JAJY115A september   2020  – september 2020 DRV8889-Q1 , LM5160-Q1 , TMS320F2800152-Q1 , TMS320F2800153-Q1 , TMS320F2800154-Q1 , TMS320F2800155 , TMS320F2800155-Q1 , TMS320F2800156-Q1 , TMS320F2800157 , TMS320F2800157-Q1 , UCC27712-Q1

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   HVAC システムの燃焼エンジンの仕組み
  4.   HEV/EV における冷暖房の仕組み
  5.   BLDC モーターと PTC ヒーターを制御する電子機器
  6.   ヒート・ポンプ
  7.   HVAC 制御モジュール
  8.   高電圧バッテリーの加熱と冷却に関する注意:
  9.   独自の HVAC サブシステムの標準的な機能ブロック図
  10.   電源
  11.   ゲート・ドライバ
  12.   ステッパ・モーター・ドライバ
  13.   まとめ

ヒート・ポンプ

キャビンの暖房にハイパワー PTC ヒーターを使用する代わりに、図 5 のように冷却回路をヒート・ポンプとして使用することもできます。このモードでは、反転バルブによって冷媒の流れが反転します。また、冷媒の流れを調整するためにシステムに他のバルブを設けることもできます。ヒート・ポンプのバルブはステッパ・モーターなどを使用して制御します。

GUID-4A6EBB45-8AC8-4009-9FDD-E7DAC5564E3A-low.png図 5 ヒート・ポンプ・システム

ヒート・ポンプに基づく冷暖房システムでは、次のタイプのバルブが使用されます。

  • 膨張弁は、冷媒の流れを制御します。膨張弁により、液化装置内で液化した高圧の冷媒が蒸発器内で低圧の冷媒へと気化する変化が促進されます。電子式膨張弁は通常、特にステッパ・モーターを使用して膨張弁を制御する場合に、負荷の変化に対してより高速かつ正確に応答するという利点を持ち、冷媒の流れをより正確に制御します。
  • 遮断弁および逆転弁は、冷媒の方向または経路を変更するもので、暖房と冷房のどちらのモードでも一部の要素の反転サイクルとバイパスを可能にします。遮断弁や逆転弁はソレノイド・ドライバでもブラシ付き DC モーターでも制御できます。

図 5 から、ヒート・ポンプ・システムでも前述の AC コンプレッサ・モジュールが使用されると推測できます。また、ヒート・ポンプ・システムでもバルブの駆動にモーター・ドライバ・モジュールが使用されます。このため、冷媒の流れを得るためにバルブを駆動しなければならないという設計上の課題が新たに生じます。

図 6 は、バルブの駆動に使用されるモーター・ドライバ・モジュールの標準的なブロック図を示しています。この図はステッパ・モーター・ドライバを示しています。モーターがブラシ付き DC モーターの場合、このブロック図ではブラシ付き DC モーター・ドライバがステッパ・モーター・ドライバの代わりになります。モーター・ドライバ・モジュールの設計では、電力密度と EMI が要件に含まれます。

GUID-0FBFC3C4-5387-412F-81E4-374FAA5D672D-low.png図 6 ステッパ・モーター・ドライバのブロック図