TI、HEV および EV 用トラクション インバータ設計でかつてない高精度を実現する、新たな電流センシング手法を発表

革新的な多軸センシング アーキテクチャにより、単軸のコアレス方式と比較して 20 倍の高精度を実現し、トラクション インバータ システムのさらなる小型化と高効率化を可能に

26 8 月 2026 | 製品とテクノロジー

TI の多軸コアレス ホール エフェクト電流センサである TMCS2100-Q1 をトラクション インバータ内に搭載することで、HEV および EV の効率向上と航続距離の延長を実現し、より快適な運転体験を提供します

最新情報

テキサス インスツルメンツ(TI) は本日、あらゆるハイブリッド車および電気自動車(HEV/EV)のトラクション インバータ用途向けに設計された、業界初の多軸コアレス ホール エフェクト電流センサを発表しました。TMCS2100-Q1 センサは、多軸測定と独自のアルゴリズムを組み合わせることで、これまでにない電流センシング手法を実現し、トラクション インバータ設計における精度とシステム サイズのトレードオフを解消します。

従来のコアレス ソリューションが単軸測定に限定されているのに対し、TMCS2100-Q1 センサは、水平方向と垂直方向の両方の磁界を測定できる初のセンサです。この多軸測定は単軸方式と比較して 20 倍の高精度を実現し、0.4mm の位置ずれにおける誤差を 1% 未満、0.1mm ではわずか 0.25% に抑えます。この高い精度により、EV パワートレインのトルク制御ループが改善され、さまざまな負荷条件や温度条件下で効率と電力供給を最大化します。

TI のセンシング製品担当バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャである Jason Cole は、次のように述べています。「今回初めて、既存ソリューションの限界を打破するホール効果電流センサをエンジニアに提供できるようになりました。800V アーキテクチャによってトラクション インバータに一層高い精度が求められる中で、これは特に重要です。TI の研究開発を担う Kilby Labs の最先端研究を活用して開発された TMCS2100-Q1 は、より高精度な電流測定を通じて、航続距離の延長、より滑らかな乗り心地、より効率的なモーター制御を実現する HEV および EV を自動車メーカーが開発できるよう支援します」

本製品の重要性

自動車メーカーは、航続距離の延長と車両性能の向上に向けて、トラクション インバータのさらなる軽量化と高効率化を追求しています。従来の測定手法では、設計者は次のような根本的なトレードオフに直面していました。

  • 磁気コアを使用するソリューション(C コア方式)は、高い精度を実現する一方で、サイズと重量が増加。
  • コアレス方式は小型化が可能な一方で、位置ずれ誤差や磁気クロストークによって精度が低下。

TI の電流センシング技術は、以下の方法でこのトレードオフを解消します。

  • 両軸を同時に測定:車両走行時の振動によってセンサと導体の間に位置ずれが生じると、単軸の差動型コアレス センサの精度が低下します。TMCS2100-Q1 センサは、水平方向と垂直方向の磁界を同時に測定することで、振動に起因する誤差を大幅に低減します。
  • 精度の維持:誤差を低減して高精度な電流測定を維持することで、磁気クロストークの影響とトルク リップルを最小限に抑えます。トルク リップルは、加速時のぎくしゃくした動きやモーター ノイズ、非効率な動作を引き起こし、航続距離を短縮する要因となります。

TMCS2100-Q1 センサは、精度を犠牲にすることなく磁気コアを不要にすることで、トラクション インバータの小型化と高電力密度化を実現します。これにより、自動車メーカーは、効率と航続距離に優れ、快適な運転を実現する EV を開発できます。本製品は、TI の車載製品ポートフォリオにおける最新のイノベーションであり、車両全体にわたるお客様の課題解決に向けたTIの継続的な投資を示すものです。

詳細については、技術記事「スムーズな操作性:多軸ホール エフェクト電流センサが精度の高いトルク制御を実現する方法」をご覧ください。

詳細情報

  • ホール エフェクト電流センサは、一般にトラクション インバータとモーターを接続するバスバーを流れる電流によって発生する磁界を検出します。
  • 既存の差動型コアレス センサでは、切り欠き、スリット、穴などのバスバー加工が必要となり、熱管理が複雑になる可能性があります。
  • TI の TMCS2100-Q1 センサは、バスバーに対して適切に配置された多軸センサにより、バスバーの加工を必要としない革新的なアプローチを実現します。このマルチセンサ アーキテクチャにより、設計者は機械的な構成に容易に対応し、基板スペースを最適化できるため、トラクション インバータ全体の小型化が可能になります。

提供時期

TMCS2100-Q1 ホール エフェクト電流センサは、現在 TI.com にて量産対応の数量をリクエストに応じて提供しています。以下のリソースも利用可能です。

主な仕様
仕様
単軸の代替製品と比較した精度
20 倍以上
0.4mm 移動時の変位誤差
1%未満
0.1mm 移動時の変位誤差 0.25%

TI (テキサス・インスツルメンツ) の概要

Texas Instruments Incorporated はグローバル半導体企業として、産業用、車載、データセンター、パーソナル エレクトロニクス、通信機器などの市場で、アナログ チップと組込みプロセッシング チップの設計、製造、販売に従事しています。TIの中核には、半導体を通じてエレクトロニクスをより手ごろな価格で提供することで、より良い世界を創造するという情熱があります。この情熱は今日も生き続けており、各世代のイノベーションが最新の技術を基礎にして、テクノロジーの信頼性を高め、より手ごろな価格で低消費電力を実現し、あらゆる分野のエレクトロニクスで半導体を活用できるようにしています。詳細は TI.com をご覧ください。

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