JAJA710A June 2020 – November 2022 LM5156 , LM5156-Q1 , LM51561 , LM51561-Q1 , LM51561H , LM5156H , LM5156H-Q1 , LM5157-Q1 , LM51571-Q1 , LMR43610 , LMR43610-Q1 , LMR43620 , LMR43620-Q1
RBW が高いときに ARSS で起きる問題を解決する方法は、三角波プロファイルの上に疑似ランダムのサイクル単位ディザリングを追加することです。この疑似ランダム変調により、120kHz RBW に対して十分に高速な変調が行われるため、高い周波数での性能が向上します。低い周波数と低 RBW の場合も、三角波変調のエンベロープでは、ARSS の低 fm という利点を引き続き実現できます。両方に同時に対処することで、低 RBW と高 RBW の間のトレードオフを排除できます。この機能を時間領域に実装する方法を、図 3-2 に示します。RBW は時間領域でウィンドウ関数として表され、離散フーリエ変換理論と一致します。この理論では、周波数ビンのサイズはウィンドウのサイズによって設定されます。
LM5156 デバイスを使用し、2.2MHz で動作する非同期昇圧コンバータで、DRSS をイネーブルにする前と後の伝導放射を、図 3-3 に示します。30MHz に不連続があるのは、RBW が 9kHz から 120kHz に変化するためです。CISPR-25 の低周波数帯域では、DRSS でピークが 10~15dB 低減します。CISPR-25 の高周波数帯域では、DRSS でピークが 5~7dB 低減します。
LM5156 では、DRSS は ΔfC が fC × 5.5%、ΔfPRSS が fC × 2.3%、fm は 10kHz~16kHz の範囲のランダム化で実装されています。これらの値は、ピーク EMI の低減と、時間領域でのレギュレータ性能との間でバランスを適切に保つよう選択されています。出力リップルはスイッチング・レギュレータにとって重要な検討事項なので、DRSS などのスペクトラム拡散方式を実装するときは注意する必要があります。電流モードのレギュレータでは、発振器の周波数に反比例する方法でスロープ補償ランプを変調すると、出力リップルを大幅に改善できます。この方法は、スペクトラム拡散変調で、インダクタが励起を開始する時間を操作しても、平均インダクタ電流を維持する効果があります。