JAJA700 May 2022 AM623 , AM625
AM62x プロセッサは、さまざまなレベルの消費電力で最適化された低消費電力モードをサポートしています。すなわち、部分的 I/O モード、ディープスリープ・モード、スタンバイ・モード (mW未満 から 数mW まで) があります。 表 2-2 に、AM62x プロセッサでサポートされる各種低消費電力モードの概要を示します。
低消費電力モード | ウェイクアップ発生元 | アプリケーションの状態と使用事例 |
---|---|---|
部分的 I/O | CANUART I/O バンク・ピン | CANUART I/O バンクの I/O ピンからの I/O ウェークアップ機能を維持するために、CANUART I/O バンク の I/O ピンを除いて、SoC全体がオフになります。 |
ディープスリープ | GP タイマ、RTC タイマ、UART、I2C、MCU GPIO0、 I/O デイジー・チェーン、USB ウェークアップ・イベント | コア・ドメインのレジスタ情報は失われます。コア・ドメインのオンチップ・ペリフェラル・レジスタ (コンテキスト) 情報は、このモードに移行する前に、アプリケーションによって DDR に保存する必要があります。DDR はセルフ・リフレッシュになっています。ブート ROM が実行され、ウェークアップのためのペリフェラル・コンテキスト回復に分岐して、その後システムが再開されます。このモードは主に、バッテリ寿命またはバックアップ動作のための RAM へのサスペンドに使用されます。 |
MCU のみ | MCU チャネルで、ディープスリープ・ウェークアップ・イベント、割り込みイベントをサポート | MCU サブシステムは、MCU の PLL クロックで動作します。それ以外の SoC のステータスは、ディープスリープと同じです。DDR はセルフ・リフレッシュになっています。この低消費電力モードでは、MCUドメインのペリフェラルを使用してアプリケーションを実行できます。 |
スタンバイ | いずれかの SoC 割り込みイベント | オンチップの内容は完全に維持されます。いずれかの SoC 割り込みイベントによって、この低消費電力モードからウェークアップ・イベントを発生させることができます。A53 および MCU M4F は、WFI またはパワーダウン状態です。DDRメモリはセルフ・リフレッシュになっています。このデバイスは、ウェークアップ/ MCU ドメイン以外のペリフェラルを使用して低レベルの処理を実行でき、これらのペリフェラルからのウェークアップをサポートします。 |
部分的 I/O:CANUART I/O バンクの I/O ピンと小規模なロジックがアクティブになり、SoC の残りの部分はオフになります。ユーザーは、I/Oピンを使用して複数の I/O ウェークアップ・イベントを集約し、PMIC_LPM_EN ピンを切り替えて、I/O ウェークアップ・イベントがトリガされたときに PMIC またはディスクリート電源ソリューションをイネーブルにできます。I/O ウェークアップ・イベントに関する情報は、CANUART I/O バンクの MMR に記録されるので、ソフトウェアがコールド・ブートとウェークアップを区別してウェークアップ・イベントに迅速に応答するのに役立ちます。このモードを使用して、CAN ウェークアップまたはイーサネット・ウェークアップをサポートできます。
ディープスリープ:ディープスリープ・モードは、スタンバイまたは MCU のみモードよりも低い消費電力を実現します。通常、ディープスリープモードは、処理や高性能が必要なイベント発生を待っている間、消費電力を非常に低くしたい場合に使用します。ディープスリープは、 DDR をセルフリフレッシュにした状態でも消費電力が最小のモードであるため、ウェークアップ・イベントは完全なコールド・ブートを必要とせず、ウェークアップ・レイテンシを大幅に短縮できます。RTC または他のタイマ機能が不要な場合は、両方の発振器を無効にすることで、このモードで最小の消費電力を実現できます。
MCU のみ:MCUのみモードは、低消費電力モード時に低レベルの処理を必要とする、低消費電力の使用事例で使用できます。SoC のステータスは、ディープスリープと同じですが、MCU チャネルが完全にアクティブであり、MCU チャネル・リソースとペリフェラルを使用してアプリケーションを実行できます。MCU チャネルのいずれかの割り込みイベントによって、MCU のみモードからウェークアップを開始できます。また、ディープスリープでサポートされているウェークアップ・イベントは、MCU のみモードからのウェークアップもトリガすることができます。
スタンバイ:デバイスをスタンバイ・モードに設定して、低いアクティビティ・レベルでの消費電力を低減できます。この第 1 レベルのパワー・マネージメントを使用すると、デバイスのコンテキストを維持して、高速な復帰時間を実現できます。スタンバイ状態では、アクティブ・モードより消費電力が低くなりますが、電源オフになったドメインのコンテキストをオンチップ・メモリまたは DDR に保存して、ウェークアップ時に正常に復帰するために、そのコンテキストを回復する必要があります。