JAJY143A February   2024  – March 2024 DRV5055-Q1 , LDC5072-Q1 , TMAG5110-Q1 , TMAG5111 , TMAG5115 , TMAG5170-Q1 , TMAG5231 , TMAG6180-Q1

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   概要
  4.   トレンド 1:システムの電動化
  5.   トレンド 2:信頼性および安全性向上の要求
  6.   トレンド 3:最終製品全体の小型化
  7.   トレンド 4:レアアース材料からフェライト材料への移行
  8.   まとめ
  9.   参考資料
  10.   その他の資料

トレンド 1:システムの電動化

自動運転、ユーザー体験向上の要求、温室効果ガス排出量低減の要求により、自動車の電動化が進み、位置センサを含むより多くの半導体デバイスを自動車に搭載することが必要になりました。これが第 1 のトレンドです。

熱効率は、電気自動車 (EV) にとって最も重要です。電動ポンプは、オイルや冷却水などの冷却剤を車両全体に循環させ、各種システム レベル温度を抑制します。これらのシステムを制御するのは、複数の電子制御ユニット (ECU) です。EV の電源が投入されると、マイコンは温度を監視することで、特定のシステムに十分な冷却剤がポンプで送り出されたかどうかを判断できます。電動ポンプのインクリメンタル ロータリー エンコーダに高分解能ホール効果センサを使用することで、マイクロプロセッサは過熱イベントに対してはるかに効率的に応答できます。高帯域幅の TMAG5110-Q1 などのデバイスは、高感度でありながら低レイテンシの出力が可能なため、設計者はより柔軟にセンサを配置できます。

ステアリング コラムの設計は OEM (Original Equipment Manufacturer:相手先ブランド受託製造業者) ごとに異なりますが、最も一般的な実装では、複数の制御モジュールが接続され、ウインカー、ヘッドライト、ワイパー、クルーズ コントロール、スクロール ホイールなど、複数のスイッチおよびボタン制御機能が管理されます。自動運転や快適性のために‌、以前は機械的に実装されていたこれらの機能は、磁気機能も備えた電気的ソリューションになりました。ほとんどのアプリケーションにおいて、TMAG5170D-Q1TMAG5173-Q1 は複雑な角度を高精度で測定できるため、ASIL (Automotive Safety Integrity Level:車載安全性インテグリティ レベル) B、さらには ASIL D のシステム レベルにも適合できます。図 2 に、機械式接点を 3D ホール効果センサ開発ボードに置き換えるために組み込まれた OEM ステアリング コラム制御モジュールを示します。

GUID-20240220-SS0I-K3ZQ-8SZZ-6SBDQHGKGLBG-low.jpg図 2 テキサス・インスツルメンツの 3D センサ評価基板が組み込まれたステアリング コラム

モーター位置検出は、電気モーターを最適な効率で確実に動作させるための電気モーター設計の基本です。電力効率の要求値が高まるにつれて、モーター シャフトの正確な回転位置を高精度で監視する位置センサの性能の期待値も高まります。‌トラクション インバータ内のマイクロプロセッサと電力段は、モーターの位置を把握することで、モーター コイルに正確な量の電流を供給し、より効率的にトルクを管理できます。その課題は、モーターがフルスピード (100,000rpm 以上) で動作している最中に、定格温度範囲全体にわたって、あり得る最も高い精度 (約 0.5°) で角度を測定することです。LDC5072-Q1 誘導性センサ (誘導性リゾルバとも呼びます) は、本来備わっている浮遊磁界に対する耐性を考えると、この用途に適しています。この技術のもう 1 つの利点は、磁石が不要であることです。図 3 に、トラクション インバータを上部に取り付けた電気モーターを示します。

GUID-20240220-SS0I-W4HT-5C7D-QH9V4D73SN4D-low.jpg図 3 電気モータとトラクション インバータ

自動車の電動化は位置センサの多くの使用事例を生み出しました。その中で最も普及しているのは間違いなく電動パワー ステアリング (EPS) です。EPS が進化し続けるのに伴い、モーター位置センサとホイール位置センサの精度と分解能の要求値も高まっています。EPS システムにおいて、TMAG6181-Q1 はモーターの回転子の位置を 0.4° という最小限の角度誤差で計測でき、2µs 未満のレイテンシで最大 100,000rpm に対応できます。一方、TMAG5170D-Q1 はステアリング ホイールの 3D 位置の判定に有効です。ハンドル角センサは、車両の最適な動作と制御を実現するため、ECU にデータを送信します。

電動化は、自動車だけでなく、電動バイク、電動アシスト付き自転車、電動スクーターなどの交通システムにも及んでいます。これらの製品は長年にわたって使われてきましたが、位置センサを必要とするモーター整流、ケイデンス、ホイール速度検出に新たな進歩が見られます。電動バイクには、注目に値するいくつかの新しいトレンドがあります。

  • 以前は、モーター整流は、3 ラッチのブラシレス DC モーターを実装することで行われていましたが、現在では、電動バイク用モーターの大半のプロバイダは高速、高精度の角度センサを使ってモーターを監視しています。TMAG6180-Q1 AMR センサは、高精度 (室温で 0.1℃) で角度を測定できるため、このアプリケーションに最適です。
  • ホイール速度とケイデンスの監視に TMAG5115 などのホール効果ラッチを使うと、低ジッタと高速応答が実現でき、速度と方向を高精度で測定できます。以前は、ホール効果スイッチは主に車輪の速度検出に使用されていました。