JAJY111C january   2023  – april 2023 LMQ61460-Q1 , TPS54319 , TPS62088 , TPS82671 , UCC12040 , UCC12050

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   概要
  4.   電力密度とは
  5.   電力密度を制限する要因
  6.   電力密度を制限する要因:スイッチング損失
  7.   主な制限要因 1:充電関連の損失
  8.   主な制限要因 2:逆回復の損失
  9.   主な制限要因 3:ターンオン損失とターンオフ損失
  10.   電力密度を制限する要因:放熱性能
  11.   電力密度の障壁を打破する方法
  12.   スイッチング損失の革新
  13.   パッケージの放熱特性の革新
  14.   先進的な回路設計による革新
  15.   統合の革新
  16.   まとめ
  17.   その他の資料

先進的な回路設計による革新

Rsp の縮小と RQ FoM の低下に伴う望ましくない副作用は、ドレイン電荷の減少が遷移損失につながることです。図 17 に示されるように、電圧オーバーシュートを固定的な量とすると、ドレイン電荷の減少によって、この降圧コンバータのターンオフ損失が大幅に大きくなることがわかります。このトレードオフが存在する関係上、新しい先進的なゲート・ドライバ IP (知的財産) によって、できるだけ早く MOSFET のスイッチングを行いながら、MOSFET の RQ FoM を改善する継続的なロードマップの中で、各 MOSFET を電気的な安全動作領域内に維持する必要があります。ドレイン電荷が減少すると、ドレイン - ソース間の固定的な電圧ストレスを維持するために、ターンオフ・エネルギーが増加します。

GUID-20220829-SS0I-SXHB-5KV8-06NG36TGQ5JB-low.gif図 17 MOSFET のさまざまなテクノロジーでのターンオフ・エネルギー損失。

これらの考え方に沿って、TI が最近開発したゲート・ドライバ・ファミリの手法は、RQ FoM が小さい MOSFET であっても非常に高速なスイッチングを可能にしています。その結果、電荷損失と遷移損失を改善すると同時に、各 MOSFET を引き続き電気的な安全動作領域内に維持することができます。図 18図 19 の比較から理解できるように、ターンオフ・エネルギー損失を最大 79% 低減しながら、ピーク電圧ストレスを固定値に維持することが可能です。設計によっては、図 19 に示すように、この低減を実現すると、ピーク効率ポイントで最大 4% の効率上昇を達成できます。

GUID-20220829-SS0I-GPKM-RMHQ-ZGFL6JM6D6JS-low.gif図 18 低ドレイン電荷と低ターンオフ・エネルギーを実現するゲート・ドライバ IP の比較。
GUID-20220826-SS0I-BMGG-HVQM-2N813R6FJXGQ-low.svg図 19 ゲート・ドライバ IP がシステム効率に及ぼす影響。

先進的なゲート・ドライバ・テクノロジーに加え、トポロジーの革新を通じて電力密度を向上させる大きな機会も生じています。図 20 は、FC4L (flying capacitor four-level、フライング・コンデンサ 4 レベル) コンバータ・トポロジーを示しています。このトポロジーを採用すると、デバイスの電圧定格の低減を通じたデバイス FoM の改善や、磁気フィルタのサイズ縮小、熱分布の改善を含め、電力密度に関する多数の重要な利点を実現できます。図 21 に示すように、これらの利点は電力密度の向上につながります。SiC を使用する他のトポロジーと比較して、TI のソリューションはこの特定のトポロジーの採用に加え、GaN の利点や先進的なパッケージング・テクノロジーとの組み合わせを通じて、大幅な体積縮小を実現しています。TI の FC4L GaN ソリューションは、最高の電力密度を実現します。

GUID-20220826-SS0I-2XZW-GNXM-CSX12GWPK62V-low.svg図 20 複数の GaN スイッチを使用する FC4L (フライング・コンデンサ 4 レベル) コンバータ・トポロジー。
GUID-20220829-SS0I-VDK0-ZNJP-KRD5MRD2XVZR-low.svg図 21 トポロジとスイッチ・タイプの全体的な体積。