JAJSXL7 December 2025 TPSM852892
PRODUCTION DATA
TPSM852892 は平均電流制御方式を使用しています。内部電流ループには、内部補償が使用されます。外部電圧ループには、外部補償が必要です。COMP ピンは内部電圧エラー アンプの出力です。COMP ピンには、抵抗とセラミック コンデンサで構成される外部補償回路が接続されています。
TPSM852892 は降圧モードまたは昇圧モードで動作します。したがって、降圧と昇圧のどちらの動作モードでもループ補償が必要です。これら両方の補償のうち、ループ安定性の観点から、全体的な補償として制限の大きい方が選択されます。一般的に降圧モードまたは昇圧モードのいずれかで動作するように設計されたコンバータの場合、右半面ゼロ (RHPZ) が存在するため、昇圧モード補償設計の方が制限が大きくなります。
昇圧モードでの電力段は式 19でモデル化できます。

ここで、
出力段には、出力コンデンサと負荷抵抗によってゼロが 2 つとポールが 1 つ生成されます。式 15 と式 22を使用して計算します。



内部の相互コンダクタンス アンプは COMP ピンの補償回路とともに、ループの制御部分を構成します。制御部分の伝達関数を式 23 で示します。

ここで、
合計開ループ ゲインは、GPS(s) と GC(s) の積です。次のステップでは、合計開ループ ゲインが 1、すなわち 0dB となるループ クロスオーバー周波数 fC を選択します。ループ ゲインがクロスオーバー前に 0dB を上回るような周波数が高いほど、ループ応答は速くなります。一般的にループ ゲインは、スイッチング周波数の 1/10、fSW または RHPZ 周波数の 1/5、fRHPZ のいずれか低い方を超えない周波数で 0dB を超えることが許容されます。
そこで、RC、CC、CP の値を 式 24 から 式 26 で設定します。

ここで、


計算された CP が 10pF より小さい場合は、オープンのままでもかまいません。
ループを、45° を超える位相マージンと 10dB を超えるゲイン マージンになるように設計すると、ラインおよび負荷の過渡時の出力電圧のリンギングが除去されます。