JAJSOW7G September   1994  – July 2022 UC1842A , UC1843A , UC1844A , UC1845A , UC2842A , UC2843A , UC2844A , UC2845A , UC3842A , UC3843A , UC3844A , UC3845A

PRODUCTION DATA  

  1. 特長
  2. アプリケーション
  3. 概要
  4. 改訂履歴
  5. ピン構成および機能
  6. 仕様
    1. 6.1 絶対最大定格
    2. 6.2 ESD 定格
    3. 6.3 推奨動作条件
    4. 6.4 熱に関する情報
    5. 6.5 電気的特性
    6. 6.6 標準的特性
  7. 詳細説明
    1. 7.1 概要
    2. 7.2 機能ブロック図
    3. 7.3 機能説明
      1. 7.3.1 パルス単位の電流制限
      2. 7.3.2 電流検出回路
      3. 7.3.3 エラー・アンプの構成
      4. 7.3.4 低電圧誤動作防止
      5. 7.3.5 発振器
    4. 7.4 デバイスの機能モード
      1. 7.4.1 通常動作
      2. 7.4.2 低電圧誤動作防止 (UVLO) のスタートアップ
      3. 7.4.3 UVLO ターンオフ・モード
  8. アプリケーションと実装
    1. 8.1 アプリケーション情報
    2. 8.2 代表的なアプリケーション
      1. 8.2.1 設計要件
      2. 8.2.2 詳細な設計手順
        1. 8.2.2.1 WEBENCH® ツールによるカスタム設計
        2. 8.2.2.2 UC2842A の設計手順
      3. 8.2.3 アプリケーション曲線
  9. 電源に関する推奨事項
  10. 10レイアウト
    1. 10.1 レイアウトのガイドライン
    2. 10.2 レイアウト例
  11. 11デバイスおよびドキュメントのサポート
    1. 11.1 デバイスのサポート
      1. 11.1.1 開発サポート
        1. 11.1.1.1 WEBENCH® ツールによるカスタム設計
      2. 11.1.2 デバイス命名規則
    2. 11.2 ドキュメントのサポート
      1. 11.2.1 関連資料
    3. 11.3 関連リンク
    4. 11.4 Receiving Notification of Documentation Updates
    5. 11.5 サポート・リソース
    6. 11.6 商標
    7. 11.7 Electrostatic Discharge Caution
    8. 11.8 Glossary
  12. 12メカニカル、パッケージ、および注文情報

パッケージ・オプション

メカニカル・データ(パッケージ|ピン)
サーマルパッド・メカニカル・データ
発注情報

UC2842A の設計手順

このアプリケーション設計手順では、UC2842A のピーク電流モード・コントローラをオフライン・フライバック・コンバータで、ユニバーサル入力から 12V、48W のレギュレートされた出力へ、セットアップして使用する方法を示します。

連続モードのフライバック・アプリケーションで UC2842A のピーク電流モード・コントローラをセットアップし、これを使用した設計を行うには、電力段に関するいくつかの事項を把握する必要があります。まず、出力電力レベル (POUT)、効率 (ƞ)、最小入力電圧 (VIN(min))、ライン周波数 (fLINE)、最小バルク電圧に基づいて、必要な入力バルク容量 (CIN) を計算します。この設計例では、VBULK(min) = 95V にします。

Equation2. GUID-70B5086A-2639-4C41-9B05-473DD55DE617-low.gif
Equation3. GUID-C05DC238-4081-4588-A024-046AA33045F8-low.gif

出力コンデンサ (COUT) のサイズは、大信号の過渡応答時に出力電圧が 10% を超えて降下しないように設定されています。設計のこの時点では、電圧ループのクロスオーバー周波数 (fC) が 2.5kHz と想定します。

Equation4. GUID-2491B67F-B756-4B97-8A20-3117AF41379C-low.gif

この設計で選択した COUT は 2200μF のコンデンサで、等価直列抵抗 (ESR) は 45mΩ です。

次に、最小入力電圧と出力電圧に基づいて、トランスの最大 1 次 / 2 次巻線比 (NPS) を計算します。

Equation5. GUID-20E61AFE-BFAA-4808-9593-E04BFE640E70-low.gif

その次に、UC2842A の出力電圧とバイアス電圧に基づいて、トランスの補助 / 2 次の巻線比 (NAS) を計算します。

Equation6. GUID-077A4B9D-B5AE-4EAF-832D-9D27266C0A65-low.gif

トランスの巻線比を決定すると、最小バルク電圧、デューティ・サイクル (D)、反射出力電流、効率から、トランスの最小 1 次側磁化インダクタンス (LPM) を計算できます。この設計で使用するトランスは、LPM が 1.7mH で、NPS = 10、NAS = 1、fSW = 100kHz です。

Equation7. GUID-79F8C8D2-6D92-4FB9-AE7C-A85E3A2CFA1C-low.gif
Equation8. GUID-3D4D6B3D-898A-4D00-B1C1-C0DD235CF0C8-low.gif

トランスを選択したら、1 次側磁化インダクタンス・リップル (ILPM) とトランス全体での反射出力電流から、トランスの 1 次側ピーク電流 (ILpPK) を計算できます。

Equation9. GUID-8CC89148-59BF-4AF2-8650-91461D95F8D2-low.gif
Equation10. GUID-CF53A2BC-BA44-41AF-92D8-C98AA500A58D-low.gif

1 次側ピーク電流を計算した後で、電流検出抵抗 (RCS) を選択できます。

Equation11. GUID-85DD095F-98B6-407E-B489-EB44916805A7-low.gif

抵抗 RS1 および RS2 を使用して、設計の勾配補償を設定します。コンデンサ CS1 は DC ブロッキング・コンデンサで、プルアップ抵抗 RP を使用して、ノイズ耐性のため電流検出信号を多少オフセットします。RP と RS2 は、電流検出信号に 50mV の DC オフセットを追加するよう、事前に選択済みです。

RS1 は、勾配補償がフライバック・インダクタのリップル電流下り勾配の 1/2 に設定されるように選択します。このために、2 次磁化インダクタンス (LSM) を計算し、RS1 で次の計算を行います。RS1 の式の 1.7V は、発振器のピーク・ツー・ピークのリップル電圧振幅です。

Equation12. GUID-7ED75DC4-5A16-4D6F-9474-3390DD40BA11-low.gif

ここで

  • GUID-FBA568BF-FDBC-4381-A663-851A27998E39-low.gif

抵抗 RI と RK は出力リファレンスに選択されており、RK の値を事前に選択し、TL431 のリファレンス電圧 (VTL431REF) が分かれば計算できます。RK に 2.49kΩ を選択すると、RI が計算され、この抵抗には標準の抵抗値として 9.53kΩ が選択されます。

Equation13. GUID-2DD8CAD4-1EA8-4574-A8E7-19370221B754-low.gif

UC2842A コントローラを使用したこの設計には、多くの部品を持つ、興味深い制御ループがあります。GOPTO(f) は、この設計の光アイソレータ全体についての近似伝達関数です。光アイソレータの極周波数は、fP で表されます。この設計で使用する光アイソレータの電流伝送比は 1 で、極周波数は約 5kHz です。部品の配置とノード電圧については、図 8-1 を参照してください。補償を簡素化するため、電圧ループ (fC) は光アイソレータの極より低くクロスオーバーする必要があります。

Equation14. GUID-812F63B9-1D19-44A2-9137-AD1300C6CF04-low.gif
Equation15. GUID-46DEB1B0-222F-4731-ACA0-9585AA0E1D81-low.gif
Equation16. GUID-AC19DACB-9D74-46CD-BDD7-A0DFBD33339E-low.gif

GBC(f) は、光アイソレータの出力から PWM の制御電圧 への推定伝達関数です。

Equation17. GUID-7F77056F-9165-4C1E-A920-9C62BB8636F3-low.gif

デューティ・サイクルは、バルク入力電圧 (VBULK) によって異なります。VBULK は、通常動作時に 95V~375V の範囲で変動します。これにより、デューティ・サイクルは 24%~56% の範囲で変動します。

Equation18. GUID-F98519E4-EBAF-47D9-BF52-864D7EFD6F87-low.gif

GCO(f) は、制御 (VC) から出力への推定伝達関数です。ここで、変数 Q は品質係数です。

Equation19. GUID-1A8C1376-2487-4F49-95A0-B7596F9E9BEB-low.gif

品質係数 (Q) は、 1 次側の磁化インダクタンスの電圧変化 (SN) をデューティ・サイクルの関数で表したものとして定義されます。これには勾配補償 (SE) が追加されます。

Equation20. GUID-36FD6F3B-052F-4540-B567-50D7374CAF83-low.gif
Equation21. GUID-011027EE-E848-4C90-98F0-73C9E7DDF60D-low.gif
Equation22. GUID-E924F30F-34C8-4A6B-A1C5-E1B6E4D17494-low.gif

電圧ループが安定していることを保証するには、フライバック・コンバータの右半面のゼロ周波数 (fRHPZ) の半分よりもクロスオーバー周波数が低い必要があります。最小バルク電圧において、右半面のゼロ周波数は約 9.8kHz です。この設計例で、電圧ループの目標クロスオーバーは 1kHz です。実際の fC は、目標よりも高い場合と低い場合があります。

Equation23. GUID-92BD0E3E-171E-47CD-AB15-05C07FF7E5C6-low.gif
Equation24. GUID-4CA1F678-E5C8-4BAC-BBCE-4D50824DD7C7-low.gif

GCO(f) の DC ゲインは、バルク入力電圧とともに変化します。抵抗 RZ は、コンバータへの入力が VBULK(min) のときに電圧ループをクロスオーバーし、最大クロスオーバー周波数の 1/5 でクロスオーバーするよう選択します。

Equation25. GUID-8486F72C-DCBC-4341-BFAB-E98E8C4134C2-low.gif

コンデンサ CZ は、電圧ループのクロスオーバーで 45° の位相マージンが追加されるよう選択します。この設計例では、6.8nF のコンデンサが使用されています。

Equation26. GUID-13F3A173-D1D2-40A2-BC22-0520A6F41DBC-low.gif

コンデンサ CP は、制御ループの高周波ゲインが減衰するように選択します。

Equation27. GUID-E3E642A9-351F-4C3F-97B2-F25815201CAD-low.gif

GC(f) は、TL431 の補償の推定伝達関数です。

Equation28. GUID-1728D61E-F57B-4311-A3AF-95D7551693EC-low.gif

TV(f) は、システムの閉ループ・ゲインの推定される理論的な伝達関数です。実際の回路では帰還ループ応答が異なる場合があり、実際の回路の性能と信頼性を満たすため、ネットワーク・アナライザで調整が必要な場合があります。帰還ループの応答は、設計パラメータのワースト・ケース変動に照らして評価する必要があります。

Equation29. GUID-89D123B3-CEC8-460A-A4EB-6FBC008B9E27-low.gif

このアプリケーション例では、この設計手法により 1kHz で理論的な帰還ループ (TV(f)) クロスオーバーが生成され、最小入力バルク電圧 95V で約 55° の位相マージンが得られます。高ラインでの理論的な電圧ループは、2.7kHz でクロスオーバーし、位相マージンは 72° です。図 8-2 および図 8-3 を参照してください。TV(f) は、ネットワーク・アナライザで評価し、必要なら実際の回路動作に基づいてループ補償を調整する必要があります。また、過渡テストを行い、デバイスが安定していることを確認します。