JAJY123A January   2021  – June 2022 AMC1300 , AMC1302 , AMC1302-Q1 , AMC1305M25-Q1 , AMC1306M25 , AMC1311 , AMC1311-Q1 , AMC1336 , AMC1336-Q1 , AMC1350 , AMC1411 , AMC3301 , AMC3301-Q1 , AMC3330 , AMC3330-Q1 , AMC3336 , AMC3336-Q1 , ISOW1044 , ISOW1412 , ISOW7741 , ISOW7840 , ISOW7841 , ISOW7841A-Q1 , ISOW7842 , ISOW7843 , ISOW7844 , UCC12040 , UCC12041-Q1 , UCC12050 , UCC12051-Q1 , UCC14240-Q1 , UCC21222-Q1 , UCC21530-Q1 , UCC21540 , UCC21710-Q1 , UCC21750-Q1 , UCC23513 , UCC25800-Q1 , UCC5870-Q1

 

  1.   概要
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  4.   ガルバニック絶縁とは
  5.   高電圧ガルバニック絶縁に関する注意事項
  6.   絶縁方法
    1.     光絶縁
    2.     容量式絶縁
    3.     磁気式絶縁
    4.     ソリューションのサイズとコストを削減しながら絶縁の要求を確実に実現
    5.     EV アプリケーション
    6.     グリッド・インフラストラクチャ・アプリケーション
    7.     ファクトリ・オートメーション・アプリケーション
    8.     モーター・ドライブ・アプリケーション
  7.   まとめ
  8.   その他の資料

高電圧ガルバニック絶縁に関する注意事項

システム内に信頼性の高い絶縁バリアを形成する場合、絶縁定格、沿面距離と空間距離、CMTI、EMI など、考慮すべき多くの事項があります。

機能絶縁、基本絶縁、強化絶縁という用語は、表 1 に示すように、各電気系統に割り当てられたインシュレータ (絶縁材) の定格水準を表しています。

表 1 絶縁定格
絶縁材の定格 説明
機能 機器の適切な動作を実現するのに必要な絶縁
基本 感電を防止する基本的な保護を実現するための絶縁
付加 基本絶縁が破壊された場合に感電を防止するため、基本絶縁に追加して適用される独立した絶縁
二重 基本絶縁と付加絶縁の両方によって構成される絶縁
強化 二重絶縁に相当する水準で感電からの保護を提供する単一の絶縁システム

機能絶縁は、システムが正しく機能するために割り当てる最小量の絶縁を意味し、必ずしも感電に対する保護を提供するとは限りません。機能絶縁の 1 つの例は、特定の電圧定格に対応する形で、プリント基板 (PCB) の導体間の間隔を適切に維持することです。

基本絶縁は、各システムの最大レベルの電圧に対処できる安全定格で、感電に対する「十分な」保護を実現します。

強化絶縁は、高電圧システムに適用される、最も高い商業定格です。強化絶縁要件を満たす 1 つの方法は、より高い電圧試験規格とより長い定格寿命に耐えられるように絶縁バリアの厚さを増やすことです。たとえば、IEC (国際電気標準会議) 60747-17 と IEC 607475-5 で、必須の部分放電試験電圧 (VPD) は、強化絶縁の方が基本絶縁よりも高い強化絶縁の規格となっています。強化絶縁の詳細については、『強化絶縁とは何か』のビデオをご覧ください。

高電圧システムで強化絶縁の認証を取得するには、最初にさまざまな委員会が定義した安全性と認証に関するテスト手順に準拠するアイソレータを選定します。UL (Underwriters Laboratories) は、グローバルな安全認証研究機関であり、米国を本拠としていますが、さまざまな国や地域がそれぞれ独自のシステム規格に準拠するよう調整を加えています。したがって、グローバルな使用を意図しているアイソレータは、さまざまな国際安全規格に適合していることが求められます。

表 2 に、デジタル (静電容量式、磁気式) アイソレータおよびフォトカプラに関する IEC 規格の要件を示します。

表 2 静電容量式アイソレータ、磁気式アイソレータ、フォトカプラに関する IEC 規格
テスト IEC 60747-17
静電容量式アイソレータと磁気式アイソレータ
IEC 60747-5-5
フォトカプラ
基本絶縁型 強化絶縁型 強化絶縁型のみ
VIORM – 反復可能な最大のピーク絶縁電圧 (maximum repetitive peak isolation voltage) AC 電圧 (バイポーラ、両極性) AC 電圧 (バイポーラ、両極性) AC 電圧 (バイポーラ、両極性)
VIOWM – 最大動作絶縁電圧 (maximum working isolation voltage) TDDB (time-dependent dielectric breakdown、経時絶縁破壊) に基づく AC 電圧 TDDB に基づく AC 電圧 部分放電試験に基づく
VPD – 部分的放電試験 (partial discharge test) の電圧 VTEST = 1.5 × VIOWM VTEST = 1.875 × VIOWM VTEST = 1.875 × VIOWM
VIOSM – 最大サージ絶縁電圧 (maximum surge isolation voltage) VTEST = 1.3 × VIMP VTEST = 1.6 × VIMP10kVPK (最小値) 10kVPK (最小値)
最小定格の寿命 20 年 × 1.2 20 年 × 1.5 未定義
寿命全体での故障率 1,000ppm 1ppm 未定義
許容可能な絶縁材質 二酸化ケイ素 (SiO2) と薄膜ポリマー SiO2 と薄膜ポリマー 未定義

各アイソレータには、複数の重要なパラメータがあります。たとえば、沿面距離と空間距離は、絶縁バリアをまたぐ 2 つの導電性リード端子間の最短距離を意味します。図 3 に示すように、沿面距離は互いに隣接する複数の導体間の距離を IC のパッケージ表面に沿って測定した最短距離であるのに対し、空間距離は空中を経由する形で測定した値を意味します。

GUID-20220504-SS0I-S2G7-PNSB-Z7TXPM8KKXHG-low.png図 3 アイソレータのパッケージの沿面距離と空間距離 (出典: https://www.ti.com/lit/an/slla469/slla469.pdf の図 1 および 2)

パッケージ・テクノロジーはエンジニアにさまざまなオプションを提供することで、沿面距離と空間距離で大きな測定値を達成するうえで重要な役割を担います。高品位のモールド樹脂、幅の広いパッケージ、より定格の高い強化絶縁が、互いに補い合う形になる必要があります。より高い絶縁定格を達成するには、パッケージが絶縁破壊や空中放電を引き起こさないように、より幅広いパッケージとより良好なモールド樹脂が必要になるからです。

もう 1 つのパラメータは、同相過渡耐性 (CMTI) です。このパラメータは、高速過渡が存在する状況でアイソレータが高い信頼性で動作する能力を意味し、kV/μs、または V/ns の単位で測定します。ワイド・バンドギャップ半導体の増加に伴い、過渡電圧 (dV/dt) のエッジ・レートが上昇する結果になり、アイソレータの回復力を定量化するうえで CMTI の測定値が重要になっています。高性能のアイソレータは CMTI 定格が 100V/ns に容易に達するほか、多くの製品は 200V/ns を上回る値でテスト済みです。dV/dt の大きい環境で CMTI の小さいアイソレータを動作させる場合、パルスのジッタ、歪み、誤動作、パルス情報の損失など、シグナル・インテグリティの問題が発生する可能性が想定されます。

絶縁のトレードオフは、IC レベルとシステム・レベルで互いに類似しています。IC パッケージのサイズ小型化、高集積化、熱管理、認証規格への準拠はいずれも、多くの場合に EMI の低減や高効率の達成というニーズに反する傾向があります。IC レベルでこれらのニーズすべてに適合する設計を採用した絶縁型部品を選定すると、システム・レベルで強化絶縁に完全準拠するためのシームレスな移行を実現しやすくなります。