JAJSDA4H February 2013 – June 2017 LM5122
PRODUCTION DATA.
ピーク電流モード・レギュレータは、50%を超えるデューティ・サイクルで動作するときに不安定な動作を示すことがあります。この動作は分数調波の発振として知られ、SWピンに広いパルスと狭いパルスが繰り返し発生することが特徴です。分数調波の発振は、検出されるインダクタ電流の上に、勾配電圧ランプ(勾配補償)を追加することで、防止できます。K ≥ 0.82~1を選択すると、入力電圧が広い範囲で変動しても、分数調波の発振は除去されます。
時間ドメイン分析では、初期位置から開始した定常状態のインダクタ電流が同じ位置に戻ります。初期摂動(dI0)により引き起こされるエンド・サイクル電流誤差(dI1)の振幅がdI0の振幅より小さい、またはdI1/dI0 > -1のとき、その摂動は数サイクル後には自然消滅します。dl1/dl0 < -1のとき、最初の摂動は消滅せず、定常状態で分数調波の発振が引き起こされます。
Figure 27. dl1/dl0 < -1のときの初期摂動の影響 dI1/dI0は次のように計算できます。
dI1/dI0とK係数との関係を、Figure 28に図示します。
Figure 28. dl1/dl0とK係数との関係 Kの絶対最小値は0.5です。K < 0.5のとき、dl1の振幅はdl0の振幅よりも大きくなり、どんな初期摂動も分数調波の発振を引き起こすことになります。K = 1のときは、どんな初期摂動も1スイッチング・サイクルで除去されます。これは、1サイクル・ダンピングと呼ばれます。-1 < dl1/dl0 < 0のときは、どんな初期摂動もアンダーダンプされます。0 < dl1/dl0 < 1のときは、どんな摂動もオーバーダンプされます。
周波数ドメインでは、変調器の伝達関数のサンプリング・ゲイン項の品質係数であるQを使用して、分数調波の発振の傾向が予測でき、次のように定義されます。
QとK係数との関係を、Figure 29に示します。
Figure 29. サンプリング・ゲインのQとK係数との関係 Kに推奨される絶対最小値は0.5です。Kが0.5よりも小さい場合は、高いゲイン・ピーキングにより、fSW/2で分数調波発振が生じます。K係数の値がこれより高い場合、クロスオーバー周波数の近くに新たな位相シフトが発生する可能性がありますが、電流ループのノイズ感受性を減らす効果があります。K係数に許容される最大値は、Table 2の周波数分析数式に含まれる最大クロスオーバー周波数の式で計算できます。
| 簡略数式 | 包括的な数式(1) | |
|---|---|---|
| 変調器の伝達関数 |
|
|
| 変調器のDCゲイン (2) |
|
|
| RHPゼロ (2) |
|
|
| ESRゼロ |
|
|
| ESR極 | 考慮対象外 |
|
| 支配的な負荷極 |
|
|
| サンプリングされたゲイン・インダクタ極 | 考慮対象外 |
|
| 品質係数 | 考慮対象外 |
|
| 分数調波の2重極 | 考慮対象外 |
または |
| K係数 | K = 1 |
|
| 帰還伝達関数 |
|
|
| 帰還DCゲイン |
|
|
| 中間バンドのゲイン |
|
|
| 低周波数のゼロ |
|
|
| 高周波数の極 |
|
|
| 開ループ応答 |
|
|
| クロスオーバー周波数(3)
(開ループ帯域幅) |
|
グラフィック・ツールを使用 |
| 最大クロスオーバー周波数(4) |
|
|
、
、
、
、
が想定されています。