ユニバーサル充電を使用する理由

USB Type-C の幅広い普及がもたらす重要な利点の 1 つは、ユニバーサル電源アダプタを具体化し、またそれに関連して電気電子機器廃棄物を削減するうえで、現実的な手段が得られることです。USB Type-C コネクタは統一規格ですが、アダプタの電力定格と電圧は現在もなお多様であり、従来の 5V USB アダプタや、5V～20V の電圧範囲で電力を供給できる USB PD アダプタなどが存在しています。加えて、多様なポータブル・デバイスは、内蔵しているセル・バッテリの数がさまざまに異なっている可能性もあります。入力電圧とバッテリ電圧にこのような多様性が存在する現状で、バッテリ・チャージャ IC は昇降圧トポロジーへの対応が必須です。

図 1 に、USBPD 充電ソリューションのシステム・ブロック図を示します。USB PD コントローラは、CC1/CC2 ピンを使用してアダプタを特定します。アダプタと USB PD コントローラの間でハンドシェイクを実施した後、充電パワー・パスを管理するユニットは背面結合 MOSFET をオンにし、VBUS から昇降圧チャージャの入力へとアダプタの電圧を供給します。また、このユニット (U1) は過電圧と過電流の保護機能も実装する必要があるので、センシング抵抗を使用して入力電圧と入力電流をセンスします。昇降圧チャージャはさまざまな電圧で充電を実施するために、入力電圧を昇圧または降圧する合計 4 個のスイッチング MOSFET を必要とします。加えて、Narrow VDC (NVDC、狭い入力電源電圧範囲) パワー・パス・マネージメント機能と充電電流センシング機能を実現するために、もう 1 個の MOSFET ともう 1 個の電流センシング抵抗がチャージャの出力側で必要になります。