ドライバ IC の総消費電力は、以下の構成要素から推定できます。
- 静止電流 IGVDD と IBST による静的な電力損失 PQC を 式 11 に示します。
式 11. PQC = VGVDD × IGVDD + (VGVDD – VF) × IBST = 12V × 0.43mA + (12V – 0.6V) × 0.15mA = 6.87mW
- ハイサイド・リーク電流 IBSTS によるレベル・シフタ損失 PIBSTS を 式 12 に示します。
式 12. PIBSTS = VBST × IBSTS × D = 72V × 0.033mA × 0.95 = 2.26mW
ここで、
- D はハイサイド・スイッチのデューティ・サイクルです。
- FET ゲート電荷量 QG による動的損失 PQG1&2 を 式 13 に示します。
式 13.
ここで、
- QG = FET の総ゲート電荷量
- fSW = スイッチング周波数
- RGD_R = プルアップおよびプルダウン抵抗の平均値
- RGATE = 外部ゲート駆動抵抗
- RGFET_INT = 内部 FET ゲート抵抗
- 各スイッチング・サイクルにおいて必要なレベル・シフタの充電によるハイサイド・スイッチング時の、レベル・シフタの動的損失 PLS を示します。この例では、式 14 に示すように、寄生電荷 QP の値が 2.5nC であると仮定します。
式 14. PLS = VBST × QP × fSW = 72V × 2.5nC × 50kHz = 9mW
この例では、すべての損失を合計すると、ゲート・ドライバの総損失は、27mW になります。ブートストラップ・ダイオードを含むゲート・ドライバの場合、ブートストラップ・ダイオードの損失も推定する必要があります。ダイオードの順方向導通損失は、平均順方向電圧降下と平均順方向電流の積として計算されます。
式 15 は、与えられた周囲温度に対して、デバイスの最大許容電力損失を推定するものです。
式 15.
ここで、
- PMAX = ゲート・ドライバ・デバイスで許容される最大消費電力
- TJ = 接合部温度
- TA = 周囲温度
- RθJA = 接合部から周囲への熱抵抗
ドライバ・パッケージの熱評価基準は、データシートの「熱に関する情報」の表にまとめられています。 「熱に関する情報」の表の詳細については、テキサス・インスツルメンツの『半導体および IC パッケージの熱評価基準』アプリケーション・ノートを参照してください。