モーター起動段でのモーターの初期位置を検出した後、MCF83xx は、式 1 で求められた任意の時点での速度リファレンスを使用して、開ループでモーターを加速します。開ループ加速度係数 (A1 と A2) はそれぞれ OL_ACC_A1 と OL_ACC_A2 によって設定されます。開ループの電流制限値は OL_ILIMIT によって設定されます。モーター位相電流のピーク値を OL_ILIMIT に制限することで、開ループでモーター速度が上昇します。開ループ動作の機能は、逆起電力オブザーバが回転子の位置を正確に検出できるように、モーターが十分な BEMF を生成する速度までモーターを駆動することです。

モーターの角度と速度を逆起電力オブザーバが推定するのに十分な速度にモーターが達すると、MCF83xx は閉ループ状態に遷移します。開ループから閉ループへの遷移をハンドオフと呼び、この遷移が発生する速度をハンドオフ速度と呼びます。AUTO_HANDOFF_EN が 1b に設定されている場合、このハンドオフ速度は、逆起電力とモーター速度の測定値に基づいて自動的に決定されます。また、OPN_CL_HANDOFF_THR を設定し、AUTO_HANDOFF_EN を 0b に設定することで、ハンドオフ速度を手動で設定することもできます。ハンドオフ ポイントでの θ 誤差 (Ɵgen - Ɵest) は、閉ループへのスムーズな遷移を実現し、速度過渡を防止するために、THETA_ERROR_RAMP_RATE によって設定されたランプ レートによる遷移後、直線的に低下します。