JAJSLZ2C may   2021  – march 2023 INA234

PRODUCTION DATA  

  1. 特長
  2. アプリケーション
  3. 概要
  4. 改訂履歴
  5. ピン構成および機能
  6. 仕様
    1. 6.1 絶対最大定格
    2. 6.2 ESD 定格
    3. 6.3 推奨動作条件
    4. 6.4 熱に関する情報
    5. 6.5 電気的特性
    6. 6.6 タイミング要件 (I2C)
    7. 6.7 タイミング図
    8. 6.8 代表的特性
  7. 詳細説明
    1. 7.1 概要
    2. 7.2 機能ブロック図
    3. 7.3 機能説明
      1. 7.3.1 統合型 A/D コンバータ (ADC)
      2. 7.3.2 電力の計算
      3. 7.3.3 小さいバイアス電流
      4. 7.3.4 低電圧電源と広い同相電圧範囲
      5. 7.3.5 ALERT ピン
    4. 7.4 デバイスの機能モード
      1. 7.4.1 連続動作とトリガ動作の比較
      2. 7.4.2 デバイス・シャットダウン
      3. 7.4.3 パワーオン・リセット
      4. 7.4.4 平均化と変換の時間についての検討事項
    5. 7.5 プログラミング
      1. 7.5.1 I2C シリアル・インターフェイス
      2. 7.5.2 I2C シリアル・インターフェイスを使用した書き込みと読み取り
      3. 7.5.3 高速 I2C モード
      4. 7.5.4 ゼネラル・コール・リセット
      5. 7.5.5 ゼネラル・コールの開始バイト
      6. 7.5.6 SMBus のアラート応答
    6. 7.6 レジスタ・マップ
      1. 7.6.1 デバイスのレジスタ
  8. アプリケーションと実装
    1. 8.1 アプリケーション情報
      1. 8.1.1 デバイスの測定範囲と分解能
      2. 8.1.2 電流と電力の計算
      3. 8.1.3 ADC 出力のデータ・レートとノイズ性能
      4. 8.1.4 フィルタリングと入力についての考慮事項
    2. 8.2 代表的なアプリケーション
      1. 8.2.1 設計要件
      2. 8.2.2 詳細な設計手順
        1. 8.2.2.1 シャント抵抗の選択
        2. 8.2.2.2 デバイスの構成
        3. 8.2.2.3 Shunt Calibration レジスタのプログラム
        4. 8.2.2.4 目標のフォルト・スレッショルドの設定
        5. 8.2.2.5 戻り値の計算
      3. 8.2.3 アプリケーション曲線
    3. 8.3 電源に関する推奨事項
    4. 8.4 レイアウト
      1. 8.4.1 レイアウトのガイドライン
      2. 8.4.2 レイアウト例
  9. デバイスおよびドキュメントのサポート
    1. 9.1 デバイスのサポート
      1. 9.1.1 開発サポート
    2. 9.2 ドキュメントのサポート
      1. 9.2.1 関連資料
    3. 9.3 ドキュメントの更新通知を受け取る方法
    4. 9.4 サポート・リソース
    5. 9.5 商標
    6. 9.6 静電気放電に関する注意事項
    7. 9.7 用語集
  10. 10メカニカル、パッケージ、および注文情報

パッケージ・オプション

デバイスごとのパッケージ図は、PDF版データシートをご参照ください。

メカニカル・データ(パッケージ|ピン)
  • YBJ|8
サーマルパッド・メカニカル・データ
発注情報

デバイスのレジスタ

表 7-2 に、INA234 レジスタの一覧を示します。表 7-2 に記載のないレジスタの位置はすべて予約済みであり、レジスタの内容を変更することはできません。

表 7-2 INA234 レジスタ
アドレスレジスタ名レジスタ・サイズ (ビット)リセット値セクション
0hConfiguration レジスタ164127h表示
1hShunt Voltage レジスタ160000h表示
2hBus Voltage レジスタ160000h表示
3hPower レジスタ160000h表示
4hCurrent レジスタ160000h表示
5hCalibration レジスタ160000h表示
6hMask/Enable レジスタ160000h表示
7hAlert Limit レジスタ160000h表示
3EhManufacturer ID レジスタ165449h表示
3Fh Device ID レジスタ 16 A480h 表示

表の小さなセルに収まるように、複雑なビット・アクセス・タイプを記号で表記しています。表 7-3 に、このセクションでアクセス・タイプに使用しているコードを示します。

表 7-3 デバイスのアクセス・タイプ・コード
アクセス・タイプコード説明
読み出しタイプ
RR読み出し
書き込みタイプ
WW書き込み

7.6.1.1 Configuration レジスタ (アドレス=0h) [リセット=4127h]

Configuration レジスタを、表 7-4 に示します。

表 7-4 Configuration レジスタのフィールドの説明
ビットフィールドタイプリセット説明
15RSTR/W0bこのビットを「1」にセットすると、パワーオン・リセットと同じシステム・リセットが発生します。
すべてのレジスタをデフォルト値にリセットします。その後で、このビットはセルフ・クリアされます。

0b=通常動作

1b=システム・リセットを起こし、レジスタをデフォルト値にリセットしてからセルフ・クリアされます

14-13予約済みR10b予約済み、値は常に 10b が返されます
12ADCRANGER/W0bシャントを IN+ と IN- の間のフルスケール入力で選択できます。

0b = ±81.92mV

1b = ±20.48mV

11-9AVGR/W000b平均化する ADC 変換結果の数を設定します。読み戻しレジスタは、平均化が完了した後に更新されます。

000b = 1

001b = 4

010b = 16

011b = 64

100b = 128

101b = 256

110b = 512

111b = 1024

8-6VBUSCTR/W100bVBUS 測定の変換時間を設定します

000b = 140µs

001b = 204µs

010b = 332µs

011b = 588µs

100b = 1100µs

101b = 2116µs

110b = 4156µs

111b = 8244µs

5-3VSHCTR/W

100b

SHUNT 測定の変換時間を設定します

000b = 140µs

001b = 204µs

010b = 332µs

011b = 588µs

100b = 1100µs

101b = 2116µs

110b = 4156µs

111b = 8244µs

2-0MODER/W

111b

動作モード。シャットダウン・モード、連続モード、トリガ・モードのいずれかでデバイスを動作させるようにモードを選択できます。
また、このモードにより、ユーザーはマルチプレクサが、バス電圧、シャント電圧、または温度の測定を、連続またはトリガ・モードで行うよう、設定できます。

000b=シャットダウン

001b=シャント電圧トリガ、シングル・ショット

010b=バス電圧トリガ、シングル・ショット

011b=シャント電圧とバス電圧トリガ、シングル・ショット

100b=シャットダウン

101b=シャント電圧、連続

110b=バス電圧、連続

111b=シャント電圧とバス電圧、連続

概略表に戻ります。

7.6.1.2 Shunt Voltage レジスタ (アドレス=1h) [リセット値=0000h]

Shunt Voltage レジスタには、電流シャント電圧の読み取り値 VSHUNT が保存されます。このレジスタを、表 7-5 に示します。負の値は、2 の補数形式で表記されます。負の値の 2 の補数を生成するには、バイナリ数の絶対値の補数を求めて、1 を足します。MSB が「1」のときは、負の値を示しています。

例:VSHUNT = -80mV の値なら:

  1. 絶対値を取得します:80mV
  2. この数値を、10 進の整数 (80mV ÷ 2.5μV) = 32000 に変換します
  3. この値を、バイナリに変換します=0111 1101 0000 0000 0000
  4. バイナリの結果を補数形式にします=1000 0010 1111 1111
  5. 補数に「1」を加算し、2 の補数の結果にします=1000 0011 0000 0000 = 8300h

平均化がイネーブルなら、平均化された値がこのレジスタに示されます。

表 7-5 Shunt Voltage レジスタのフィールドの説明
ビットフィールドタイプリセット説明
15-4VSHUNTR000hシャント出力の両端で測定された差動電圧。2 の補数値。
3-0予約済みR0h常に 0 を返します。算術右シフトにより、結果全体からこれらのビットを削除できます
概略表に戻ります。

7.6.1.3 Bus Voltage レジスタ (アドレス=2h) [リセット値=0000h]

Bus Voltage レジスタを、表 7-6 に示します。

このレジスタは、正の値のみを返します。平均化がイネーブルなら、平均化された値がこのレジスタに示されます。

表 7-6 Bus Voltage レジスタのフィールドの説明
ビットフィールドタイプリセット説明
15予約済みR0b同相電圧は正のみなので、このビットは 0 を返します
14-4VBUSR000hこれらのビットは、システムのバス電圧を読み出します
3-0予約済みR0h常に 0 を返します。算術右シフトにより、結果全体からこれらのビットを削除できます
概略表に戻ります。

7.6.1.4 POWER レジスタ (アドレス=3h) [リセット=0000h]

power レジスタを、表 7-7 に示します。

平均化がイネーブルなら、平均化された値がこのレジスタに示されます。Power レジスタは、Current レジスタの 10 進値に Bus Voltage レジスタの 10 進値を乗算することで、電力をワット単位で記録します。結果は符号なしです。

表 7-7 POWER レジスタ・フィールドの説明
ビットフィールドタイプリセット説明
15-0POWERR0000hこのビットは、システムの電力の計算値を返します。
結果は符号なしです。
概略表に戻ります。

7.6.1.5 CURRENT レジスタ (アドレス=4h) [リセット=0000h]

CUREENT レジスタを、表 7-8 に示します。

平均化がイネーブルなら、平均化された値がこのレジスタに示されます。Current レジスタの値は、Shunt Voltage レジスタの 10 進値に Calibration レジスタの 10 進値を乗算することで計算されます。

表 7-8 CURRENT レジスタ・フィールドの説明
ビットフィールドタイプリセット説明
15-4CURRENTR000h電流出力の計算値 (アンペア)。2 の補数値。
3-0RESERVEDR0h常に 0 を返します。算術右シフトにより、結果全体からこれらのビットを削除できます
概略表に戻ります。

7.6.1.6 Calibration レジスタ (アドレス=5h) [リセット=0000h]

Calibration レジスタを 表 7-9 に示します。このレジスタは、最初の電源投入時、または電力サイクル・イベントの後で、有効な電流および電力の結果を受信するようにプログラムする必要があります。

このレジスタは、差動電圧の測定値の作成に使われたシャント抵抗の値をデバイスに示します。また、Current レジスタの分解能も設定します。このレジスタをプログラムすると、CURRENT_LSB と Power_LSB が設定されます。

表 7-9 Calibration レジスタのフィールドの説明
ビットフィールドタイプリセット説明
15予約済みR0h
14-0SHUNT_CALR/W0000hシャント電圧から電流への変換を行うために必要な、プログラムされた値。
概略表に戻ります。

7.6.1.7 Mask/Enable レジスタ (アドレス=6h) [リセット値=0000h]

Mask/Enable レジスタを、表 7-10 に示します。

表 7-10 Mask/Enable レジスタのフィールドの説明
ビットフィールドタイプリセット説明
15SOL (シャントの上限)R/W0b

このビットを High にセットすると、シャント電圧の変換結果が LIMIT レジスタにプログラムされた値を超えたとき、ALERT ピンがアサートされるように構成されます

14SUL (シャントの下限)R/W0b

このビットを High にセットすると、シャント電圧の変換結果が LIMIT レジスタにプログラムされた値を下回ったとき、ALERT ピンがアサートされるように構成されます。

シャントの上限が設定されているときには設定できません。

13BOL (バスの上限)R/W0b

このビットを High にセットすると、バス電圧の変換結果が LIMIT レジスタにプログラムされた値を超えたとき、ALERT ピンがアサートされるように構成されます

シャントの上限または下限が設定されているときには設定できません。

12BUL (バスの下限)R/W0b

このビットを High にセットすると、バス電圧の変換結果が LIMIT レジスタにプログラムされた値を下回ったとき、ALERT ピンがアサートされるように構成されます

シャントの上限、シャントの下限、またはバスの上限が設定されているときには設定できません。

11POL (電力上限)R/W0b

このビットを High にセットすると、電力の結果が LIMIT レジスタにプログラムされた値を超えたとき、ALERT ピンがアサートされるように構成されます

シャントの上限、シャントの下限、バスの上限、またはバスの下限が設定されているときには設定できません。

10CNVR (変換準備完了)R/W0b

このビットを High にセットすると、変換準備完了フラグ (ビット 3) がアサートされ、デバイスが次の変換を行えることが示されたとき、ALERT ピンがアサートされるよう構成されます。

0b = ALERT ピンの変換準備完了フラグをディセーブルにする

1b = ALERT ピンの変換準備完了フラグをイネーブルにする

9-6予約済みR0000b
5MemErrorR0bCRC または ECC エラー
4AFF (アラート機能フラグ)R0b

アラート機能フラグ。ALERT ピンで一度に監視できるアラート機能は 1 つだけですが、変換準備完了をイネーブルにして ALERT ピンをアサートすることもできます。アラートの後にアラート機能フラグを読み取ると、アラート機能がアラートのソースかどうかを判定できます。

アラート・ラッチ・イネーブル・ビットがラッチ・モードに設定されている場合、アラート機能フラグ・ビットは Mask/Enable レジスタが読み出されたときのみクリアされます。アラート・ラッチ・イネーブル・ビットが透過モードに設定されている場合、アラート状態にならない次の変換後にアラート機能フラグ・ビットがクリアされます。

3CVRF (変換準備完了フラグ)R0b

デバイスはいつでも読み出せ、最後の変換のデータは保持されていますが、ワンショットまたはトリガ変換の調整のため、変換完了準備フラグがあります。

変換準備完了フラグ・ビットは、すべての変換、平均化、乗算が完了した後にセットされます。

変換準備完了フラグ・ビットは、以下の条件でクリアされます。

1.)Configuration レジスタへの書き込み (パワーダウンの選択を除く)

2.)Mask/Enable レジスタの読み取り

2OVF (算術オーバーフロー)R0b算術演算の結果がオーバーフロー・エラーになった場合、このビットは 1 に設定される。これは、電流と電力のデータが無効である可能性を示している。
1APOL (アラート極性)R/W0b

アラート極性ビットは、ALERT ピンの極性を設定します。

0h=通常 (アクティブ Low オープン・ドレイン)

1h=反転 (アクティブ High)

0LEN (アラート・ラッチ・イネーブル)R/W0b

アラート・ラッチ・イネーブル・ビットが透過モードに設定されているとき、フォルト条件がクリアされると、Alert ピンとアラート機能フラグ (AFF) ビットがアイドル状態にリセットされます。

アラート・ラッチ・イネーブル・ビットがラッチ・モードに設定されているとき、フォルトの後でも、Alert ピンと AFF ビットはアクティブのまま、このレジスタ・フラグが読み取られるまで維持されます。

I2C アラート応答機能を使用するには、このビットをセットする必要があります。

0b=透過

1b=ラッチ付き Alert ピン

概略表に戻ります。

7.6.1.8 Alert Limit レジスタ (アドレス=7h) [リセット値=0000h]

Alert limit レジスタを、表 7-11 に示します。

表 7-11 Alert Limit レジスタのフィールドの説明
ビットフィールドタイプリセット説明
15-0LIMITR/W0000h

Alert Limit レジスタには、Mask/Enable レジスタで選択されたレジスタと比較して、制限を超えたかどうかを判定するために使用する値が含まれています。

シャントの過電圧制限には、2 の補数値を使用する必要があります。入力される制限値は、対象レジスタの形式と一致している必要があります
概略表に戻ります。

7.6.1.9 Manufacturer ID レジスタ (アドレス=3Eh) [リセット=5449h]

Manufacturer ID レジスタを、表 7-12 に示します。

表 7-12 MANUFACTURE_ID レジスタのフィールドの説明
ビットフィールドタイプリセット説明
15-0MANUFACTURE_IDR5449h読み出し値は ASCII コードの「TI」です
概略表に戻ります。

7.6.1.10 Device ID レジスタ (アドレス=3Fh) [リセット=A480h]

Device ID レジスタを、表 7-13 に示します。

表 7-13 DEVICE_ID レジスタ・フィールドの説明
ビット フィールド タイプ リセット 説明
15-3 DIEID R A480h デバイス識別ビットを格納します
3-0 予約済み R 0h 常に 0 が読み出されます
概略表に戻ります。