JAJU510J March   2018  – February 2025 TMS320F28P550SG , TMS320F28P550SJ , TMS320F28P559SG-Q1 , TMS320F28P559SJ-Q1

 

  1.   1
  2.   概要
  3.   リソース
  4.   特長
  5.   アプリケーション
  6.   6
  7. 1システムの説明
    1. 1.1 主なシステム仕様
  8. 2システム概要
    1. 2.1 ブロック図
    2. 2.2 主な使用製品
      1. 2.2.1  UCC21710
      2. 2.2.2  UCC5350
      3. 2.2.3  TMS320F28379D
      4. 2.2.4  AMC3306M05
      5. 2.2.5  OPA4388
      6. 2.2.6  TMCS1123
      7. 2.2.7  AMC0330R
      8. 2.2.8  AMC0381D
      9. 2.2.9  UCC14341
      10. 2.2.10 UCC33421
    3. 2.3 システム設計理論
      1. 2.3.1 3 相 T タイプ インバータ
        1. 2.3.1.1 アーキテクチャの概要
        2. 2.3.1.2 LCL フィルタの設計
        3. 2.3.1.3 インダクタの設計
        4. 2.3.1.4 SiC MOSFET の選択
        5. 2.3.1.5 損失の推定
      2. 2.3.2 電圧検出
      3. 2.3.3 電流検出
      4. 2.3.4 システムの補助電源
      5. 2.3.5 ゲート ドライバ
        1. 2.3.5.1 1200V の SiC MOSFET
        2. 2.3.5.2 650V の SiC MOSFET
        3. 2.3.5.3 ゲート ドライバのバイアス電源
      6. 2.3.6 制御設計
        1. 2.3.6.1 電流ループの設計
        2. 2.3.6.2 PFC の DC バス電圧レギュレーション ループの設計
  9. 3ハードウェア、ソフトウェア、テスト要件、テスト結果
    1. 3.1 必要なハードウェアとソフトウェア
      1. 3.1.1 ハードウェア
        1. 3.1.1.1 必要なテスト ハードウェア
        2. 3.1.1.2 設計に使用されているマイクロコントローラ リソース (TMS320F28379D)
        3. 3.1.1.3 F28377D、F28379D 制御カードの設定
        4. 3.1.1.4 設計に使用されているマイクロコントローラ リソース (TMS320F280039C)
      2. 3.1.2 ソフトウェア
        1. 3.1.2.1 ファームウェアの概要
          1. 3.1.2.1.1 CCS プロジェクトを開く
          2. 3.1.2.1.2 デジタル電源 SDK のソフトウェア アーキテクチャ
          3. 3.1.2.1.3 割り込みとラボの構造
          4. 3.1.2.1.4 ファームウェアのビルド、ロード、デバッグ
          5. 3.1.2.1.5 CPU ローディング
        2. 3.1.2.2 保護方式
        3. 3.1.2.3 PWM スイッチング方式
        4. 3.1.2.4 ADC ローディング
    2. 3.2 テストと結果
      1. 3.2.1 ラボ 1
      2. 3.2.2 インバータ動作のテスト
        1. 3.2.2.1 ラボ 2
        2. 3.2.2.2 ラボ 3
        3. 3.2.2.3 ラボ 4
      3. 3.2.3 PFC 動作のテスト
        1. 3.2.3.1 ラボ 5
        2. 3.2.3.2 ラボ 6
        3. 3.2.3.3 ラボ 7
      4. 3.2.4 効率に関するテストのセットアップ
      5. 3.2.5 テスト結果
        1. 3.2.5.1 PFC モード
          1. 3.2.5.1.1 PFC スタートアップ - 230VRMS、400VL-L AC 電圧
          2. 3.2.5.1.2 定常状態の結果 - PFC モード
          3. 3.2.5.1.3 効率、THD、力率の結果 (60Hz) – PFCモード
          4. 3.2.5.1.4 ステップ負荷変動による過渡応答テスト
        2. 3.2.5.2 インバータ モード
  10. 4デザイン ファイル
    1. 4.1 回路図
    2. 4.2 部品表 (BOM)
    3. 4.3 PCB レイアウトに関する推奨事項
      1. 4.3.1 レイアウト プリント
    4. 4.4 Altium プロジェクト
    5. 4.5 ガーバー ファイル
    6. 4.6 アセンブリの図面
  11. 5商標
  12. 6著者について
  13. 7改訂履歴

損失の推定

インバータで効率が低下する主な原因は、スイッチング デバイスで発生する損失です。これらの損失は、各デバイスで次の 3 つのカテゴリに分類されます。

  • 導通損失:デバイスがオンになっており、正常に導通しているとき
  • スイッチング損失:デバイスの状態が切り替わるとき
  • ダイオード導通損失:導通時の電圧降下と電流に関係

これらにはそれぞれ固有の式があり、デバイスのデータシートとすでに設定されている設計パラメータから決定できます。

導通損失は、FET のオン時間、スイッチングされる電流、およびオン抵抗を使用して計算されます。

式 4. TIDA-01606

ここで、

  • Vce:導通電圧降下
  • Ic:導通電流
  • DQ:デューティ サイクル
  • T:1 変調サイクル

スイッチング損失は、デバイスのスイッチング エネルギーと、選択したテスト ポイントにおけるスイッチング電圧によって決定されます。設計した外部ゲート抵抗の値を使用して、デバイスのデータシートからスイッチング エネルギーの値を決定します。必要な残りの値は、設計フェーズの初期段階で決定されています。

式 5. TIDA-01606

図 2-25 に、C3M0060065D SiC MOSFET について、デバイスのデータシートからスイッチング エネルギーの値を抽出するために使用されたグラフの例を示します。

TIDA-01606 C3M0060065D のスイッチング エネルギーとスイッチ電流の関係図 2-25 C3M0060065D のスイッチング エネルギーとスイッチ電流の関係

ダイオードの導通損失も同様に、既知の値を使用して計算します。

式 6. TIDA-01606

ここで、

  • Vf:電圧降下
  • If:ダイオード電流
  • DD:デューティ サイクル
  • T:1 変調サイクル

これらの 3 つの式を使用して、両方の SiC MOSFET の設計で計算された推定される損失を表 2-1 に示します。

表 2-1 スイッチング デバイスで推定される損失
パラメータC3M0075120D (Q1)C3M0060065D (Q3)
導通損失5.76 W4.5W
スイッチング損失1.8 W1.13W
ダイオード損失0 W0W
合計7.56 W5.63W

システム全体の損失を推定するための最後の要素は、インダクタの損失です。これらの損失は、インダクタの DC 抵抗と AC 抵抗の値、およびセクション 2.3.1.3 から予測されるインダクタ電流を使用して計算されます。

式 7. TIDA-01606
式 8. TIDA-01606

そのため、この設計の主要エネルギー損失の合計は次のようになります。

式 9. TIDA-01606
式 10. TIDA-01606

式 10 を使用して、予想されるインバータの総効率を求めます。これは推定値ですが、推定値を使用すると、この時点までの設計を検証することができます。

式 11. TIDA-01606
式 12. TIDA-01606