信頼性関連用語
以下に、半導体製品の信頼性に関連する一般的な用語を示します。
バスタブ曲線
バスタブ曲線は通常、製品の故障率における 3 つの重要な期間を示すための視覚的なモデルとして使用されるものであり、特定の製品ファミリにおける想定挙動を示すように較正されたグラフではありません。実際には、製品ファミリを較正済みのバスタブ曲線でモデル化できるほど、短期および長期的な故障情報が十分に得られることはまれです。そのため、推定は信頼性のモデル化を用いて行われます。
- 初期故障期 (初期故障率):この期間は、比較的高い故障率から始まりますが、その故障率は急速に低下します。
- 偶発故障期:この期間は比較的一定の故障率が続き、デバイスの寿命期間にわたって安定した値が維持されます。故障率は、「時間あたりの故障回数 (FIT)」、または「時間あたりの平均故障間隔 (MTBF)」で表現されます。
- 摩耗故障期:この期間は、固有の摩耗 (経年劣化) メカニズムが支配的になり始め、故障率は指数関数的に増加し始めます。製品寿命は通常、使用開始から摩耗故障の発生までの期間と定義されます。
故障率
故障率とは、時刻 t における条件付きの故障確率です。言い換えると、それまで故障していないユニットが、時刻 t に故障する確率のことです。
この値は、時刻 t と t+ΔT の間にある期間のうちに、単位時間あたりに故障する製品数と表現することもできます。この値は、時刻 t の時点で生存していた製品の一部でもあります。
図に示すように、製品使用開始の早い時期 (バスタブ曲線の初期不良期間) は故障率が高い値に変化しますが、その後は急速に低下します。偶発故障期間中、故障率は一定です。材料が劣化し、摩耗故障期に入ると、故障率は時間の経過とともに上昇を続けます。
故障率関連の用語
特定のサンプル サイズ n に対して、t 時間経過後に m 回の故障が発生したとします。
動作時間 – 「m」回の故障回数が確認されるまでに、「n」個のサンプルが「t」時間にわたって動作した場合、動作時間は次のようになります。
λavg – 平均故障率。
FIT – 時間あたりの故障回数。10 億動作時間あたりに故障するユニット数を表します。
TI の Reliability Estimator (信頼性推定機能) を使用すると、ほとんどの TI パーツの FIT レートを確認できます。
DPPM – 100 万個あたりの欠陥パーツ数。出荷 100 万個あたりの故障ユニット数としても知られています。
MTTF (平均故障時間) = (t1 + t2 + t3 + ….tm)/m
MTTF は、故障が発生するまでの平均時間です。これは、修復不可能なシステムに関連して用いられる用語です。
T50 (故障までの中央値時間) = 全ユニットの 50% が故障するまでの時間。
故障の半数は T50 より前に発生し、残りの半数は T50 の後に発生します。これは主に、故障の分布を統計的に取り扱う際に用いられる用語です。故障時刻が正規分布している場合、T50 は MTTF と同じ値になります。
MTBF (平均故障間隔) = [t1 + (t2- t1) + (t3 – t2) ….(tm – tm-1) ]/m = tm/m
MTBF は、ある故障が発生した後、次の故障が発生するまでの平均時間です。これは、修理可能なシステムで用いられる用語です。修理に要する時間は含まれないため、厳密には「故障から次の故障までの平均稼働時間」を表します。
確率分布
確率分布とは、時間の経過に伴って故障するユニットの割合を、グラフまたは数式で表したものです。個々の故障データからなる限定的なサンプルの場合、通常はヒストグラムで示されます。この分布の形状は、確率分布関数 (PDF) によって数学的に表されます。
確率密度関数 f(t):この関数は、特定の時刻 t に故障が発生する確率を、f(t).Δt で表します。
f(t).Δt で表される面積を使用して、特定の時刻 t に発生する故障数を予測することもできます。
累積分布関数 F(t):特定の時刻「t」までに発生する故障の累積数を表します。
信頼性関数 R(t)
時刻 t までの生存確率。別の方法で表現すると、時刻 t に生存している製品の割合です。
故障が発生した比率と、生存比率の合計は、必ず 1 になります。
R(T) + F(T) = 1
これまでに説明した f(t)、F(t)、R(t)、l(t) の定義に基づく関係です。
故障率 l(t) が一定の場合、信頼性関数は指数分布になります。
バスタブ曲線の偶発故障期と同様に、故障率が一定の場合、指数分布は故障確率や寿命をモデル化するうえで役立ちます。
ワイブル分布
ワイブル分布は、Waloddi Weibull.(ワロッディ ワイブル)が考案した、連続確率分布です。信頼性の観点では、時間とともに変化する故障率を表現する目的で使用できます。
ワイブル分布は、次の 3 個のパラメータを使用して故障率をモデル化します。
η、β、γ は、ストレス試験を実施した製品の故障時間から求められるパラメータです。
多くの場合、信頼性のモデル化に必要なパラメータは 2 個のみであり、ワイブル分布は次のように簡素化できます。
β は「ワイブル スロープ (形状パラメータ)」、η はその分布の「特性寿命 (尺度パラメータ)」と呼ばれます。
バスタブ曲線の 3 つ期間 (初期故障期、偶発故障期、摩耗故障期) は多くの場合、図に示すように、故障分布の形状がそれぞれ異なります。
ワイブル分布は汎用性の高い数学関数であり、通常は β と η の 2 個のパラメータのみで、バスタブ曲線の 3 つの期間すべてを表現できます。
そのため、ワイブル分布は信頼性をモデル化する際に広く用いられています。