JAJY143A February   2024  – March 2024 DRV5055-Q1 , LDC5072-Q1 , TMAG5110-Q1 , TMAG5111 , TMAG5115 , TMAG5170-Q1 , TMAG5231 , TMAG6180-Q1

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   概要
  4.   トレンド 1:システムの電動化
  5.   トレンド 2:信頼性および安全性向上の要求
  6.   トレンド 3:最終製品全体の小型化
  7.   トレンド 4:レアアース材料からフェライト材料への移行
  8.   まとめ
  9.   参考資料
  10.   その他の資料

トレンド 3:最終製品全体の小型化

第 3 の動向は、磁気システム設計の小型化に関連しています。製品のサイズを小さくする理由には、コスト、ユーザーの使いやすさ、洗練された外観など多くの理由があります。製品のサイズを小さくするには、しばしば磁石のサイズの縮小または多軸センサを使用を必要とします。リスクがほとんどないもう 1 つの方法は、製造フローが許容する最も小さくかつ最も集積度の高い部品に移行することで、基板サイズを縮小することです。これらの問題に応えるため、テキサス・インスツルメンツは X2SON (超小型アウトライン、リードなし) (1.1mm2 x 1.4mm2) と WCSP (ウェハー チップ スケール パッケージ) (0.8mm2 x 0.8mm2) の小型ソリューションを提供しています。小型パッケージで高集積を実現した 1 つの例は、WCSP で提供している 3D リニア ソリューションである TMAG3001 です。

磁石のサイズを小さくすると、磁界が弱くなり、感度の高い磁気センサが必要になるという問題があります。TMAG5231 などの高感度ソリューションを採用すると、小型の磁石を使用できます。または、高感度のソリューションを使わずに、磁石をセンサのより近くに配置することでも高精度の測定が可能です。磁界が弱い場合、信号対雑音比 (SNR) の高いデバイスは、可能な限り正確な測定を確実に行うのに役立ちます。DRV5055TMAG5253 は最大 70dB の SNR を実現できます。

最終機器の小型化という一般的な傾向は、使われている技術に関係なくどの位置センサにとっても困難な課題です。誘導性センサは、金属ターゲットを使用して物体の位置または存在を検出するため、データシートに規定されているガイドラインを満たすことで、フィットネス リストバンドのサイド ボタンほどの小さなフォーム ファクタを実現できます。誘導性センサのシステム レベルの主な要件は、ターゲットと同じサイズの検出コイルを備え、そのコイルの直径の 10%~20% 以内にターゲットを配置することです。小型化の傾向を示しているアプリケーションの例として、医療用インシュリン ポンプ、外科用内視鏡ツール、ファクトリ オートメーションの空気圧シリンダを挙げることができます。

また、部品点数を低減することでも小型化が可能です。たとえば、e メーター (またはスマート電子ロック、ドアおよび窓センサ) 内に改ざん検出を実装する際に、e メーターが電力使用量を正確に測定できないようにする大きな外部磁石を使った改ざんを検出するため、3 つのホール効果スイッチまたはリニア デバイスの代わりに、1 つの 3D リニア センサを使うことがあります。設計者は、e メーター設計を改善するため、3D 磁気センサ (TMAG5273 などの低消費電力で動作する可変外部磁界検出デバイス) を採用しつつあります。このようなデバイスを使用する場合、部品点数の低減による小型化には、1 つのデジタル インターフェイスによる複数の出力の置き換え、プリント基板のアセンブリ コストの低減、磁気感度設定の柔軟性の向上など、その他の利点もあります。

部品点数の低減によってシステムを小型化する場合、インクリメンタルおよびアブソリュート エンコーダの設計者が直面する課題の 1 つは、デジタル出力とアナログ出力のどちらのソリューションを選択するかなど、製品の分解能をどのようにして向上させるかということです。インクリメンタル エンコーダは、磁石が移動する速度 (変化量) と方向を監視します。アブソリュート エンコーダは同じことを行うことができ、さらに高分解能で正確な位置を常に認識しています。

デジタル出力のホール効果ラッチを使ってインクリメンタル エンコーダを設計する場合、分解能はシステムの磁極数のみによって決まります。分解能を高めるには、極数の多いリング磁石が必要です。また、極の寸法が小さくなると、磁石によって生成される磁界は本質的に弱くなるため、磁石のより近くにセンサを配置するか、より感度の高いセンサを使用する必要があります。この時点で、ほとんどの設計者は、TMAG5111 など、デュアル ラッチを内蔵したシングルチップ ソリューションに切り替えます。デュアル ラッチ ソリューションが 2D ラッチを内蔵していることを確認することが重要です。その場合、3D 空間内の任意の 2 つの軸を非常に柔軟に監視できます。高分解能の設計には、リニア センサを備えたアブソリュート エンコーダが必要です。角度測定機能を備えた 1 つの 3D リニア センサは、高分解能アブソリュート エンコーダへの移行の最終段階です。この実装では 2 つの軸のみを測定していますが、ほとんどの 3D リニア センサは任意の 2 軸を設定できる柔軟性を備えていることに注意します。3D センサを使用するもう 1 つの利点は、プッシュ機能を検出できることです。図 4 に、エンコーダ設計のトレンドを示します。

GUID-20240220-SS0I-CDVR-R2LS-RKCRSBMCSH2P-low.png図 4 エンコーダの高分解能化のトレンド