JAJA898 June   2025 TDA4VM

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   商標
  4. 1はじめに
  5. 2物理ブート モード DIP スイッチの設定
    1. 2.1 プライマリ ブート モード用の eMMC ブート モード スイッチ
    2. 2.2 バックアップ ブート モード用の MMC/SD ブート モード スイッチ
  6. 3操作環境
    1. 3.1 プライマリ ブート モード用に eMMC ブート イメージを準備
    2. 3.2 バックアップ ブート モード用に MMC/SD ブート イメージを準備
    3. 3.3 eMMC メモリのレイアウト
    4. 3.4 冗長ブートの確認
  7. 4まとめ
  8. 5参考資料

はじめに

TI の TDA4x Jacinto デバイスは、オクタル シリアル ペリフェラル インターフェイス (OSPI) フラッシュメモリ、eMMC、ユニバーサル非同期送受信機 (UART) などのさまざまなメディアからのブートをサポートしています。電源投入後、マイコン ユニット (MCU) の ROM コードは、通常は物理的に設定されたブート モードの構成を読み取ることで、ブート シーケンスを開始します。この設定に基づいて、ROM コードはアクセスすべきブート メディアを判断し、必要なブート イメージの取得を行います。

デフォルトでは、ROM コードはまずプライマリのブート メディアからイメージの読み込みを試みます。プライマリのブート イメージが有効で、整合性および認証チェックに合格した場合、システムはこれらのイメージを使用して正常にブートします。ただし、プライマリのブート イメージが存在しない場合や破損している場合、ROM コードは自動的にバックアップのブート メディアによるブートを試みます。バックアップ メディアによるブート処理も、プライマリと同じ手順および検証ステップに従って実行されます。このデュアル パスのブート機構により、システムは 2 回のブート機会を持つことになり、特に ADAS アプリケーションで重要となる全体的な信頼性と耐障害性が大幅に向上します。ハイレベルのブート シーケンスはこのプロセスに従います。

  1. 電源が供給され、MCU ROMのブート プロセスが開始されます。
  2. MCU の ROM コードは、ブート モード ピンを読み取ってプライマリのブート ソースを識別します。
  3. MCU の ROM コードは、ブート イメージの整合性を検証するように、デバイス管理セキュリティコントローラ (DMSC) に要求します。
  4. 整合性チェックに合格した場合、システムはプライマリ イメージを使用してブートします。
  5. 整合性チェックに失敗した場合、MCU の ROM コードは再度ブート モード ピンを読み取り、バックアップのブート ソースを識別します。
  6. DMSC はバックアップ イメージの整合性チェックを実行します。
  7. 正常に実行されると、システムはバックアップ メディアからブートします。

このプロセスにより、冗長なブート機能が提供され、イメージの破損やアップデート失敗時にも堅牢なリカバリが可能になります。

このアプリケーション ノートの以下のセクションでは、物理的なブート モードの切り替えや複数のメモリデバイスを使用することなく、単一の eMMC デバイスを用いて冗長ブート機構を構成する方法について説明します。