JAJA671 February   2021 DRV3255-Q1

 

  1. 1はじめに
  2. 2 MHEV と 48V モータ駆動システムの使用
  3. 3 48V モータ駆動システムの設計上の課題
  4. 4 高出力モータ駆動に関する考慮事項
  5. 5 48V モータ駆動システムの安全性とサイズに関する考慮事項
  6. 6結論
  7. 7リファレンス
    1.     商標

48V モータ駆動システムの安全性とサイズに関する考慮事項

モータに流れる電流は定格 200A を上回ることがあるため、安全な高出力モータ・ドライバの実装には保護機能が必要です。48V モータ駆動システムに関する重要な懸念事項の 1 つとして、モータでの不要な電力の生成により過電圧条件が生じ、システムの損傷につながる可能性があることが挙げられます。過電圧条件によって生じるさらなる損傷からシステムを保護するために、MOSFETの (適切にオン / オフする) 機能を制御するメカニズムをシステムに備える必要があります。一般に、このような保護機能には外部安全ロジックとコンパレータが必要です。

DRV3255-Q1 にはアクティブ短絡ロジックが統合されており、システム設計者は MOSFET の短絡に対する応答を決定できます。フォルト条件に応答してすべての MOSFET をディセーブルする代わりに、すべてのハイサイド MOSFET またはすべてのローサイド MOSFET をイネーブルするか、あるいはすべてのローサイド MOSFET またはハイサイド MOSFET のいずれかを動的にイネーブルするよう、デバイスを構成可能です。デバイスのアクティブ短絡入力の応答遅延時間は、シリアル・ペリフェラル・インターフェイス (SPI) レジスタによりプログラム可能かつ構成可能です。また、DRV3255-Q1 は、フル診断機能と ISO 26262 準拠の設計により、ASIL D (Automotive Safety Integrity Level D) グレードまでの機能安全モータ駆動システムを実現できます。

図 5-1 に、48V 高出力モータ・ドライバ設計向けの一般的なモータ・ドライバのブロック図を示します。安全で堅牢なモータ駆動システムの実装には、クランプ・ダイオード、外部ドライブ回路、シンク・パス抵抗およびダイオード、コンパレータ、外部安全ロジックが必要です。DRV3255-Q1 には外部ロジックとコンパレータが統合されており、ブートストラップ・ピンで最大 105V をサポートし、負の過渡電圧の下限値 -15V まで対処し、選択可能な高出力ゲート・ドライバ電流出力を実装しています。DRV3255-Q1 を使用した 48V 高出力モータ駆動システムの実際の実装は、図 5-2 の点線で示したブロックを削除することで可能となります。これにより、設計が簡素化され、ボード上のコンポーネント数が削減されるため、エンジン・ルームの限られたスペースに収まるコンパクトなデザインが実現します。

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図 5-1 モータ・ドライバのブロック図

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図 5-2 DRV3255-Q1 の単純化ブロック図