 2 電圧のテストの両方について、電力オフセットのキャリブレーションは実施されていないことに注意してください。
累積有効エネルギー誤差、累積無効エネルギー誤差テスト、および個別相有効エネルギーテストでは、電流を 50mA から 100A まで変化させます。累積有効エネルギーおよび各位相誤差のテストでは、電圧および電流波形に 0°、60°、および −60° の位相シフトが参照設計に供給されます。有効エネルギー出力パルスからの誤差に基づき、0°、60°、-60°の位相シフトについて、有効エネルギーの % 誤差と電流とのプロットが作成されます。累積無効エネルギーの誤差テストでも同様のプロセスが行われますが、位相シフトとして 30°、60°、-30°、-60°が使用され、累積有効エネルギーの誤差ではなく累積無効エネルギーの誤差がプロットされます。累積有効エネルギーと累積無効エネルギーのテストでは、各位相のエネルギー読み取り値の合計について精度がテストされます。これに対して、個別の位相エネルギーの読み取り値 (位相 A、位相 B の両方) のテストでは、各位相の有効エネルギーがテストされます。ある相の個別のエネルギー精度をテストするとき、他の相をディセーブルするために、他の相に供給される入力電流は 0A になります。これによって、累積有効エネルギーの読み取り値は、理想的には個別の相電圧と等しくなるものとし、累積エネルギー パルス出力を使用して個別の相の精度をテストできます。
電流の変化による有効エネルギーのテストに加えて、RMS 電圧を 240V~15V の範囲で変化させ、有効エネルギーの % 誤差を測定することによる有効エネルギーのテストも行われます。この電圧変動テストは、特に、累積 2 電圧有効エネルギー テスト、累積 1 電圧有効エネルギー テスト、個別相有効エネルギーのテストに対して行われました。
それ以外のエネルギー テストして、周波数変動テストも行われます。このテストでは、周波数が公称周波数 60Hz から ±2Hz の範囲で変化します。このテストは、0°、60°、-60°の位相シフトと、0.5A および 10A で行われます。これらの条件で発生する、有効エネルギーの誤差が記録されます。
RMS 精度をテストするには、エネルギー精度テストに使用されるパルス出力は、RMS 電圧および電流には使用できないため、GUI から RMS 読み取り値を使用します。電圧テストでは、各位相に 10A の電流が印加され、電圧は各位相について同時に 9V~270V の範囲で変動します。基板上に 275V のバリスタがあるので、電圧は 270V を超えません。275V を超える電圧をテストする場合、このバリスタを取り除いてもかまいません。各電圧を印加してから、測定値が安定した後で、各位相について RMS 電圧読み取り値が GUI から記録されます。測定された RMS 電圧読み取り値を GUI から取得すると、リファレンス メータから実際の RMS 電圧読み取り値が得られます。これが必要なのは、ソース ジェネレータは、特に電圧が小さい場合、電圧に対して要求される値を生成しない可能性があるためです。リファレンス メータで測定された RMS 電圧と、GUI の RMS 電圧の値から、RMS 電圧の % 誤差が計算されます。同様のプロセスを使用して、各相に 120V を使用し、電流を 50mA~100A の範囲で変化させることで、RMS 電流の % 誤差が計算されます。
通常の 8ksps サンプル レートでの有効エネルギー誤差のテストに加え、ADC サンプル レートが 32ksps のときにも有効エネルギー誤差がテストされました。この高いサンプル レートをサポートするために、計測ソフトウェアは計測パラメータを減らして計算するように変更され、これらのパラメータは 1 位相のみで計算されるようになりました。この 32ksps テストは、ADS131M04 が高いサンプルレートを使用しても高精度を実現できることを示しており、これは高調波解析や負荷の分離が必要なアプリケーションに役立ちます。