JAJT261 march   2023 IWR6443 , IWR6843 , IWR6843AOP

 

  1.   1
  2. 概要
  3. 統合の重要性
  4. FMCW
  5. チャープ
  6. ミキサ
  7. FFT とピーク検出
  8. 信号検出の指向性を持つビームステアリング
  9. 較正
  10. まとめ
  11. 10関連 Web サイト

信号検出の指向性を持つビームステアリング

一般的に、レーダー・センサを使用してシーン・データをキャプチャするには、アンテナのビーム幅によって提供される視野全体にわたって、フレーム期間ごとにコース・スキャンを実施する必要があります。このコース・スキャンは、関連性の有無にかかわらず物体からの反射や、抽出して定式化したい特定の物体からの反射を補足します。これは例えば、バイタルサインを測定する必要のある患者のようなケースです。患者の位置を特定すると、すでに説明したように、送信ビームフォーミングを使用してビームの焦点をそこに合わせることができます。

患者に照準が合っていない場合は、ビームステアリングをアクティブにできます。この機能をイネーブルにするには、各トランスミッタのステップサイズが 5.625°で、0~360°の位相シフト 64 個の設定でカバーできる構成可能な 6 ビットの位相シフタを使用します。位相シフタは各パワー・アンプの前に設置されており、メイン・ビームの焦点を合わせる場所に応じて、各送信チャネルに対して個別にプログラムされます。図 3 を参照してください。通常、位相シフタはベクトル変調器をベースとするアナログ構造であり、デジタル / アナログ・コンバータを使用して信号の位相シフトを作成してから増幅します。

GUID-20C8A5D8-404F-4460-9DFF-1CB4A0072C7F-low.jpg図 3 送信段に含まれる位相シフタ。

レーダー・センサに対する方位角が異なる位置に複数の被験者がいる場合は、位相シフタをリアルタイムでプログラムすることができ、フレーム間なら通常は 100~200ms に、またはサブフレームを使用するときはそれ以下に設定できます。たとえば、図 4 に示すように、ビームは 20°ごとのサブフレームで -60°~60°の範囲を、200ms 以下で終了するフルシーン・スキャンでスイープできます。これにより、部屋全体の壁と壁の間にいる複数の被験者や、異なる角度に位置し、送信ビームで次々に照射された複数の被験者のバイタルサインを容易に検出することができます。


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図 4 ビームステアリングの角度はサブフレームごとに 20°ずつ変更されている。