JAJU913 December 2023
図 2-4 に、DC/AC 段のブロック図を示します。インバータ段は、DC 電力を AC 電力に変換する機能を担っています。トポロジは H ブリッジ構造で、対角に配置されたスイッチの各グループは、出力電圧の半周期中に高周波で動作します。グリッドに並列に配置された追加のスイッチによって、出力フィルタを通る追加の電圧レベルが生成され、この電力変換システムは 3 レベルのトポロジになります。これにより、一定の同相電圧が得られ、フリーホイーリング フェーズでは PV 入力段が AC グリッドから切り離されるために、リーク電流は無視できるほど小さくなります。
このトポロジは、AC グリッドと PV パネルの間で絶縁が確保されていないようなトランスレスのストリング インバータ アプリケーションに最適です。同相電流は、PV アプリケーションにおいて周知の課題であり、これは PV 表面 が接地された屋根や近接する他の表面上に露出することに起因しています。表面積が大きいと、PV パネルと接地の間の浮遊容量が大きくなり、湿気の多い環境や雨の日には 200nF/kWp にも達することがあります。コンバータの同相電圧をうまく抑制できない場合、この寄生容量によってシステムに大きな同相電流が流れ込み、EMI や、グリッド電流の歪みなどの問題につながる可能性があります。
このコンバータは 100kHz のスイッチング周波数で動作し、正弦波グリッド電流を制御するため、EMI フィルタの設計をコンパクト化できます。230V グリッドにより、15.6 ARMS の出力電流で 3.6kW の出力電力が得られます。EMI フィルタは、両方のレールに分かれている 1 つの昇圧インダクタ、2 つの同相チョーク、Cx コンデンサ、Cy コンデンサで構成されています。EMI フィルタは、グリッドに注入される差動ノイズと同相ノイズの両方を減衰するように設計されています。さらに、このような単相アプリケーションに存在する電力リップルを補償するために、DC リンクには電解コンデンサが設けられています。このアプリケーションでは、DC 抵抗 30 mΩ で 約 96μH の昇圧インダクタ Bourns 145453 (D6743) を選択しています。電解コンデンサについては、4 つの ALH82D161DD600 を並列に接続し、各定格容量 160μF で合計 640μF になるような組み合わせを考慮しています。