JAJU891A May   2023  – December 2023 DRV8328

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   リソース
  4.   特長
  5.   アプリケーション
  6.   6
  7. 1システムの説明
    1. 1.1 主なシステム仕様
  8. 2システム概要
    1. 2.1 ブロック図
    2. 2.2 設計上の考慮事項
    3. 2.3 主な使用製品
      1. 2.3.1 DRV8328C
      2. 2.3.2 MSPM0G1507
      3. 2.3.3 CSD18510Q5B
      4. 2.3.4 TMP61
  9. 3システム設計理論
    1. 3.1 電力段の設計:3 相インバータ
      1. 3.1.1 センス抵抗の選択
    2. 3.2 電力段の設計:DRV8328 のゲート・ドライバ
      1. 3.2.1 DRV8328 の特長
      2. 3.2.2 AVDD リニア電圧レギュレータ (LDO)
    3. 3.3 電力段の設計:MSPM0 マイコン
      1. 3.3.1 MSPM0G1507 を使用したローサイド電流検出
      2. 3.3.2 温度検出
    4. 3.4 電力段の設計:外部インターフェイスのオプションと通知
      1. 3.4.1 ホール・センサのインターフェイス
      2. 3.4.2 入力電力電圧の監視
      3. 3.4.3 モーターの速度制御
      4. 3.4.4 回転の方向:デジタル入力
      5. 3.4.5 MCU のプログラミング・インターフェイス
      6. 3.4.6 データ転送
      7. 3.4.7 LED インジケータ
      8. 3.4.8 スリープ・モード・エントリ制御
  10. 4ハードウェア、ソフトウェア、テスト要件、テスト結果
    1. 4.1 ハードウェア要件
      1. 4.1.1 ハードウェア基板の概要
    2. 4.2 ソフトウェア要件
    3. 4.3 テスト設定
    4. 4.4 テスト結果
      1. 4.4.1 DRV8328 ゲート・ドライバの機能評価
        1. 4.4.1.1 DRV8328 リニア・レギュレータの性能
        2. 4.4.1.2 ゲート・ドライバによって生成されるゲート駆動電圧
      2. 4.4.2 MOSFET のスイッチング波形
      3. 4.4.3 電流開ループ・テスト
      4. 4.4.4 電流開ループ負荷テスト
  11. 5設計とドキュメントのサポート
    1. 5.1 設計ファイル
      1. 5.1.1 回路図
      2. 5.1.2 BOM
    2. 5.2 ツールとソフトウェア
    3. 5.3 ドキュメントのサポート
    4. 5.4 サポート・リソース
    5. 5.5 商標
  12. 6著者
  13. 7改訂履歴

システムの説明

ドリル、粉砕、切削、研磨、締め具の駆動などの電動工具は、さまざまな産業や家庭で使用されています。最も一般的な電動工具では電動モーターを使用していますが、中には内燃エンジン、蒸気エンジン、圧縮空気を使用するものもあります。電動工具は、コード付きまたはコードレス (バッテリ駆動) のいずれかです。コード付き電動工具は、主電源 (グリッド電源) を使用して AC または DC モーターに電力を供給します。

コードレス工具は、バッテリ電源を使用して DC モーターを駆動します。コードレス工具のほとんどは、業界でも最先端の高エネルギー密度、軽量、長寿命を実現したリチウムイオン電池が使用されています。電動工具には、さまざまな種類の電力レベルとバッテリ電圧レベルがあります。コードレスのチェーンソーや丸のこぎりなどの電動工具、コードレスの木材や枝の伐採道具などの園芸用器具は、非常に高いトルクと高ピーク電流が必要です。

コードレス工具には、ブラシ付き、またはブラシレス (BLDC) モーターが使用されます。BLDC モーターは効率がよく、メンテナンス性に優れ、低ノイズ、長寿命を実現しています。電動工具には、フォーム・ファクタ、小売り湯性、ピーク電流、信頼性、熱性能に関する要件があります。そのため、電動工具のモーターの駆動にはコンパクトなサイズの高効率な電力段が必要です。電力段のフォーム・ファクタが小さくなることにより、柔軟な取り付けが可能になり、PCB レイアウト性能は向上し、設計のコストが低減します。高効率のため、バッテリの持続時間は最大化し、冷却の手間は軽減します。それに対し、高効率の要件として、低ドレイン - ソース間抵抗 (RDS(on)) を搭載したスイッチング・デバイスが必要になります。また、電力段は、モーター・ストールや何らかの原因による高電流防止などの保護機能が利用できる必要があります。

このリファレンス・デザインでは、SON5 x 6 SMD パッケージに 0.79mΩ の超低 RDS(on) を搭載した CSD18510Q5B MOSFET を使用しています。DRV8328C 3 相ゲート・ドライバは 3 相 MOSFET ブリッジの駆動に使用され、4.5V~60V で動作し、最大設定値 2A (シンク) と 1A (ソース) のプログラマブル・ゲート電流をサポートしています。DRV8328C は低ドロップアウト (LDO) に対応しており、MCU への電源供給に役立ちます。TPM61 温度センサは、FET 温度の検出に使用します。MSPM0G1506 マイコンは、アルゴリズム制御を実装するために使用します。