JAJSIB6C December 2019 – September 2020 TMP64
PRODUCTION DATA
一般に既存のサーミスタでは、温度対抵抗曲線が非線形になります。サーミスタの応答を線形化するには、分圧器構成による電圧線形化回路、またはサーミスタと並列にもう 1 つの抵抗 RP を接続した抵抗線形化回路を使用できます。「Topic Link Label9.2.1」では、RT をサーミスタ抵抗とする 2 つの実装を取り上げています。サーミスタの両端に出力電圧を生成させるため、目的の電圧応答 (負または正) に応じて、ハイサイド (電源側) またはローサイド (グランド側) にサーミスタを配置した分圧器回路を使用できます。また、高精度の電流源を使用してサーミスタを直接バイアスすることもできます (もっとも高い精度と電圧ゲインが得られます)。実装が簡単で低コストであることから、サーミスタを使用した分圧器を使用するのが一般的です。一方、TMP64 は、その両端の測定電圧が温度とともに線形的に増加するリニア正温度係数 (PTC) の抵抗値を示します。そのため、線形化回路はもはや不要であり、単純な電流源または分圧器回路を使用して、温度に応じた電圧 (温度電圧と呼ぶ) を生成できます。
この出力電圧は、より広い範囲の温度を監視するために ADC に直接接続され、またはアクティブ帰還制御回路の帰還入力として使用されます。またこの出力電圧を、コンパレータを使用して基準電圧と比較し、温度トリップ・ポイントをトリガすることもできます。
Equation2 で表す TMP64 両端の電圧は、ルックアップ・テーブル方式 (LUT) または近似多項式 V(T) を使用して温度に変換できます。サーミスタ設計ツール は、Vtemp を温度に変換するために使用する必要があります。最初に、ADC を使用して温度電圧をデジタル化する必要があります。この ADC に必要とされる分解能は、採用するバイアス方式に依存します。また、もっとも高い精度を得るため、バイアス電圧 (VBIAS) を ADC の基準電圧に接続し、バイアス電圧の誤差と基準電圧の誤差が相殺されるようにして測定します。また、システム・レベルのノイズを除去するためにローパス・フィルタを実装することもできます。ユーザーはフィルタを ADC 入力のできるだけ近くに配置する必要があります。