JAJA859 April 2025 MSPM0G3506 , MSPM0G3507 , MSPM0G3518 , MSPM0G3519
図 2-1 に、「Transmitter Delay Compensation」(トランスミッタ遅延補償) (TDC) ブロックに含まれるパラメータを示します。
図 2-3 トランスミッタ遅延補償 (TDC)TDC は、CAN FD システム内のトランシーバのループ遅延に起因する遅延を補償するために使用されるメカニズムです。この遅延により、ノードは高ビット レートのデータ転送中に、サンプル ポイントで有効なビット エラー チェックを実行できなくなる可能性があります。具体的には、TDC はデータ位相にセカンダリ サンプル ポイント (Secondary Sample Point:SSP) を導入し、遅延を考慮して送信されたビットを受信ビットと比較します。これにより、ビット エラーが正しく検出され、処理されることになります。
TDC は、ビット レートが高く、データ ビットが短くなり、ループ遅延が大きくなる場合に必要です。このような遅延により、ノードがビット エラー検出に対する正しいサンプル ポイントを見逃す可能性があります。TDC はデータ位相中のみアクティブであり、アービトレーション位相には影響しません。
TDC を使用すると、データ位相のビット時間が公称ビット時間よりも短くなるため、エラー検出を犠牲にすることなくデータ レートを向上させることができます。
TDC の測定方法の詳細については、『MSPM0 G シリーズ 80MHz マイコン テクニカル リファレンス マニュアル』を参照してください。