JAJU809 march   2023

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   リソース
  4.   特長
  5.   アプリケーション
  6.   6
  7. 1システムの説明
    1. 1.1 主なシステム仕様
  8. 2システム概要
    1. 2.1 設計ブロック図
    2. 2.2 主な使用製品
      1. 2.2.1 LMK04832-SP
      2. 2.2.2 LMX2615-SP
      3. 2.2.3 CDCLVP111-SP
      4. 2.2.4 ADC12DJ3200QML-SP
    3. 2.3 設計手順
      1. 2.3.1 複数の JESD204B の同期要件
      2. 2.3.2 クロック・ツリーの設計
        1. 2.3.2.1 クロック周波数の計画
        2. 2.3.2.2 クロック・ツリーのコンポーネント
          1. 2.3.2.2.1 クロック・リファレンス
          2. 2.3.2.2.2 クロック・リファレンス・バッファ
          3. 2.3.2.2.3 クロック分配
          4. 2.3.2.2.4 周波数合成
        3. 2.3.2.3 位相遅延の調整オプション
        4. 2.3.2.4 位相ノイズの最適化
        5. 2.3.2.5 シングル・イベント効果 (SEE) の検討事項
        6. 2.3.2.6 MIMO システム用クロック・ツリーの拡張
      3. 2.3.3 パワー・マネージメント
        1. 2.3.3.1 電源設計の検討事項
        2. 2.3.3.2 放射線耐性強化 (Rad-Hard) 電源ツリー
          1. 2.3.3.2.1 放射線耐性保証 (RHA) 負荷スイッチ
          2. 2.3.3.2.2 放射線耐性保証 (RHA) DC/DC 降圧コンバータ
          3. 2.3.3.2.3 放射線耐性保証 (RHA) 低ドロップアウト (LDO) レギュレータ
            1. 2.3.3.2.3.1 3.3V リニア・レギュレータ
            2. 2.3.3.2.3.2 4.5V リニア・レギュレータ
        3. 2.3.3.3 過電流検出回路
  9. 3ハードウェアとソフトウェアの使用開始
    1. 3.1 ハードウェアの構成
      1. 3.1.1 クロッキング・ボードのセットアップ
        1. 3.1.1.1 電源
        2. 3.1.1.2 入力リファレンス信号
        3. 3.1.1.3 入力同期信号
        4. 3.1.1.4 出力信号
        5. 3.1.1.5 プログラミング・インターフェイス
        6. 3.1.1.6 FMC+ アダプタ・ボードのセットアップ
        7. 3.1.1.7 ADC12DJ3200 EVM のセットアップ
        8. 3.1.1.8 TSW14J57EVM のセットアップ
        9. 3.1.1.9 マルチチャネル同期のセットアップ
    2. 3.2 ソフトウェア
      1. 3.2.1 必要なソフトウェア
      2. 3.2.2 クロッキング・ボードのプログラミング・シーケンス
      3. 3.2.3 ADC12DJ3200CVAL EVM のプログラミング・シーケンス
      4. 3.2.4 TSW14J57EVM の評価プログラミング・シーケンス
  10. 4テストと結果
    1. 4.1 テスト構成
    2. 4.2 結果
      1. 4.2.1 位相ノイズの測定結果
      2. 4.2.2 マルチチャネル・クロックの位相揃え
      3. 4.2.3 信号チェーンの性能
      4. 4.2.4 チャネル間スキューの測定
    3. 4.3 まとめと結論
  11. 5設計とドキュメントのサポート
    1. 5.1 設計サポート
      1. 5.1.1 回路図
      2. 5.1.2 部品表 (BOM)
    2. 5.2 ドキュメントのサポート
    3. 5.3 サポート・リソース
    4. 5.4 商標
  12. 6著者について
    1. 6.1 謝辞

放射線耐性強化 (Rad-Hard) 電源ツリー

このリファレンス・デザインで使用されるクロッキング・デバイスは、主に 3.3V の電源電圧を必要とします。低ノイズの 3.3V 電源を供給することが、電源ツリーの主な目的です (図 2-12 を参照)。さらに、電源は GEO 軌道における何年ものミッションについて、一般的な放射線耐性の要件を満たす必要があります。この具体的なケースでは、すべての電源ツリー IC が放射線耐性を持ち、次の放射線仕様を満たすか、それを上回っています。

  • 総照射線量 (TID) 特性 = 100krad (Si)
  • 放射線耐性保証 (RHA) / RLAT = 100krad (Si)
  • 中性子変位損傷 (NDD) 特性 = 1 × 1013n/cm2 (1MeV 相当)
  • LET = 75MeV/cm2/mg までの SEL、SEB、SEGR 耐性
  • LET = 75MeV/cm2/mg までの SET、SEFI 特性を規定
注: このリファレンス・デザインは、適切な半導体デバイスを選択しているので、ディスクリート部品 (抵抗、コンデンサ、ダイオード、インダクタなど) は、宇宙認定に関係なく使用されます。
GUID-20221202-SS0I-FF4G-MTBJ-GGK3MNCH1H1R-low.svg図 2-12 電源ツリー

電源ツリーを、図 2-12に示します。この電源ツリーは、左から右の順に、3 種類の放射線耐性強化された電源デバイスを示しています。最初に、TPS7H2201-SP eFuse には、過電流および過電圧保護機能を提供するオプションが内蔵されています。次に、TPS50601A-SP DC/DC 降圧コンバータは 5.0V から 3.8V への効率的な変換を行います。これにより、3.3V LDO で 500mV のヘッドルームが確保され、優れた AC 性能を発揮できます。さらに、TPS7H1101A-SP は 3.8V から 3.3V への変換を行います。差動アンプの 4.5V 電源に対応する LDO である TPS7A4501 は 5V 電源で直接動作します。この低い電流では、スイッチ・モード・コンバータを使用する必要がないためです。