JAJY121B September   2021  – April 2023 BQ25125 , LM5123-Q1 , LMR43610 , LMR43610-Q1 , LMR43620 , LMR43620-Q1 , TPS22916 , TPS3840 , TPS62840 , TPS63900 , TPS7A02

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   概要
  4.   静止電流 (IQ) に寄与する要素
  5.   低静止電流 (IQ) が新たな課題をもたらす理由
    1.     過渡応答
    2.     リップル
    3.     ノイズ
    4.     ダイ・サイズとソリューション面積
    5.     リーケージとスレッショルド未満領域での動作
  6.   低静止電流 (IQ) の障壁を打破する方法
    1.     過渡応答の課題への対処
    2.     スイッチング ノイズの問題への対処
    3.     他のノイズ問題への対処
    4.     ダイ サイズとソリューション面積の問題への対処
    5.     リーケージとスレッショルド未満領域での動作という問題への対処
  7.   電気的特性
    1.     18
    2.     低静止電流 (IQ) の設計におけるシステムの潜在的な落とし穴を回避
    3.     低消費電流 (IQ) の実現とフレキシビリティを両立
    4.     外付け部品点数を低減することで車載アプリケーションの IQ を低減
    5.     システム レベルで低静止電流 (IQ) をサポートする機能をスマート オンまたはスマート イネーブルにする
  8.   まとめ
  9.   低静止電流 (IQ) に関連する主な製品カテゴリ

静止電流 (IQ) に寄与する要素

静止電流 (IQ) とは、集積回路 (IC) が有効になっているが、スイッチングを実施していない、さらに外部負荷の電流を取り扱っていない状態で消費する電流の量を意味します。シャットダウン電流 (ISHDN) とは、デバイスが無効になっているときに電源から引き出す電流の量を意味します。

電源レギュレータなど、常時オンになっている機能の静止電流 (IQ) は、スタンバイ時間の長いシステムでは全体的な静止電流 (IQ) に大きく寄与します。電源レギュレータ自体の内部では、電圧リファレンス、誤差アンプ、出力電圧デバイダ、保護回路のいずれにも固有の動作電流があります。

バッテリまたは電源から引き出す合計静止電流 (IQ) を判定するために考慮する必要があるのは、常時オンの各種機能と、コンデンサ、抵抗、インダクタからのリーク源です。

スイッチング・コンバータの IQ については、いくつかの区別を行う必要があります。スイッチング・コンバータは通常、パワー・セーブ・モードを搭載しており、スイッチングを実施しない期間をより長くすることができます。その結果、平均静止電流 (IQ) を低減できます。ただし、静止電流 (IQ) は、スイッチング電流や、電圧出力 (VOUT) から引き出す電流の効率成分を含んでいません (図 4 に示す昇圧コンバータの例を参照)。そのため、大半のレギュレータに適用できるように、次の式 1 を使用して、入力を基準とする無負荷時動作電流のスーパーセット (より含有成分の多い包括的な値) を計算することができます。

式 1. I I s t a n d b y = I Q V I N + I L e a k a g e V I N + V O U T V I N   ×   η 1   ×   [ I Q V O U T + I F B + I L O A D ]

電流と電圧は、図 4 で説明しています。ここで、

  • IQ (VIN) は、VIN を基準とする静止電流 (IQ) (IC のデータシートに掲載の値) です。
  • ILeakage(VIN) は、VIN ピンでコンデンサ、インダクタ、ダイオード、またはスイッチから引き出されるリーケージ電流です。
  • VOUT は出力電圧です。
  • VIN は、バッテリ電圧 (LDO、昇圧コンバータ、または昇降圧コンバータに与えられる入力電圧) です。
  • ƞ1 は、コンバータがスイッチングを実施しているときの DC/DC の効率です。
  • IQ (VOUT) は、スイッチング・コンバータの VOUT ピンから引き出される静止電流 (IQ) です。LDO の場合、IQ (VOUT) = 0 です。
  • IFB は、該当する場合、帰還抵抗デバイダを流れる電流です。
  • ILoad は、スタンバイ・モード中に VOUT に流れる可能性のある負荷電流です。
GUID-20210902-SS0I-CHPQ-QXV0-PCBMX5SBS3WN-low.gif図 4 昇圧コンバータ・システム内の電流

バッテリの容量がわかっていて、入力を基準とするスタンバイ電流をすでに計算した場合、式 2 を使用して、99.9% 以上の時間がスタンバイ・モードになっている低消費電力システムで、デューティ・サイクルが大きい場合のバッテリ動作時間を推定することができます。

式 2. B a t t e r y   L i f e t i m e = B a t t e r y   C a p a c i t y I I s t a n d b y + I B a t t e r y   l e a k a g e  

たとえば、スタンバイ電流が 1.2μA であるデューティ・サイクル型システムのバッテリは、100mAh のコイン・セル・バッテリを使用する場合、8.7 年の持続が可能です。