JAJA671 February   2021 DRV3255-Q1

 

  1. 1はじめに
  2. 2 MHEV と 48V モータ駆動システムの使用
  3. 3 48V モータ駆動システムの設計上の課題
  4. 4 高出力モータ駆動に関する考慮事項
  5. 5 48V モータ駆動システムの安全性とサイズに関する考慮事項
  6. 6結論
  7. 7リファレンス
    1.     商標

MHEV と 48V モータ駆動システムの使用

米国、日本、中国、EU などの国々における温室効果ガス (GHG) 排出量の削減に向けた世界的な取り組みにより、自動車の進化が加速しています。たとえば、米国運輸省道路交通安全局は 2020 年 3 月に、2021~2026 年の自動車燃費規制のための最終的な環境影響評価書[1]を発表しました。この評価書のセクション 2.2.2.3 で、2026 年までの乗用車とトラックの企業平均燃費の目標値は 40.4mpg と見積もられています。また、EU は、パリ協定 (COP21)[2] の下、温室効果ガス排出量を 2030 年までに (1990 年比) 40% 削減することを表明しました。

自動車メーカーが GHG 排出量削減目標を達成する方法は複数あります。その 1 つが、48V モータ駆動システムを搭載したマイルド・ハイブリッド電気自動車 (MHEV) の開発です。内燃エンジン (ICE) は燃焼中に GHG を排出するため、自動車の走行中は MHEV の ICE はオフになり、ICE からの GHG 排出量が低減します。このようにして、48V モータ駆動システムは 48V バッテリを充電し、自動車に電力を供給します。自動車メーカーにとって、MHEV は、GHG 排出量削減目標を達成するための魅力的な選択肢です。その理由として、MHEV はフル HEV と比較して実装コストがはるかに低く抑えられ、設計の自由度が高いことが挙げられます。

MHEV の 48V モータ駆動システムは、設計目標に基づき、さまざまなポイントでトランスミッション・システムに接続できます。図 2-1 に、トランスミッション・システムの接続ポイントを示します。


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図 2-1 モータ駆動 (48V) とトランスミッション・システムの接続ポイント

48V モータ駆動システムは、P0 または P1 に配置された場合、スタータとジェネレータの両方の機能を実行する ICE に接続されるため、スタータ・ジェネレータとして機能します。P2、P3、または P4 に配置された場合、48V モータ駆動システムはモータ・ジェネレータとして機能します。