JAJA757 February   2023 LM5177

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   商標
  4. 1はじめに
  5. 2デジタル・フィルタの設計
  6. 3ATRK 機能のプラント伝達関数
  7. 4ATRK プラント用アナログ・コントローラ
  8. 5Z 変換と差分方程式
  9. 6アプリケーションと実装
    1. 6.1 ソフトウェアのフローチャート
    2. 6.2 アプリケーションのデモ
    3. 6.3 DTRK を使用した実装
  10. 7まとめ
  11. 8関連資料

アプリケーションのデモ

設計したデジタル・コントローラで ATRK 閉ループの応答を検証するために、IQmath を使用してフィルタをマイコンに実装しています。図 6-2 の結果は、コンバータの出力負荷電流が動的な電流制限でスムーズに遷移していることを示しています。このテストでは、動的な電流制限の目標値として、0.5A、1A、1.5A、2A を選択しています。VImon には昇降圧のスイッチング周波数の高調波が含まれているため、IMONOUT ピンの出力にはローパス・フィルタの使用が推奨されます。この例のスイッチング周波数は 395kHz です。ローパス・フィルタの静電容量の値は、コントローラの応答に大きな影響を及ぼすため、小さい値にすることが推奨されます。このテストでは、ローパス・フィルタの値は Cf = 5 pF、Rf = 3 MΩ としています。このフィルタのカットオフ周波数は 10kHz です。この解析では、式 1 で定義されたプラント伝達関数にローパス・フィルタの伝達関数が含まれています。

テストのスコープ・プロットを 図 6-2 に示します。設計したデジタル・コントローラによる昇降圧コントローラの ATRK 機能の動作が実証されています。スコープ・プロットに示されているように、電流制限は 500ms ごとに上述の選択された目標値に変化し、その遷移に対する応答が ATRK 波形と負荷電流 (I_Load )波形に示されます。

GUID-20221031-SS0I-X6JQ-XLQX-KLCQX4M3WNX4-low.svg図 6-2 設計したハードウェアによる動的な電流調整の結果