JAJA894 June 2025 CDC6C
テスト対象の発振器デバイスごとに、低ノイズの電源基板から 3.3V の入力電圧を印加しました。図 3-1に、電源と CDC6C EVM 発振器ボードのテスト設定のほか関連する接続を示します。
図 3-1 放射エミッションテストのセットアップ
回路基板の接続状況図 3-2に、3.3V 電源のフィルタリング回路を示します。この回路は、低ノイズ LDO を 1 個搭載しており、CDC6C EVM の発振器ボードに 3.3V の電源を供給します。このボードは、ノイズフィルタリング用に追加のバイパスコンデンサを搭載しています。
CDC6Cと他社の発振器をCDC6C EVMにはんだ付けし、一度に1個ずつテストしました。放射エミッションデータは、水平アンテナを使用して、プレコンプライアンス用の CISPR-32 放射エミッションセットアップから収集しました。表 3-1に、テストした各デバイスと関連する周波数を示します。
| メーカー | 部品番号 | 周波数 |
|---|---|---|
| TI | CDC6CE025000EDLFR | 25MHz |
| TI | CDC6CE050000EDLER | 50MHz |
| TI | CDC6CE024000EDLER | 24MHz |
| A社 | A社 | 25MHz |
| B社 | B社 | 50MHz |
| C社 | C社 | 24MHz |
図 3-3および図 3-4に、25MHz デバイス、競合他社であるA 社の水晶発振器、CDC6CE025000EDLFR BAW 発振器について、周波数全体にわたるそれぞれの放射エミッション性能を示します。表 3-2には、テストを行った水晶発振器と比較すると、TI の BAW 発振器による 1dB ~ 4dB の放射エミッション性能の改善が見られます。
図 3-3 A 社との比較:水晶発振器
図 3-4 CDC6CE025000EDLFR (BAW
発振器)| 周波数 | A社 | CDC6CE025000EDLFR | TI Delta |
|---|---|---|---|
| 75MHz | 23dB | 25dB | +2dB 悪化 |
| 175MHz | 11dB のベースラインを上回るスプリアスなし | 10dB のベースラインを上回るスプリアスなし | -1dB 改善 |
| 225MHz | 10dB のベースラインを上回るスプリアスなし | 11dB のベースラインを上回るスプリアスなし | +1dB 悪化 |
| 250MHz | 9dB のベースラインを上回るスプリアスなし | 5dB のベースラインを上回るスプリアスなし | -4dB 改善 |
| 275MHz | 25dB | 24dB | -1dB 改善 |
図 3-5 と図 3-6に、50MHz デバイス、B 社の水晶発振器、CDC6CE050000EDLER BAW 発振器について、周波数全体にわたるそれぞれの放射エミッション性能を示します。表 3-3には、テストを行った水晶発振器と比較すると、TI の BAW 発振器による 2dB ~ 6dB の放射エミッション性能の改善が見られます。
図 3-5 B 社との比較:水晶発振器
図 3-6 CDC6CE050000EDLER (BAW
発振器)| 周波数 | B社 | CDC6C050000EDLER | TI Delta |
|---|---|---|---|
| 100MHz | 17dB | 15dB のベースラインを上回るスプリアスなし | -2dB 改善 |
| 150MHz | 24dB | 19dB | -5dB 改善 |
| 200MHz | 24dB | 18dB のベースラインを上回るスプリアスなし | -6dB 改善 |
| 250MHz | 24dB | 25dB | +1dB 悪化 |
| 350MHz | 24dB | 28dB | +4dB 悪化 |
| 450MHz | 27dB | 24dB | -3dB 改善 |
| 500MHz | 31dB | 25dB のベースラインを上回るスプリアスなし | -6dB 改善 |
| 550MHz | 30dB | 26dB のベースラインを上回るスプリアスなし | -4dB 改善 |
| 600MHz | 30dB | 26dB のベースラインを上回るスプリアスなし | -4dB 改善 |
| 650MHz | 30dB のベースラインを上回るスプリアスなし | 30dB のベースラインを上回るスプリアスなし | 同等 |
図 3-7と図 3-8に、24MHzデバイス、C 社の水晶発振器、CDC6CE024000EDLER BAW発振器について、周波数全体にわたるそれぞれの放射エミッション性能を示します。表 3-4には、テストを行った水晶発振器と比較するとと、TI の BAW 発振器による 3dB ~ 18dB の放射エミッション性能の改善が見られます。
図 3-7 C 社との比較:水晶発振器
図 3-8 CDC6CE024000EDLER (BAW
発振器)| 周波数 | C社 | CDC6CE024000EDLER | TI Delta |
|---|---|---|---|
| 72MHz | 18dB | 20dB | +2dB 悪化 |
| 120MHz | 11dB のベースラインを上回るスプリアスなし | 11dB のベースラインを上回るスプリアスなし | 同等 |
| 168MHz | 23dB | 20dB のベースラインを上回るスプリアスなし | -3dB 改善 |
| 216MHz | 22dB | 19dB のベースラインを上回るスプリアスなし | -3dB 改善 |
| 264MHz | 29dB | 11dB のベースラインを上回るスプリアスなし | -18dB 改善 |
| 312MHz | 13dB のベースラインを上回るスプリアスなし | 9dB のベースラインを上回るスプリアスなし | -4dB 改善 |
結果全体を分析すると、平均的な T I の CDC6C BAW 発振器は、テストを行った従来の水晶クロック水晶発振器に比べて放射エミッションレベルが低くなることが示されました。