JAJA782 March   2022 AMC23C14

 

  1.   1
  2.   2

設計目標

過電圧レベル低電圧レベルローサイド VDDハイサイド VDD過渡応答時間
28.8 V20.4 V2.7 V~5.5V24 V360 ns

設計の説明

この高速な絶縁型の低電圧および過電圧検出回路は、スレッショルドを調整可能なデュアル絶縁型ウィンドウ コンパレータ (AMC23C14) を使用して実装されています。この回路は、リモート モジュールの電源電圧が有効な範囲内かどうかをコントローラ側で検出する必要がある、産業用フィールド電源アプリケーション向けに設計されています。

AMC23C14 は、堅牢な強化絶縁性能と、100kV/μs (最小値) の高い CMTI、調整可能なデュアル ウィンドウ コンパレータのスレッショルド、広いハイサイド電源電圧範囲 (3V~27V)、拡張産業用温度範囲 (-40℃から +125℃) の性能から選択されました。

AMC23C14 低電圧および過電圧検出の回路図低電圧および過電圧検出の回路図

デザイン ノート

  1. 誤差を最小化するため、分圧器 (R5 および R6) とスレッショルド設定抵抗 (R1) には高精度の抵抗を選択します。
  2. AMC23C14 はフィールド電源から電力を供給され、ツェナー ダイオードとシャント抵抗によって 30V (絶対最大電源電圧) を超える電圧から保護されています。
  3. 目的の動作電圧範囲に基づいて、分圧抵抗とスレッショルド設定抵抗を選択します。

設計手順

  1. 電源が最小有効動作電圧の 20.4V (24V - 15%) を超えたとき、固定の内部 300mV スレッショルドをトリップするために必要な電圧分圧比を決定します。Vsupp が必要な動作電圧である 24V のとき、電流が 100μA に設定されるよう、分圧抵抗の合計の抵抗値を決定します。
    I N = V s u p p ( R 6 R 5 + R 6 )  
    300   m V = 20.4   V ( R 6 R 5 + R 6 )
    V s u p p = 100   μ A × ( R 5 + R 6 )
    24   V = 100   μ A × ( R 5 + R 6 )

    方程式系を解くと、R5 = 236kΩ、R6 = 3.52kΩが得られます。

  2. 電源が 28.8V (24V + 20%) を超えたときに調整可能なスレッショルド コンパレータをトリップするよう、スレッショルド設定抵抗の値を決定します。
    I N = V s u p p ( R 6 R 5 + R 6 )  
    I N = 28.8   V ( 3.52   k Ω 237   k Ω + 3.52   k Ω )  
    I N = 0.42   V
    V r e f   =   I N
    R 1 = V r e f I r e f =   0.42   V 100   μ A = 4.2   k Ω
  3. 推奨動作電源電圧よりも高い電圧から AMC23C14 を保護するため、27V のツェナー ダイオードを選択します。

設計シミュレーション

以下の図は、低電圧および過電圧検出回路の SPICE シミュレーション波形です。VDD1 入力も含まれています。これは、ツェナー ダイオードが動作範囲外の電圧から VDD1 入力を保護することを示しています。「低電圧および過電圧検出回路の SPICE シミュレーション - 立ち上がり」は、出力トリガ ポイントが入力電圧の立ち上がりにあるときの Spice シミュレーションを示しています。「低電圧および過電圧検出回路の SPICE シミュレーション - 立ち下がり」は、出力トリガ ポイントが入力電圧の立ち下がりにあるときの同様の画像です。2 つの図を比較すると、立ち下がり電圧入力のほうがトリガ ポイントの値が 0.3V 低くなっています。

AMC23C14 低電圧および過電圧検出回路の SPICE シミュレーション - 立ち上がり低電圧および過電圧検出回路の SPICE シミュレーション - 立ち上がり
AMC23C14 低電圧および過電圧検出回路の SPICE シミュレーション - 立ち下がり低電圧および過電圧検出回路の SPICE シミュレーション - 立ち下がり

応答の測定結果

以下の図は、低電圧および過電圧検出回路で測定された出力を、Vsupp 電圧 (トレース 1) と比較したものです。AMC23C14 にはオープン ドレイン出力があり、通常は VDD2 にプルアップされ、入力電圧が各コンパレータのスレッショルド電圧を超えると Low に駆動されます。これらの測定では、Vsupp が 28.8V を超えると OUT1 (トレース 3) は Low に遷移し、Vsupp が 20.8V を超えると OUT2 は Low に遷移します。コンポーネントのばらつきやコンパレータのヒステリシスはトリップ スレッショルドに影響を与える可能性がありますが、この場合トリップ ポイントは目標値の 1% 未満です。Vsupp が立ち上がりまたは立ち下がりのとき、電圧スレッショルドはわずかに変化します。2 番目の波形はこれを表しており、OUT1 が 28.8V ではなく 28.6V でトリガされています。

AMC23C14 Vsupp が増加するときの波形キャプチャVsupp が増加するときの波形キャプチャ
AMC23C14 Vsupp が減少するときの波形キャプチャVsupp が減少するときの波形キャプチャ

以下の図は、低電圧および過電圧検出回路で測定された出力で、AMC23C14 の出力を VIN 電圧 (トレース 2) と比較したものです。これらの測定結果から、コンパレータのトリップ スレッショルドが、「設計手順」セクションのステップ 2 の式で定義されている、内部コンパレータのスレッショルドが 300mV、外部で設定されるスレッショルドが 420mV で設定される目標値と一致することが確認されます。

AMC23C14 Vsupp が増加するときの IN の波形Vsupp が増加するときの IN の波形
AMC23C14 Vsupp が減少するときの IN の波形Vsupp が減少するときの IN の波形

設計に使用しているデバイス

デバイス 主な特長 デバイスのリンク
AMC23C14
  • 広いハイサイド電源電圧範囲:3V~27V

  • ローサイド電源電圧範囲:2.7V~5.5V

  • デュアル ウィンドウ コンパレータ

    • ウィンドウ コンパレータ 1:±20mV~±300mV の可変スレッショルド

    • ウィンドウ コンパレータ 2:±300mV の固定スレッショルド

  • 正 (非反転) 入力を使用するコンパレータ モードをサポート:

    • Cmp0:600mV~2.7V の可変スレッショルド

    • Cmp2:300mV の固定スレッショルド

    • Cmp1 および Cmp3:無効

  • スレッショルド電圧調整のリファレンス:100µA、±2%

  • トリップ スレッショルドの誤差:250mV のとき ±1% (最大値)

  • 伝搬遅延:290 ns (標準値)

  • 「高 CMTI:15 kV/µs (最小値)

  • オープン ドレイン出力

  • 安全関連認証:

    • DIN VDE V 0884-11 に準拠した強化絶縁耐圧:7000VPK

    • UL1577 に準拠した絶縁耐圧:5000VRMS (1 分間)

  • 拡張産業温度範囲の全体にわたって完全に仕様を規定:-40℃~+125℃

デバイス:AMC23C14

類似デバイス: 絶縁型アンプ

設計の参照資料

テキサス・インスツルメンツの総合的な回路ライブラリについては、『アナログ エンジニア向け回路クックブック』を参照してください。

テキサス・インスツルメンツ、『AMC23C14 AMC23C14 デュアル、高速応答、強化絶縁型ウィンドウ コンパレータ、可変スレッショルド付き』データシート