JAJU827B july   2021  – april 2023

 

  1.   概要
  2.   リソース
  3.   特長
  4.   アプリケーション
  5.   5
  6. 1システムの説明
    1. 1.1 絶縁型電流測定
    2. 1.2 バンドパス・フィルタ
    3. 1.3 A/D 変換
    4. 1.4 アーク検出アルゴリズム
    5. 1.5 主なシステム仕様
  7. 2システム概要
    1. 2.1 ブロック図
    2. 2.2 設計上の考慮事項
      1. 2.2.1 電流トランス回路
      2. 2.2.2 アナログ・バンドパス・フィルタ
      3. 2.2.3 A/D 変換
      4. 2.2.4 電源
      5. 2.2.5 デバッグおよびステータス表示オプション
    3. 2.3 主な使用製品
      1. 2.3.1 TPS259474
      2. 2.3.2 TPS562202
      3. 2.3.3 TPS745
      4. 2.3.4 OPAx322
      5. 2.3.5 ADS8363
      6. 2.3.6 REF5025
      7. 2.3.7 TMDSCNCD280049C
  8. 3ハードウェア、ソフトウェア、テスト要件、テスト結果
    1. 3.1 ハードウェアとソフトウェアの要件
      1. 3.1.1 ハードウェア
      2. 3.1.2 ソフトウェア
        1. 3.1.2.1 アーク検出理論
        2. 3.1.2.2 ソフトウェアの実装
    2. 3.2 テスト構成
      1. 3.2.1 ControlCARD の構成
      2. 3.2.2 ハードウェアとソフトウェアの検証用の設定
      3. 3.2.3 アーク・テスト用の設定
    3. 3.3 テスト結果
      1. 3.3.1 ハードウェアとソフトウェア検証のテスト結果
      2. 3.3.2 アークを使用したテスト
  9. 4設計とドキュメントのサポート
    1. 4.1 設計ファイル
      1. 4.1.1 回路図
      2. 4.1.2 BOM
    2. 4.2 ツールとソフトウェア
    3. 4.3 サポート・リソース
    4. 4.4 商標
  10. 5著者について
  11. 6改訂履歴

A/D 変換

次のステップとして、フィルタ処理された信号はデジタル・ドメインに変換されます。これは、外部 ADC ADS8363 または C2000 MCU の内部 ADC によって行われます。ADS8363 の場合、8 つのチャネルのうち 4 つのみが使用されます。フィルタの出力は、アンチエイリアシング・フィルタを追加した、チャネル CHA0、CHA1、CHB0、CHB1 に接続されています。未使用の入力はグランドに接続されています。CMA と CMB はチャネル A とチャネル B の同相入力であり、REF5025 から供給される 2.5V のリファレンス電圧に接続されています。REF5025 は、ADC のリファレンス電圧としても使用され、CT の後に信号をバイアスする目的でも使用されます。ADS8363 の SPI は、2 つのデータ・ラインを使用できます。これは、2 チャネル以上のアーク検出が実装されている場合に、必要なデータ・レートを達成するために必要です。2 つのデータ・ラインを持つ ADS8363 SPI の実装方法についてのガイドは、『ADS8363 疑似差動動作モードとのインターフェイス』アプリケーション・ノートを参照してください。

GUID-20220711-SS0I-W9WK-SHTW-BK097LZM5PQR-low.svg図 2-5 ADS8363 を使用した A/D 変換の回路図

この設計で必要とされるデータ・レートは、式 3 で計算されます。

式 3. B i t r a t e m i n =   N u m b e r   o f   C h a n n e l s   ×   f s   ×   B i t s   p e r   S a m p l e

ここで、

  • fs=サンプリング・レート

前述のアプリケーション・ノートに示されているように、250kSPS のサンプリング・レート、最大 4 チャネル、およびサンプルあたり 22 ビットの場合、22MBit/s のビット・レートが得られます。ADS8363 の最大 SPI クロック周波数 fSPI は 20Mhz なので、4 チャネル動作に必要なビット・レートを達成するには、両方のデータ・ラインが必要です。ビット・レート、つまりサンプリング・レートを調整する最も簡単な方法は、ADS8363 で連続サンプリングを行い、SPI クロックを変更することです。このクロックは変換とデータ転送に使用されるからです。SPI クロック周波数は 式 4 で計算されます。

式 4. f S P I =   B i t r a t e N u m b e r   o f   d a t a   l i n e s

ここで、

  • データ・ラインの数は 1 つまたは 2 つのいずれか

最大ビット・レートが 22MBit/s で、2 つのデータ・ラインを使用した場合、SPI クロック周波数 fSPI は 11MHz になります。別の例として、1 つのチャネルのみを使用する場合、5.5MBit/s のビット・レートが必要であり、これは 1 つのデータ・ラインと 5.5MHz の fSPI のみを使用することで実装されます。

信号品質を向上させるために、すべての SPI 信号に直列終端を実装し、クロック信号に AC 終端を実装しています。連続サンプリングが実装されているため、チップ・セレクト信号は永続的に Low にプルされます。

C2000 の内部 ADC を使用する場合、フィルタ出力信号はレベル・シフト・ステージに接続され、別の OPA4322 によって実装されます。controlCARD コネクタのアナログ入力に信号を接続する前に、5V レベルを 3.3V レベルに変換するだけです。