JAJA681C october   2018  – may 2021 ISO1176 , ISO1176T , ISO1410 , ISO1412 , ISO1430 , ISO1432 , ISO1450 , ISO1452 , ISO15 , ISO1500 , ISO3080 , ISO3082 , ISO3086 , ISO3086T , ISO3088 , ISO35 , ISO35T , ISO7741 , ISOW1412 , ISOW1432 , ISOW7821 , ISOW7840 , ISOW7841 , ISOW7842 , ISOW7844 , SN6501 , SN6501-Q1 , SN6505A , SN6505B , SN65HVD1473 , THVD1410

 

  1. 11

はじめに

RS-485 通信に関する米国電気通信工業会 (TIA) と米国電子工業会 (EIA) の規格は、20 年前に確立され、さまざまなアプリケーションに広く採用されています。RS-485 は、差動信号の送信に使用されるツイストペア構造により、1000m の長距離において信頼性の高い通信を行うための理想的な規格です。

モーター制御、ファクトリ・オートメーション、グリッド・インフラストラクチャ、および高電圧が存在する可能性のあるその他のシステムでは、高電圧ドメインと低電圧ドメインの間の通信のため、RS-485 システムのノードを絶縁する必要があります。RS-485 ノードを絶縁することで、高電圧や不要な過渡事象から回路を保護し、場合によってはオペレータを保護できます。高電圧から人間のオペレータを保護するために使用される絶縁は、強化絶縁と呼ばれ、2 つの機能絶縁バリアを直列に設けるのと同等です。RS-485 システムでは、ノイズを引き起こし、RS-485 バス通信と干渉する可能性のあるグランド・ループを防止するため、ガルバニック絶縁も使用されます。

これらのシステム・レベルの利点を実現するため、信号と電源を絶縁するのに実装可能なさまざまな方法があります。この記事では、RS-485 ノードを絶縁するために利用できるさまざまなソリューションを示し、それらの間のトレードオフについて説明します。

信号絶縁

RS-485 システムの信号を絶縁するには、一般的な方法が 2 つあります。1 つ目の方法は、デジタル・アイソレータと RS-485 トランシーバを使用するディスクリート・ソリューションです。このソリューションでは、イネーブル (RE、DE) 信号、送信 (D) 信号、および受信 (R) 信号は、MCU と RS-485 トランシーバの間に ISO7741 などのデジタル・アイソレータを使用して絶縁します。図 1 に、ISO7741THVD1410 などの RS-485 トランシーバを使用したこのソリューションの例を示します。ディスクリート・ソリューションの主な利点の 1 つは、特定のアプリケーションに最適なトランシーバを選択できるフレキシビリティです。ただし、ディスクリート・ソリューションは、マルチチップ・ソリューションであるため、追加の基板面積が必要となるという欠点があります。

GUID-7BB1771D-80B8-4A82-B892-B50CC2EA38CD-low.gif図 1 ISO7741 と THVD1410 を使用した絶縁型 RS-485 のディスクリート実装

2 つ目の方法は、デジタル・アイソレータと RS-485 トランシーバを 1 つのパッケージに統合した統合ソリューションです。ISO1410 は、ISO7741 のコア絶縁テクノロジーと THVD1410 トランシーバを 1 つのパッケージに統合しています。コア絶縁テクノロジーにより、1500Vpk の連続動作電圧、5kVrms の強化絶縁定格、標準値 100kV/μs の同相過渡耐性 (CMTI) を実現できます。内蔵トランシーバは、PROFIBUS 準拠、16kV IEC 静電放電 (ESD)、4kV IEC 電気的高速過渡現象 (EFT) でバスのノイズ耐性が高く、工場の作業場などノイズの多い環境でも信頼性の高い通信が可能です。ISO1410 は、ディスクリート・ソリューションと比較して、1.71V~5.5V の広いロジック側電源をサポートしているためより低いロジック・レベルの MCU を駆動させることがで、バス側電源に 3V~5.5V を使用できるという追加の利点があります。

このソリューションは、アイソレータとトランシーバを 1 つのパッケージに統合することで、ディスクリート・ソリューションよりもシステム・レベルの基板面積を削減できます。図 2 に、図 1 のディスクリート・ソリューションを ISO1410 に置き換える方法を示します。

GUID-0E5492A2-D84F-41C9-B3DF-83C6F78310EB-low.gif図 2 ISO1410 を使用した絶縁型 RS-485 の統合ソリューション

電源の絶縁

RS-485 信号を絶縁する方法にかかわらず、デジタル・アイソレータの 2 次側と、RS-485 トランシーバまたは絶縁型 RS-485 デバイスに電源を供給するために絶縁型電源が必要です。図 3に、絶縁型電源を供給するための最初のソリューションを示します。トランス・ドライバ SN6501 を外付けトランスおよび LDO と組み合わせて、ISO1410 に絶縁型電源を供給します。このソリューションは、ディスクリート方法の信号絶縁にも使用できます。

このソリューションの利点は、80% を上回る効率を実現し、設計上の具体的な検討事項に合わせて最適なトランスと LDO を選択できることです。SN6501 は最大 1.5W の電力供給が可能で、追加のデバイスに絶縁電源が必要な場合は、最大 5W の SN6505 に置き換えることができます。

GUID-03C10E1A-6CC9-45F1-BA32-5DBD2830E059-low.gif図 3 ISO1410 および SN6501 トランス・ドライバを使用した RS-485 用の信号および電源絶縁ソリューション

絶縁型電源の代替ソリューションは、ISOW1412ISOW1432 など、DC/DC コンバータを内蔵した絶縁型 RS-485 トランシーバを使用することです。このデバイス・ファミリは、1 つの 20-SOIC パッケージにアイソレータ、トランシーバ、絶縁型 DC/DC コンバータの機能を搭載したシングルチップ・ソリューションを提供します。図 4 に、ISOW1412 を使用して信号および電源を絶縁する包括的なソリューションを示します。

GUID-20210512-CA0I-1R5K-TWLS-PHCDNQQDD84J-low.gif図 4 ISOW1412 を使用した RS-485 の信号および電源絶縁ソリューション

ISOW14xx ファミリの利点は、基板上にトランスが不要であるため基板サイズを小さくできることと、絶縁型コンポーネントが 1 つだけであるため認定が容易なことです。ソリューション・サイズが小さいことにより効率が低下するというトレードオフがあり、チップに内蔵されているトランスの効率代表値は最大 47% です。統合電源ソリューションを使用すると、トランスのサイズが小さくなるため、スイッチング周波数が高くなり、ディスクリート・ソリューションよりも放射エミッションが増加します。エミッションは SN650x ソリューションよりも高くなりますが、ISOW14xx ファミリの低エミッション設計により、2 層 PCB 上にフェライト・ビーズを 2 個使用するだけで、CISPR 32 放射エミッション Class B 制限ラインを確実に満たすことができます。

まとめ

絶縁型 RS-485 システムの設計に最適なコンポーネントを選択することは重要です。ディスクリート・ソリューションまたは統合ソリューションのどちらを選択するかは、サイズおよび設計のしやすさと、効率およびエミッションの間のトレードオフを考慮して決定する必要があります。絶縁型電源のディスクリート実装では、効率の向上とエミッションの低減を実現でき、絶縁型電源の統合型ソリューションでは、スペースに制約のあるアプリケーションでコンパクトでシンプルなソリューションを実現できます。