JAJU919 December 2023
FAST エスティメータでは最も広い速度範囲で最高の性能を実現できるように電圧帰還が必要で、相電圧はソフトウェアによる推定ではなく、モーター相から直接測定されます。eSMO は、モーター相電圧センシング回路を使用することなく、電圧位相を表すソフトウェア推定値に依存しています。このソフトウェア値 (USER_ADC_FULL_SCALE_VOLTAGE_V) は、モーター相からの電圧帰還をセンシングする回路に依存します。図 2-36 に、分圧抵抗に基づく電圧帰還回路を使用して、モーター電圧がADC 入力範囲に対してどのようにフィルタリングされ、スケーリングされるかを示します。同様の回路は、コンプレッサ モーターとファン モーターの両方、および DC バスの 3 つすべての測定に使用されます。
このリファレンス デザインでマイクロコントローラによって測定可能な最大位相電圧帰還は、ADC 入力の最大電圧が 3.3V であることを考慮して、式 55 のように計算できます。
ここで
この電圧帰還回路では、user_mtr1.h で次の設定が行われます。
//! \brief Defines the maximum voltage at the AD converter
#define USER_M1_ADC_FULL_SCALE_VOLTAGE_V (404.1292683f)
電圧帰還を正確に検出できるように、FAST エスティメータには電圧フィルタの極が必要です。PWM 信号をフィルタリングして除去し、同時に高速な電圧帰還信号がフィルタリングを通過できるように、フィルタを十分に低い周波数に設定してください。一般的なガイドラインとして、5~20kHz の PWM 周波数をフィルタリングで除去するには、数百 Hz のカットオフ周波数があれば十分です。数 kHz 程度の位相電圧周波数を生成するような超高速モーターを動作させる場合にのみ、ハードウェア フィルタを変更してください。
このリファレンス デザインでは、フィルタ極の設定は 式 57 で計算できます。
次のサンプル コードでは、user_mtr1.h でどのように定義されているかを示しています。
//! \brief Defines the analog voltage filter pole location, Hz
#define USER_M1_VOLTAGE_FILTER_POLE_Hz (416.3602877f)