JAJT316 April   2024 AMC131M03 , AMC3302 , TMCS1126

 

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    2.     EV 充電および太陽光発電アプリケーションにおける効率と電力変換
    3.     計測
    4.     パワー ゲートの高精度制御
    5.     まとめ
    6.     参考情報

Alex Smith と Cierra Cowley

私たちの社会は日々の生活を電力網(グリッド)に頼っているため、確かな日常を送るために、グリッドの監視と維持は不可欠です。非再生可能エネルギー源から再生可能エネルギー源への移行が進むにつれて、グリッドの毎日の供給と需要の関係は変わりつつあります。そのため、私たちはグリッドの変化する要求に対応する必要があります。

ホール効果方式またはシャント方式の検出を利用して実現されることが多い絶縁型電流検出は、グリッドに流れ込む電流とグリッドから流れ出す電流を安全かつ正確に測定できるため、グリッドの管理に役立ちます。たとえば、電気自動車 (EV) 充電および太陽光発電システムでは、低電圧の制御回路を高電圧の過渡から保護するために、絶縁が必須です。

図 1 に、EV 充電および太陽光発電アプリケーションにおける電流検出を示します。これらのアプリケーションでは、効率、計測、パワー ゲートの制御において、電流検出も重要な役割を果たします。この記事では、EV チャージャおよびソーラー エネルギー システムにおいて、正確かつ安全に電流を検出する方法について説明します。

GUID-20240403-SS0I-BJBX-QQNB-2CG6BVNT28GD-low.jpg図 1 EV 充電および太陽光発電における電流の例

EV 充電および太陽光発電アプリケーションにおける効率と電力変換

DC 高速チャージャとソーラー インバータは、類似の主電源変換ビルディング ブロックを共有しています。DC 高速チャージャは、グリッドから供給される AC 電力を DC 電力に変換し、EV のバッテリを充電します。太陽光発電パネルは DC 電力を AC 電力に変換し、接続されたグリッドに電力を供給します。

EV 充電の場合、基本的な DC 高速チャージャは「共通結合点」と呼ばれる場所でグリッドに接続します。後続の力率補正段からのノイズがグリッドに結合しないようにするための電磁干渉フィルタが、共通結合点の直後に配置されており、測定精度を維持しています。この高い精度が、AC/DC 変換の効率を高めることを可能にしています。

EV チャージャと同様に、太陽光発電パネルはグリッドと接続しています。‌太陽光発電パネルは、パネルに太陽光が当たっているかどうかと、パネルに照射される紫外線の量に応じて変動する DC 電圧を生成します。次に、ソーラー インバータは DC 電力を AC 電力に変換し、その AC 電力は共通結合点で AC 電力グリッドに統合されます。ここで、ソーラー インバータの出力電圧がグリッドの電圧と一致するには、絶縁型電流測定は正確である必要があります。

計測

電力量の正確な測定と課金には、正確な電流測定が必要です。共通結合点において、DC 高速チャージャが使用する電力量を記録するのに、電流検出を使って計測することもあります。DC 高速チャージャの正常性を記録することは、エンド ユーザーへの適切な課金の決定だけでなく、保守の必要性の確認にも役立ちます。

太陽光発電パネルの場合、再生可能エネルギーをグリッドに統合するため、計測器で共通結合点を監視しています。電流のわずかな経時変化を記録するには、寿命全体を通じての高い精度が必要とされるため、設計者はしばしば AMC131M03 などのシャント方式の絶縁型電流センサを使用することを選択します。なぜなら、開ループ技術の絶縁型電流センサの精度は時間の経過とともにドリフトする可能性がある一方、シャント方式の絶縁型電流センサは寿命全体を通じてドリフトしないためです。シャント方式の電流検出技術は、システムの寿命全体にわたり、性能低下の防止に役立ちます。

パワー ゲートの高精度制御

絶縁型電流検出のもう一つの種類として、ホール効果を利用した電流検出が挙げられます。ホール効果方式の電流検出は、電力変換段のパワー ゲートの高精度スイッチングを制御するために使用される電流を検出できます。電力変換段では、電流の振幅が大きく、全範囲にわたる精度が必要とされないため、10 ビット精度がしばしば許容されます。したがって、使いやすさと低コストを特長とする、TMCS1126 電流センサなどの‌ホール効果方式の技術がよく使われます。

DC 高速チャージャの出力において、自動車への接続ではしばしばシャント方式の電流測定機能が採用されます。自動車のバッテリの安全に充電するために、高い精度が優先されるためです。一方、ソーラー インバータの入力では、最大限の電力を生成するための最大電力点追従アルゴリズムにおいて、AMC3302 絶縁型アンプによるシャント方式の高精度電流検出がしばしば使用されます。

まとめ

電流検出は、再生可能エネルギーの将来を前進させることができるだけでなく、グリッドを適切かつ安全に管理できる重要な保護機能を実現します。電気自動車と再生可能エネルギーの増加は、DC 高速充電ステーションと太陽光発電パネルへの追加投資を促します。EV 充電アプリケーションと太陽光発電アプリケーションの両方で、シャント方式とホール効果方式の絶縁型電流検出は、安全で高効率の動作を確保する上で不可欠です。

参考情報