JAJAA96A November 2025 – November 2025 ADC12DJ5200RF , AFE8000
基本的な周波数応答の測定方法では、TI の HSDCPro のようなデータキャプチャ プログラムを使用して、必要な帯域幅全体にわたって高速フーリエ変換 (FFT) の基本レベルを収集します。たとえば、アナログ フロントエンドが 図 2-1 に示すようなもので、広帯域バランを使用している場合、バランの二次出力と ADC のアナログ入力の間に単純な抵抗性入力ネットワークが存在します。このタイプの入力ネットワークは、広帯域入力ネットワーク [4] で一般的です。
図 2-1 ADC に接続された入力ネットワークの例測定用のコンバータ評価基板 (EVM) または基板設計を設定します。基本的な設定を 図 2-2 に示します。有効なデータ キャプチャを確認するには、ハードウェアとソフトウェアの両方について、ユーザ ガイドの手順に従って通常どおり EVM を構成します。クロック信号の入力、およびアナログ入力信号には、十分な電流定格と低位相ノイズの信号ジェネレータを持つ低ノイズ電源を使用して、さらに、信号ジェネレータによって生成されるノイズや高調波を抑制するための適切なフィルタを使用します。
この測定では、アナログ入力をフィルタリングしないでください。これにより、信号ジェネレータは、フィルタによる減衰なしに、対象の複数の周波数にわたってスイープでき、通過帯域の平坦性または帯域幅の測定値を収集できます。FFT データ キャプチャ ソフトウェア (HSDCPro、Matlab、Python) を使用すると、設定された各周波数ステップで適切なデータを収集できます。
図 2-2 ADC の基本的な周波数応答測定方法のセットアップ次のステップでは、通過帯域の平坦性スイープ測定の開始周波数と停止周波数、初期アナログ入力駆動レベルを設定するための基準点周波数を決定します。ユーザーが基準点の周波数を手動で取得する場合は、帯域幅の輪郭を把握するために、各ナイキスト ゾーンにわたって少なくとも 5 ~ 10 個のデータ ポイントを取得します。
狭い周波数帯域または部分的な周波数帯域に関心がある場合、または ADC への入力ネットワークに通過帯域アンチエイリアス フィルタが存在する場合は、対象の帯域の中心周波数を基準点周波数として使用します。
より広帯域の測定やスイープを使用する場合は、設定点の周波数として約 1/3 の帯域幅を使用することで、周波数が低すぎたり、高すぎたりしないことが保証されます。そのため、測定値の上限または下限帯域でロールオフが発生する場合があります。ADC のデータシートでは、約 8GHz の帯域幅が規定されています。8GHz の 1/3 は約 2.67GHz なので、これが設定点周波数です。図 2-3 を参照してください。
アナログ入力に信号ジェネレータを接続して、その周波数で設定点レベルを設定または調整します。これは、FFT キャプチャにおける基本信号の振幅であり、入力ドライブ レベルの仕様です。設定点レベルを –3dBFS または –6dBFS より少し低く調整すると、十分なヘッドルームが確保されます。これは、対象の信号帯域幅が測定の開始周波数設定点および停止周波数設定点全体にわたって上下に移動する可能性があるためです。
信号ジェネレータで使用されるレベルはデシベル ミリワット単位で示しています。信号ジェネレータの出力設定の振幅値は、信号ジェネレータの出力のみを記録することに留意してください。ケーブル損失または RF 配管、この接続に沿ったコネクタが原因で、EVM の SMA コネクタやユーザ自身の基板などのエントリ ポイントで振幅レベルが異なる可能性があります。実際の信号レベルをより正確に把握するため、EVM の入力ネットワーク前段に信号が到達する時点での測定結果から、ケーブルなどによる損失を補正する追加のキャリブレーション手順を実施します。
設定点周波数と入力ドライブ レベルの調整が完了したら、そのままにします。信号ジェネレータ レベルをさらに調整する必要はありません。この値は、設定点の周波数だけでなく、周波数スイープ全体で必要な信号振幅のキャリブレーション ポイントを提供します。信号ジェネレータの周波数設定のみをスイープの開始周波数ポイントに移動し、FFT キャプチャを行います。ユーザーが全周波数範囲をスイープするときの、開始周波数とその後の各ポイントの FFT キャプチャの基本振幅を記録します。スイープが停止周波数に達するまでこれを続けます。
スイープの最後に達したら、データを 2 つの列に編成します。1 つは周波数ステップポイントごとのもので、もう 1 つは優先データ キャプチャ ソフトウェアを使用してキャプチャした FFT の基本振幅レベルです。
結果の測定値からプラスおよびマイナス レベルを取得して、図 2-3 に示すように、スイープ測定値または結果として得られる通過帯域平坦性曲線における実際の信号振幅を決定します。この場合、設定点周波数が –3dBFS に設定されているため、–6dBFS ポイントから –3dB の帯域幅が得られます。結果の測定スイープにこれらのパラメータを適切に記録する方法については、図 2-3 の例を参照してください。
図 2-3 ADC 入力通過帯域の平坦性応答:バイパス モード