JAJT272 January   2024 IWR6443 , IWR6843 , IWR6843AOP , IWRL6432 , OPT3101

 

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    1.     自律性とオートメーション
    2.     安全動作
    3.     エネルギー効率
    4.     まとめ
    5.     その他の資料

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近接センサは、オーディオビームフォーミングや手術用ロボットなどの新興市場で、自律性とオートメーション、安全な動作、エネルギー効率を向上させています。

システム設計では近接センサは広く普及しているため、近接センサが必要かどうかという疑問よりも、どのタイプが設計の目的に最も適しているかという疑問の方が多くなっています。新しい技術を開発するとき、適切なソリューションが常に直感的であるとは限りません。システム設計にどのセンシング技術を使用するかを決める際には、仕様、特に最終製品の特長を考慮することが重要です。

自律性とオートメーション

人数計測、落下検出、障害物回避は、近接センサの主な使用例です。人数計測は小売分析に革命をもたらしました。カメラなしで店舗の来店者数を測定できるようになり、顧客のプライバシーに関する懸念を軽減することができます。掃除用ロボットは周囲の状況を検出して階段から落ちないようにすることができ、障害物回避を利用したドローンのナビゲーションシステムは 50m の範囲からでも周囲の木々を避け、電線やその他の障害物を回避することができます。

自律性とオートメーションが必要とされるアプリケーションでは、最も重要な要素は検出範囲と視野範囲ですが、これらの要素はトレードオフの関係にあります。視野範囲が広いということは、通常はセンシングの距離や範囲が短いことを意味しており、たとえば、人がビデオドアベルに近づいてくるなどの動作を検出するのに効果的です。その逆もまた然りで、視野範囲が狭いということはセンシング範囲が長いことを意味しており、ドローンのような、安全にランディングするために適切なタイミングで減速する必要があるアプリケーションでは利点となります。近接センシングのモードによって、検出範囲と視野範囲が決まります。無線周波数 (RF) 波 (レーダー) の検出範囲は 0.04m~100m 超、視野範囲は 160 度、近赤外線波長 (光学的タイムオブフライト (ToF)) の検出範囲は 0.01m~20m、視野範囲は 0.15度~120度です。

新興の自律型および自動型アプリケーションの検出範囲と視野範囲の要件にはさまざまなバリエーションがあることを考慮して、テキサス・インスツルメンツの近接ソリューションでは幅広いオプションを提供しています。IWR6843 ミリ波 (mmWave) センサを使用すると 100m 以上の距離に到達でき、OPT3101 アナログフロントエンドを使用すると 120 度以上の視野範囲を実現できます。

安全動作

近接センサーは、自律性とオートメーションを連携させて、安全な動作を実現しています。先進運転支援システムや産業用ロボットのようなアプリケーションにおいて、近接センサは非接触動作に対する適応型および予測型の安全対策を提供します。また、国際電気標準会議規格 61496-5 に従い、工場内の危険な場所や死角を監視したり、歩行者に衝突する前に車両を停止させる信号を送信したりします。テキサス・インスツルメンツの 77GHz AWR2544 レーダーセンサは、200m 以上の距離検出が可能で、より高い距離分解能によりコーナーレーダーアプリケーションの性能を向上させ、車両の安全性向上に貢献できます。

測定速度やセンシング分解能は、高速で動く組み立てラインや外科手術などのシナリオにおいて重要な役割を果たします。表 1 では、近接センシングソリューションの相違点と、それぞれが異なる環境条件でどのように機能するかをいくつか紹介しています。

表 1 近接センシングソリューションの性能
光学 ToF レーダー カメラ 超音波
分解能 数ミリメートル 数ミリメートル マイクロメートル 数センチメートル
測定速度 光速 (3e⁸) 光速 (3e⁸) 光速 (3e⁸) 音速
検出範囲 > 15m > 100m > 10m > 10m
プライバシー High HIGH LOW High
さまざまな環境条件での信頼性
Sunny 最も強い 最も強い 最も強い
煙またはガス 最も弱い 最も強い 最も弱い 最も強い
圧力 最も強い 最も強い 最も強い 最も強い
高温 最も強い 最も強い 最も強い 最も強い
雨水 最も強い 最も弱い 最も強い

エネルギー効率

オーディオビームフォーミングは近接センサによって実現されるトレンドであり、TV、サウンドバー、スマートスピーカ、および類似のアプリケーションでは、6m~8m の範囲に向けて音声を誘導し、最適な音響体験を提供してユーザーエクスペリエンスを向上させます。同様に、暖房、換気、空調のシステムにテキサス・インスツルメンツの IWRL6432 mmWave レーダーセンサを実装すると、空気を人の方に誘導し、エネルギー消費を削減することができます。このようなインテリジェントステアリングの方法は、複数のゾーンを監視して存在を把握したり、各ゾーンでの動きを追跡したりする機能によって可能になります。具体的には、60GHz レーダーセンサは波長が短く、送受信アンテナの数が多いので、同じ室内にいる 4 人以上の人の存在、動き、位置を高精度で検出することができます。

また、近接センサは人の存在を検出してエネルギーの使用を最適化することにより、持続可能な建築設計の進歩に寄与しています。ビデオドアベル、キオスク端末、自動ドアなどのアプリケーションは低消費電力モードで休止し、検出されると起動することができます。低消費電力モードでシステムを休止させる機能は、エネルギー効率を高める効果的な方法であり、特にバッテリ駆動のシステムでは重要です。

まとめ

各センシングソリューションには、差異化要因があります。たとえば、テキサス・インスツルメンツの IWR6843IWRL6432 の各レーダーソリューションは、100m の範囲で 4D (3D と速度) 検出が可能で、4cm の分解能と、単一のセンサに RF とマイコンを統合した斬新なアーキテクチャにより検出に基づいて意思決定を行う機能を備えています。テキサス・インスツルメンツのレーダーデバイスは、乾式壁やプラスチックなどの非金属材料を貫通するので、外観上の理由からセンサーが見えないようにすることができます。テキサス・インスツルメンツの OPT3101 アナログフロントエンドは高度なカスタマイズが可能で、マルチターゲットとマルチチャネルの機能を搭載しており、ターゲットの距離だけでなく方向も判定できます。

近接センサーのある世界では、インテリジェンス、効率、ユーザーの使いやすさがいっそう向上します。毎朝キッチンに入るとコーヒーメーカーが自動で抽出を始めたり、パソコンから離れると画面がプライバシーモードになったりといった具合です。ハンドジェスチャ検出は、低コストでバッテリ駆動のアプリケーションによって、どこの家庭でも利用できる可能性を持っています。適切な近接センサを選択することは、新しい市場を実現する上で不可欠であり、絶えず技術革新を続ける世界を想像させてくれます。

その他の資料