JAJY118A october   2020  – october 2020 BQ79600-Q1 , BQ79606A-Q1 , BQ79616-Q1 , CC2642R-Q1

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   概要
  4.   EV 内の分散型バッテリ管理システム
  5.   有線 BMS とワイヤレス BMS の比較と検討事項
  6.   テキサス・インスツルメンツの有線とワイヤレスそれぞれの BMS プロトコルの比較
  7.   まとめ

EV 内の分散型バッテリ管理システム

各種電動化自動車アプリケーションで、内部バッテリ・パックは電圧を 800V またはそれ以上の値まで上昇させることが可能であり、AC モーターの負荷上昇をこの方法でサポートすることができます。この電圧を実現するために、自動車のシャーシ内部で 100 個以上のリチウムイオン・セルを直列接続する可能性があります。このような高電圧パックは、安全、適切な時間枠、信頼性の高い方法でセルの診断結果を報告するために、より洗練されたテクノロジーを必要とすることになります。分散型バッテリ・パック・システムを実装するために使用されている一般的な設計手法の 1 つは、セル数の多いパックをサポートするために、個別のプリント基板 (PCB) に搭載した高精度バッテリ・モニタを多数相互接続する方法です。

有線 BMS ソリューションの場合、ツイストペア・ケーブルを使用してこれらのモニタをデイジーチェーン接続し、バッテリ・セルに対応する各モジュールから収集したデータを伝搬することになります。有線とワイヤレスそれぞれの BMS ソリューションの間にある違いとは、後者がデイジーチェーン・ケーブル配線ではなく、ワイヤレス通信を使用することです。図 1 に、400V~800V の EV 向けの典型的な分散型バッテリ・パック・システムを示します。

GUID-A970EB5F-AF74-41E4-A12B-455A7CFF0390-low.png図 1 分散型 BMS の例。
GUID-4BF10089-1BE5-4924-8B90-FFEE9B1F7302-low.png図 2 有線 BMS の例。

図 1 には、ホスト・マイコン (MCU) を搭載しているサブシステムが 1 個あります。このサブシステムは、CAN バス経由で自動車の制御ユニットとのインターフェイスを確立します。次に、マイコンのプロセッサは複数のバッテリ・モニタ・デバイスを制御しますが、これらのデバイスは接続先のバッテリ・モジュールを通じてバッテリの電圧と温度をセンスします。バッテリ・モニタがサポートしているチャネルの数にもよりますが、高電圧パックをサポートするために任意の数のデバイスが存在している可能性があり、それらすべてに関する情報をホスト・マイコンに送り返す必要があります。監視と通信を実施する必要のあるシステムの他の一般的な要素として、高電圧の中継制御機能を挙げることができます。その結果、自動車を使用していないときは高電圧を安全な方法で確実に接続解除することができるほか、電流センシング機能を使用して充電状態とバッテリ・パック自体の状態を計算で求めることができます。