JAJU917 January 2024
2 輪車向けトラクション インバータ システムは、主にトラクション モーターの駆動を目的としています。通常、このモーターは永久磁石同期モーター (PMSM) タイプまたはブラシレス DC タイプのモーターになります。トラクション システムの全体的な機能や性能は、設計にあたって考慮すべきいくつかの重要事項によって決まります。たとえば、マイクロコントローラの選択、電力段の設計、ゲート ドライバ、モーター位置のセンシング、補助電源構造が含まれます。
システムの中心となるのはマイクロコントローラであり、モーター制御アルゴリズムのほか、各通信や保護ロジックを含む高レベルの機能を実行します。TIDM-02017 は C2000™ リアルタイム制御マイクロコントローラを搭載しています。ミッド レンジからハイ エンドの 2 輪車における一般的な要件に対応するために、TIDM-02017 ソフトウェアは、C2000™ マイクロコントローラがメイン C28x CPU 上で freeRTOS ポートなどの RTOS を実行して、CLA 上でフィールド オリエンテッド モーター制御アルゴリズムを独立して実行できることを実証しています。
電力段では、6 スイッチ インバータの各スイッチが 4 つのパワー MOSFET を並列接続することで、インバータの電流容量を増加させています。表面実装型 MOSFET のレイアウトによって、電源ループのインダクタンスが最小化され、電力ボードの底面冷却が可能になっています。スイッチのターンオンとターンオフの時間を適度に短くしてインバータを効率的に動作させるために、3.5A ソースおよび 4.5A シンクの統合型ゲート ドライバ DRV3255 が使用されています。DRV3255 は高集積ドライバであり、ドライブ強度が調整可能で、堅牢なシステム動作を実現する診断、監視、保護のさまざまな機能を備えています。また、90V DC バスの過渡応答能力により、モーター動作中に発生する過渡条件の急激な変化に対しても堅牢な設計となっています。
インバータのサイズは 279mm × 291mm × 115mm で、総容量は 9.3L、電力密度は最大 32.25kW/L です。