JAJT465 March   2025 LM5066I , TPS25984B

 

  1.   1
  2. はじめに
  3. EOS を理解する
  4. エンタープライズ サーバーシステムの例
  5. TVS ダイオードの選択
  6. 設計手順
  7. 出力ショットキー ダイオードの選択
  8. 配置と PCB レイアウトの検討事項
  9. まとめ
  10. 参考資料
  11. 10関連ウェブサイト

出力ショットキー ダイオードの選択

図 8 に、OUT ピンをグランドより低い電位にするとき、IC 内部で発生する可能性のあるイベントのシーケンスを示します。寄生 PN 接合ダイオードが導通し始め、それによって基板に自由電子が注入されます。これらの自由電子は、IC をリセットしたりラッチアップ イベントを引き起こす可能性のある他の制御ユニットと干渉します。寄生 PN 接合ダイオードに大きな電流が導通した場合、EOS が発生し、EIPD につながる可能性があります。

これらの問題を防ぐには、OUT ピンのピーク負電圧を下げるか、OUT ピンを流れる電流を制限します。OUT ピンの近くに出力コンデンサを追加すると、負の電圧スパイクによってエネルギーの一部が吸収され、スルーレートが制御されて、負のピーク電圧が制限されます。OUT ピンに低い順方向電圧のショットキー ダイオードを追加すると、別の経路の電流が提供され、IC を流れる電流が制限されます。

効果的なクランプには、コンデンサとショットキー ダイオードの組み合わせが必要です。より大きな出力コンデンサが役に立つ場合がありますが、ショットキー ダイオードを選択する際には、以下のガイドラインを使用してください。

  • DC ブロッキング電圧は最大入力動作電圧よりも高くなければなりません。
  • 選択したダイオードの非反復ピーク順方向サージ電流は、IP より高くなければなりません。
  • IP での順方向電圧降下は、OUT ピンの絶対最大定格内 (TPS25984B では -1V) にする必要があります。

このアプリケーションでは、Diodes Incorporated の SBR10U45SP5 [6] ダイオードを 2 つ並列に使用しました。

 出力をグランドより下にした場合の IC 内部の影響を示す図。図 8 出力をグランドより下にした場合の IC 内部の影響を示す図。

TPS25984B ソリューションでショットキー ダイオードを使用した場合と使用しない場合の出力クランプ性能を、図 9 に示します。

 eFuse の出力側での過渡保護を実現します。図 9 eFuse の出力側での過渡保護を実現します。

大電流ホットスワップソリューションを使用する場合、二次側保護 (図 10を参照) により、出力時のショットキー ダイオードの要件を最小限に抑えることができます。ご覧のように D1 は負の電圧過渡によってエネルギーの大部分を吸収します。47Ω などの値の小さい抵抗 (R1) と、SS13 などのダイオード (D2) を追加すると、残りのエネルギーが大幅に制限されます。

 大電流ホット スワップ ソリューションにおける二次側保護。図 10 大電流ホット スワップ ソリューションにおける二次側保護。