JAJU923A February 2024 – March 2025
バス コンデンサの主な機能は、バス電圧を平滑化し、スイッチング時に過渡電流を供給してバス電圧のリップルを十分に小さく保つことです。
PWM スイッチング周波数を高くすると、バス容量に対する要件を緩和することができます。FET のスイッチング時間が短くなるので、コンデンサに必要な電荷量が小さくなります。そのため、より高い PWM スイッチング周波数を使用すると、必要なバス容量値を小さくすることができます。
通常、電解コンデンサはバス コンデンサとして使用されます。電解コンデンサは十分な容量を提供できますが、サイズが大きい、寿命が短い、高周波特性が劣るなどの欠点があります。これに対し、セラミック コンデンサはより安定性が高く、小型ですが、セラミック コンデンサが提供できる容量は限られています。以下のテストでは、PWM 周波数を上げることで、電解コンデンサからセラミック コンデンサへの置き換えを試みています。
さまざまな周波数で電解コンデンサとセラミック コンデンサのバス リップルをテストして、小型のセラミック コンデンサを使用できるかどうかを判定します。このテストでは、60μF と 100μF の各セラミック・コンデンサ (PN:C3225X7R2A106K250AC × 6 または 10) および 100μF 電解コンデンサ (PN:ECA2AM101) を使用しました。
図 4-18 に示すように、周波数が高くなるにつれてバスのリップルが徐々に減少するため、より小さな容量のコンデンサを使用できます。ただし、セラミック コンデンサは、低周波 (< 80kHz) では電圧リップルが著しく大きくなります。この 10μF セラミック コンデンサの実際の容量は、50V の電圧ではわずか 2.2μF ですから、図 4-18 の 60μF および 100μF のセラミック コンデンサに対応する実際の実効容量は、13.2μF および 22μF です。したがって、リップルは 100μF 電解コンデンサのリップルより大きくなります。
PWM 周波数が 80kHz になると、100μF セラミック コンデンサと電解コンデンサの電圧リップルはほぼ同じになります。したがって、GaN の非常に低いスイッチング損失を利用して、PWM 周波数を 80kHz に上げることができます。同時に、電解コンデンサを同じ容量のセラミック コンデンサに置き換えることで、小型化も実現できます。