JAJA871 May   2025 TPS1685 , TPS1689 , TPS25984 , TPS25985

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   商標
  4. 1はじめに
  5. 2スタッカブルおよび並列動作における eFuse の課題
  6. 3eFuse における電流分配技術
    1. 3.1 個別の eFuse 過電流制限による並列動作
    2. 3.2 並列動作時のシステム全体過電流制限
    3. 3.3 アクティブ電流共有 (ACS) による並列動作
  7. 4まとめ
  8. 5参考資料

スタッカブルおよび並列動作における eFuse の課題

本アプリケーションでは、TPS1685 を並列動作の前提として検討しています。eFuse を並列構成で動作させる際、eFuse 間の電流バランスは大きな課題となります。並列動作を成功させるには、定常状態において並列接続されたデバイス間で電流が均等に分担されていることが重要です。図 図 2-1 は、N 個の eFuse デバイスが並列接続された構成を示しています。入力端子および出力端子はそれぞれ接続されています。

従来のスタッカブル eFuse は独立して動作し、それぞれが図 式 1 に示すようにシステム全体のスレッショルドを eFuse の数で割って算出された定義済みのトリップ スレッショルドを持っています。この分散型アプローチでは、各 eFuse は他の eFuse の状態や動作を認識していないことを意味します。

式 1. Ithreshold=ItotalN

仕様が完全に一致し、各 eFuse 経路の PCB トレース抵抗も均一である構成では、この設計は正常に機能し、システムの目標のスレッショルドで正確にトリップします。しかし、eFuse の Rdson、コンパレータのスレッショルドや基準電圧、および PCB トレース抵抗に不整合がある場合、個別の過電流スレッショルドを持つ eFuse は異なるスレッショルドでトリップする可能性があります。Rds(on)、経路抵抗、およびスレッショルドが低い eFuse は、システム全体の負荷電流が過電流スレッショルド以下であっても、より早くトリップします。これによりシステム全体の過電流スレッショルドが低下し、通常動作時に誤トリップを引き起こす原因となります。

 N 個の eFuse デバイスの並列接続数図 2-1 N 個の eFuse デバイスの並列接続数