JAJSHB9D April   2020  – April 2021 DRV8889-Q1

PRODUCTION DATA  

  1. 特長
  2. アプリケーション
  3. 説明
  4. 改訂履歴
  5. ピン構成と機能
    1.     ピン機能
  6. 仕様
    1. 6.1 絶対最大定格
    2. 6.2 ESD 定格
    3. 6.3 推奨動作条件
    4. 6.4 熱に関する情報
    5. 6.5 電気的特性
    6. 6.6 SPI のタイミング要件
    7. 6.7 インデクサ・タイミング要件
    8. 6.8 代表的特性
  7. 詳細説明
    1. 7.1 概要
    2. 7.2 機能ブロック図
    3. 7.3 機能説明
      1. 7.3.1  ステッピング・モータ・ドライバの電流定格
        1. 7.3.1.1 ピーク電流定格
        2. 7.3.1.2 RMS 電流定格
        3. 7.3.1.3 フルスケール電流定格
      2. 7.3.2  PWM モータ・ドライバ
      3. 7.3.3  マイクロステッピング・インデクサ
      4. 7.3.4  MCU DAC による VREF の制御
      5. 7.3.5  電流レギュレーション
      6. 7.3.6  減衰モード
        1. 7.3.6.1 電流増加時および減少時の低速減衰
        2. 7.3.6.2 電流増加時は低速減衰、電流減少時は混合減衰
        3. 7.3.6.3 モード 4:電流増加時は低速減衰、電流減少時は高速減衰
        4. 7.3.6.4 電流増加および減少時の混合減衰
        5. 7.3.6.5 スマート・チューン・ダイナミック減衰
        6. 7.3.6.6 スマート・チューン・リップル制御
      7. 7.3.7  ブランキング時間
      8. 7.3.8  チャージ・ポンプ
      9. 7.3.9  リニア電圧レギュレータ
      10. 7.3.10 ロジック・レベル・ピン構造図
        1. 7.3.10.1 nFAULT ピン
      11. 7.3.11 保護回路
        1. 7.3.11.1 VM 低電圧誤動作防止 (UVLO)
        2. 7.3.11.2 VCP 低電圧誤動作防止 (CPUV)
        3. 7.3.11.3 過電流保護 (OCP)
          1. 7.3.11.3.1 ラッチド・シャットダウン (OCP_MODE = 0b)
          2. 7.3.11.3.2 自動リトライ (OCP_MODE = 1b)
        4. 7.3.11.4 開放負荷検出 (OL)
        5. 7.3.11.5 ストール検出
        6. 7.3.11.6 サーマル・シャットダウン (OTSD)
          1. 7.3.11.6.1 ラッチド・シャットダウン (OTSD_MODE = 0b)
          2. 7.3.11.6.2 自動復帰 (OTSD_MODE = 1b)
        7. 7.3.11.7 過熱警告 (OTW)
        8. 7.3.11.8 低温警告 (UTW)
        9.       53
    4. 7.4 デバイスの機能モード
      1. 7.4.1 スリープ・モード (nSLEEP = 0)
      2. 7.4.2 ディセーブル・モード (nSLEEP = 1、DRVOFF = 1)
      3. 7.4.3 動作モード (nSLEEP = 1、DRVOFF = 0)
      4. 7.4.4 nSLEEP リセット・パルス
      5.      59
    5. 7.5 プログラミング
      1. 7.5.1 シリアル・ペリフェラル・インターフェイス (SPI) 通信
        1. 7.5.1.1 SPI フォーマット
        2. 7.5.1.2 1 つのスレーブ・デバイスのための SPI
        3. 7.5.1.3 パラレル構成の複数のスレーブ・デバイスのための SPI
        4. 7.5.1.4 デイジー・チェーン構成の複数のスレーブ・デバイスのための SPI
    6. 7.6 レジスタ・マップ
  8. アプリケーションと実装
    1. 8.1 アプリケーション情報
    2. 8.2 代表的なアプリケーション
      1. 8.2.1 設計要件
      2. 8.2.2 詳細な設計手順
        1. 8.2.2.1 ステッピング・モータの速度
        2. 8.2.2.2 電流レギュレーション
        3. 8.2.2.3 減衰モード
      3. 8.2.3 アプリケーション曲線
      4. 8.2.4 熱に関連する計算
        1. 8.2.4.1 消費電力
          1. 8.2.4.1.1 導通損失
          2. 8.2.4.1.2 スイッチング損失
          3. 8.2.4.1.3 静止電流による消費電力
          4. 8.2.4.1.4 全消費電力
        2. 8.2.4.2 PCB のタイプ
        3. 8.2.4.3 HTSSOP パッケージの熱パラメータ
        4. 8.2.4.4 VQFN パッケージの熱パラメータ
        5. 8.2.4.5 デバイスの接合部温度の概算
  9. 電源に関する推奨事項
    1. 9.1 バルク容量
  10. 10レイアウト
    1. 10.1 レイアウトの注意点
    2. 10.2 レイアウト例
  11. 11デバイスおよびドキュメントのサポート
    1. 11.1 ドキュメントのサポート
      1. 11.1.1 関連資料
    2. 11.2 Receiving Notification of Documentation Updates
    3. 11.3 サポート・リソース
    4. 11.4 商標
    5. 11.5 Electrostatic Discharge Caution
    6. 11.6 Glossary
  12. 12メカニカル、パッケージ、および注文情報

パッケージ・オプション

メカニカル・データ(パッケージ|ピン)
サーマルパッド・メカニカル・データ
発注情報

ストール検出

ステッピング・モータでは、モータの巻線電流、逆起電力、機械的トルク負荷の間に明確な関係があります (図 7-21 を参照)。与えられた巻線電流に対して、モータの負荷がモータの最大トルク能力に近づくと、逆起電力の位相は巻線電流の位相に近づいてきます。本デバイスは、モータ電流の立ち上がり電流象限と立ち下がり電流象限の間の逆起電力の位相の変化を検出することで、モータの過負荷ストール条件またはエンドオブライン・トラベルを検出できます。

GUID-8FCBA2FD-7B1A-4DE1-81A6-0B93919F899B-low.gif図 7-21 モータの逆起電力の監視によるストール検出

このストール検出アルゴリズムは、デバイスがスマート・チューン・リップル制御減衰モードで動作するようにプログラムされているときのみ機能します。ストール検出を有効にするには CTRL5 レジスタの EN_STL ビットを「1」にする必要があります。このアルゴリズムは、PWM オフ時間を監視することで立ち上がり電流象限と立ち下がり電流象限の逆起電力を比較し、8 ビット・レジスタ TRQ_COUNT で表される値を生成します。この比較は、TRQ_COUNT 値がモータ電流、モータ巻線抵抗、周囲温度、電源電圧に事実上依存しないような方法で行われます。このアルゴリズムはフルステップ動作モードをサポートしています。

モータの負荷が軽い場合、TRQ_COUNT はゼロ以外の値になります。モータがストール条件に近づくにつれて TRQ_COUNT はゼロに近づくため、これを使ってストール条件を検出できます。TRQ_COUNT がストール・スレッショルド (8 ビット STALL_TH レジスタで表されます) を少しでも下回ると、本デバイスはストールを検出し、SPI レジスタの STALL、STL、FAULT ビットが High にラッチされます。nFAULT ピンでストール検出フォルトを通知するには、CTRL5 レジスタの STL_REP ビットが「1」である必要があります。STL_REP ビットが「1」の場合、ストールが検出されると nFAULT ピンは Low に駆動されます。ストール状態では、モータのシャフトは回転しません。ストール状態が解消すると、モータは再び回転を開始します。CLR_FLT ビットと nSLEEP リセット・パルスのどちらかによって障害クリア・コマンドが発行されると、nFAULT ラインは解放され、FAULT レジスタはクリアされます。

TRQ_CNT は、最新の 4 つの電気的半サイクルの平均値として計算されます。計算が完了すると、SPI レジスタの TRQ_CNT は 100ns 以内に更新されます。最新の TRQ_CNT が更新された後、次の電気的半サイクルの間 SPI レジスタの値が保持され、その後で TRQ_CNT は新しい値で更新されます。電気的半サイクルの持続時間は、マイクロステッピングとステップ周波数で決まります。2 電気的サイクル以下でストールを検出できます。

ストール・スレッショルドは 2 つの方法で設定できます。ユーザーが STALL_TH ビットを書き込む方法と、ストール学習プロセスを通じてアルゴリズムにストール・スレッショルド値自体を学習させる方法です。ストール学習プロセスを実行するには、CTRL5 レジスタの STL_LRN ビットを「1」にし、アルゴリズムが理想的なストール・スレッショルドを学習できるように一定期間モータを意図的にストールさせる必要があります。このプロセスは 16 電気的サイクルを必要とし、学習が成功すると STALL_TH レジスタに適切なストール・スレッショルド・ビットが書き込まれます。また、学習が成功すると STL_LRN_OK ビットが High になります。ストールを適切に検出するため、ストール学習プロセスを使用してストール・スレッショルドを設定することを推奨します。ある速度のストール・スレッショルドは別の速度ではうまく機能しない場合があるため、モータ速度が変化した場合、ストール・スレッショルドを再学習させることを推奨します。