JAJT467 April 2025 LM5066I
太陽光発電や風力発電などの電力源を使用した、より持続可能性の高いエネルギー グリッドへの移行を進めている現状で、改善対象地域の特定、使用量の最適化、コスト削減を達成するうえで、個別の消費電力に関する詳細な情報を取得するエネルギー メーター デバイスが必要になっています。エネルギー計量サブシステムを必要とする電子最終製品には、スマート電気メーター、電気自動車 (EV) 充電ステーション、電源およびパワー ディストリビューション ユニット、スマート家電、街灯、ビルディング オートメーション コンポーネントなどが含まれます。このような製品の膨大な数によって、エネルギー メーター ソリューションのコストを可能な限り低く抑えることが求められています。一方、米国規格協会 C12 (米国) や欧州の計測機器指令 (Measuring Instruments Directive) などの地域計量規格では、正確性と安全性について厳しい要件[1]、[2]が課されています。
図 1 に、エネルギー計測アプリケーション内の代表的なシグナル チェーンを示します。単純化のため 1 つの相のみを示しています。A/D コンバータ (ADC) は、各位相の電圧と電流の測定とデジタル化を同時に実行します。その後、デジタル信号処理により、有効電力と無効エネルギー、ライン間電圧、基本電力とエネルギー、高調波[3]などの計測パラメータを抽出します。
シグナル チェーンの基本的なビルディング ブロックは次のとおりです。
ライン電圧センシングのフロント エンドはほとんどの場合、シンプルな抵抗分圧器[3]を使用して実装されますが、他のすべてのビルディング ブロックを選択するためのさまざまなオプションがあります。これらのシグナル チェーン コンポーネントのそれぞれに関して、性能、サイズ、コストの間にトレードオフが存在します。この記事では、電流測定センサとシグナル コンディショニング、および ADC の性能とコストのトレードオフに注目しています。