JAJSDQ4A August 2017 – April 2018 AFE58JD32
PRODUCTION DATA.
AFE58JD32は、医療用超音波アプリケーション向けに最適化された、統合アナログ・フロントエンド(AFE)です。このデバイスは、3つのダイを持つマルチチップ・モジュール(MCM)により実現されています。ダイの2つは電圧制御アンプ(VCA)で、もう1つはアナログ/デジタル・コンバータ(ADC)です。各VCAダイには16のチャネルがあり、ADCダイは32チャネルすべてを変換します。
VCAダイの各チャネルは、時間ゲイン補償(TGC)モード、または連続波形(CW)モードに設定できます。TGCモードでは、各チャネルに入力アッテネータ(ATTEN)、低ノイズでゲイン可変のアンプ(LNA)、および3次のローパス・フィルタ(LPF)が含まれます。アッテネータは8dB~0dBの減衰範囲をサポートし、LNAは20dB~51dBのゲイン範囲をサポートします。LPFのカットオフ周波数は、各種の周波数を持つ超音波アプリケーションに対応するため、5MHz、7.5MHz、10MHz、12.5MHzに設定可能です。CWモードでは、各チャネルに18dB固定ゲインのLNAと、16の位相遅延を選択可能な低消費電力のパッシブ・ミキサーが含まれます。それぞれのアナログ入力信号へ各種の位相遅延を適用することで、オンチップのビームフォーミングを実行できます。CWミキサーの高調波フィルタは、3次および5次の高調波を抑制し、CWドップラー測定の感度を向上させます。
ADCダイには16の物理ADCが搭載されています。各ADCは、それぞれのVCAダイから1つずつ、2セットの出力を変換します。ADCは、12ビットまたは10ビットの分解能で動作するよう構成されています。ADCの分解能は変換レートとのトレードオフになり、分解能12ビットでは80MSPS、10ビットでは100MSPSまでの速度で動作可能です。ADCは、サンプリング・レートに合わせて電力をスケーリングするよう設計されています。ADCの出力インターフェイスは、小振幅差動信号方式(LVDS)を経由して出力され、低コストのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)と簡単に接続できます。
AFE58JD32には、オプションのデジタル復調器と、JESD204Bデータ・パッキング・ブロックが内蔵されています。デジタル同相および直交(I/Q)復調器と、プログラム可能な間引きフィルタにより、計算量の多いアルゴリズムを低消費電力で高速化できます。また、このデバイスはオプションのJESD204Bインターフェイスもサポートし、最高5Gbpsで動作するため、チャネル数の多いシステムにおける回路基板の配線の課題をさらに軽減できます。
またAFE58JD32は、システム性能を最適化するため、各種の電力とノイズの組み合わせを選択できます。このため、このデバイスはバッテリ駆動時間についての要件が厳しいシステム用の、超音波AFEソリューションに適しています。